39 ユリカノの記憶、エリナの怒り
突然エリナに殴られ倒れるダリル公爵。
しかし、エリナは、続けてダリル公爵の胸ぐらを掴む。
「お前は・・・お前は、父親のくせに、あの子の父親のくせに、何故あの子を愛さなかった!!」
そう言い、エリナは、再びダリル公爵を殴る。
「お前にとってあの子は、邪魔な存在だったのかよ!! そんなにあの子が嫌いだったのかよ!! ふざけるな!! くたばれこのクソ貴族!!」
エリナは、何度もダリル公爵の顔を殴り続ける。
「エリナ様、やめてください!!」
「エリナ殿、落ち着くでござる!!」
アーシアとユキナが止めに入る。
「離せ!! このクソ貴族には、こんなものじゃ全然足りない!! あの子の苦しみは、悲しみは、こんなものじゃない!!」
アーシアとユキナに抑えられてもエリナは、やめようとしない。
その光景にオルストの王もイースもハンナも、その場にいた貴族達も驚いている。
「エリナよ、落ち着くのじゃ」
マーリンが優しくエリナに言う。
「何があったのじゃ? ワシに話してみるのじゃ」
「・・・・・・」
エリナは、呼吸を整える。
「落ち着いたか?」
「ああ、すまない」
「それで、何があったのじゃ?」
「・・・・・・あの子の、ユリカノを刺し、黒い靄がこの刀に吸い込まれる時、私の頭の中に何かが流れて来た、おそらく、ユリカノの記憶だと思う」
「ユリカノの記憶」
「ユリカノが今まで生きた記憶が全て頭に流れ込んで来た、酷い物だったユリカノは、あの子があんなバケモノになるまで追い込んだのは、この国そのものだ」
「何だと!? どう言う事だ!?」
エリナの言葉に王が疑問の声を上げる。
「ユリカノを追い込んだのは、そこの父親だけじゃないって事だ、イース、ハンナ、お前達もだ」
「え?」
「私達が?」
イースとハンナは、驚いている。
「お前、元でも婚約者だろ、なのに何故あの子の気持ちに気づいてやれなかった、何故あの子の苦しみに気づけなかった」
「どう言う事だ?」
「それと義妹、お前の場合は、お前にその意思がなくてもあの子を追い詰めていたんだよ」
「私がお義姉様を?」
エリナに言われてもイースもハンナもわからないと言う顔をしていた。
「ふむ、ならユリカノの記憶をこの場で見るのじゃ」
「記憶を見る?」
「そうじゃ、メモリー」
マーリンは、ユリカノの遺体の頭に手を置きメモリーの魔法を発動させる。
「このメモリーと言う魔法は、他人の頭に触れる事でその者の記憶を見る事ができる魔法じゃ、例えそれが遺体であってもじゃ」
「そんな、魔法があるのでござるか!?」
「うむ、と言っても遺体の場合は、今回のように綺麗な状態でなければ見る事ができないのじゃ、ふむ」
マーリンは、ユリカノの遺体から手を離す。
「そうかそうか、これでわかったのじゃ、ユリカノが抱いた負の感情の正体が、今この場にいる皆に見せよう、スクリーン」
スクリーンを唱え王の間に映像が映る。
「これは」
「ユリカノの記憶をユリカノの目線で映像にしたのじゃ、皆よく見るのじゃ、ユリカノが今までどのような思いで生きていたのかを」
エリナ達は、ユリカノの記憶の映像を見るのだった。
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