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21 侍の少女

 朝日が差し込み、今日も一日が始まる。


「おはようございます、エリナ様」


「・・・・・・ん」


 アーシアが起こしに来る。

 最近は、これが日課のようなものになっている。


「朝食の用意は、できています」


「わかった」


 顔を洗い着替えを終えて、食道に行き朝食を食べる。


「お前は、もう食べたのか?」


「はい」


「・・・・・・アーシア」


「はい、何でしょうか?」


「次から一緒に食事をしないか」


「メイドの私が主人と同じ卓で食事をですか?」


「誰かに見られて一人で食べるのは、変な感じがするんだ、だったら一緒に食べた方がまだ良いと思ったんだ、無理にとは、言わないが」


「そう言う事でしたら、これからは、私もエリナ様とご一緒させていただきます」


「そうしてくれ」


 朝食を食べ終えたエリナは、準備のため部屋に戻って行く。

 アーシアは、エリナの食べた食器を洗って片づけをする。


「ちょいといいかい?」


 宿の女将がアーシアに話し掛ける。


「はい」


「アンタ、アーシアって言ったっけ? エリナと一緒に行動してるって聞いたけど」


「はい、私は、エリナ様と共に冒険者活動をしております」


「そうかい、だったらあの子の事見て上げてくれないかい?」


「?」

 

 女将の言葉にアーシアは、首を傾げる。


「ほら、あの子あんな感じで必要以上に誰かと関わる事ってしないのよ、アンタが来る前は、食堂で食事しないでずっと市場の黒パンばかり食べてたのよ、それに冒険者の仕事をして帰ってきたら寝るの繰り返しでまるでただ生きてるだけみたいな感じでさ、だからあの子が大丈夫って言っても心配なんだよ」


「確かにそうかもしれませんね」


「でも、最近は、アンタが一緒にいてくれて少しだけあの子が変わった気がするのよ良い方にね、だからさ頼むよあの子の事見捨てないで一緒にいてあげてくれないかい?」


「ご安心ください、私は、最初からそのつもりですで」


 アーシアは、微笑んで答えるのだった。


「そうかい、じゃあ本当に頼んだからね」


 女将は、安心した顔をして言うのだった。

 食器を洗い終わったアーシアは、エリナの所に行くのだった。


「終わったのか?」


「はい」


「じゃあ、行くか」


「はい」


 二人は、ギルドへと向かう。

 その途中二人は、会話をしていた。


「そう言えば、エリナ様」


「何だ?」


「女将さんから話を聞きましたが、いつも黒パンばかり食べていたそうですね」


「女将さんって、ああ、カーラさんの事か」


「カーラ様と言うのですね、あの方」


「ああ、でも宿に泊まってる人や食事しに来てる人は、皆女将さんって呼んでるから私もそう呼んでるのさ、でその女将さんがどうかしたのか?」


「ええ、エリナ様の事を頼まれました、余程、御心配なされていたそうですよ」


「いつも、私に話し掛けて来るんだ、お節介が過ぎると思うけどな」


「エリナ様を思っての事ですよ、それは、エリナ様もわかっているみたいですけど」


「最初に会った時、まだお金も持っていなかった私を何も言わず泊めてくれたんだ、だからあの人には、感謝しかないんだ」


「でしたら、なおの事あなたは、死ぬべき人間では、ありません、カーラ様が悲しまれますよ」


「・・・・・・そうかもな」


 話をしている所で気づけばギルドに到着していた。

 ギルドの中に入り掲示板を見に行く。


「どれになさいますか?」


「そうだな・・・・・・」


 エリナは、掲示板に貼ってある討伐依頼を見る。


「・・・・・・これにするか」


 エリナが依頼の紙を取ろうとしたら、別の手が同じ紙を掴んでいた。


「ん?」


「ん?」


 エリナが隣を見るとそこには、一人に女性がいた。

 

「む、お主もこの依頼を受けたいのでござるか?」


「まあ、そうだが」


「拙者もこの討伐依頼を受けたいのでござるが」


「・・・・・・別に良いけど」


「真でござるか? 拙者が受けても良いのでござるか?」


「別に良いぞ」


「かたじけないでござる」


 女性は、そう言って頭を下げ受付の元に向かった。


「何だが、見かけない服を着てたな」


「あれは、ワフクと呼ばれる、東の国で着られている衣装ですね」


「アーシア、知っているのか?」


「ええ、ワフクを着ていて、黒い髪の色、東の国の方達の特徴ですね、そして東の国で使われている武器、エリナ様と同じ刀を持っている所を見ると、おそらく侍と呼ばれる、お方ですね」


「サムライ?」


「刀を持った剣士の事を東の国では、侍または、武士と言います、この国で言う所の騎士と同じですね」


「なるほど」


 エリナは、再び掲示板を見てその中で一番強い魔物の討伐依頼を受け、その日は、終わるのだった。

 その日の夜エリナは、宿屋の食堂で席に座ると。


「おお、お主は、先程の!!」


「ん?」


 朝エリナが会った侍の少女が話し掛けて来た。


「今朝は、拙者に依頼を譲っていただき、かたじけないでござる、おかげで依頼は、無事に成功したでござる」


「そうか、良かったな」


「お主もこの宿に泊まってるでござるか?」


「もって事は、お前もか?」


「その通りでござる」


「エリナ様、食事ができました、あら、あなたは、今朝お会いした侍のお方では、ないですか?」


「ここの宿に泊まってるそうだ」


「そうでしたか、どうです、あなたも一緒に食べませんか?」


「良いのでござるか?」


「食事は、多い方が楽しいですもの、エリナ様もよろしいですか?」


「別に構わないが」


「かたじけないでござる」


 こうしてエリナ達は、侍の少女と一緒に食事をする事になった。


「自己紹介がまだでござったな、拙者の名は、アマクサ・ユキナと申す、カマクラの国出身でござる」


「やはり、東の国のお方でしたか、家名と名前が逆ですからね」


「そうなのか?」


「はい、この国と違い東の国の方達は、家名が最初で名前が後なのが特徴なのです、そして、カマクラは、東の国の一国で他にもオエド、ヘーアン、オダなどと言った国があり、それを総称して東の国と呼ばれています」


「なるほど」


「ちなみに家名があると言う事は、ユキナ様は、この国で言う貴族の家の生まれですか?」


「その通りでござる、拙者の家は、代々の名門の武士の家系であり、拙者は、そこの生まれでござる」


「その方がこの国に来た目的は?」


「拙者は、立派な武士になるため武者修行をしているでござる、そして色々な経験ができる冒険者をしているでござる」


「なるほど、そうだったのですね」


「拙者の自己紹介は、以上でござる」


「では、私達も、自己紹介を私は、アーシアと申します、今は、こちらのエリナ様に仕えて共に冒険者をしております」


「・・・・・・エリナ、冒険者をしている」


「よろしくでござる」


 自己紹介を終えたエリナ達は、食事をする。


「ふおお、とても美味しいでござる!! アーシア殿は、料理が得意でござるな!!」


「ありがとうございます」


「エリナ殿は、毎日こんな美味しい料理が食えて羨ましいでござる」


「アーシアとは、最近組んだからな、それまでは、ソロでやっていた」


「ソロ? ちなみにランクは?」


「Sランク」


「な!?」


 ユキナは、驚き食事の手を止める。


「Sランクでエリナと言う名前、まさかタイラントドラゴンを一人で倒したあのSランク冒険者のエリナ殿でござるか?」


「はい、そのエリナ様で間違いありませんよ」


 ユキナの問いにアーシアが答える。


「な、なんと!! 本当にあのエリナ殿でござるか!? 高ランクの魔物の討伐依頼を受けては、成功している、あの」


「・・・・・・まあ、依頼は、失敗した事ないが」


「やはり!! 会えて感激でござる!!」


 ユキナは、立ち上がり両手でエリナの手を握る。


「有名なSランク冒険者のエリナ殿と知り合えるなんて拙者は、運が良いでござる、スタンピードの話も聞いたでござる、拙者その時は、別の依頼でその場を離れていたでござるが、一人で魔物の群れを倒していき、さらには、ドラゴンまでをも一人で倒したと聞いた時には、拙者もう感動したでござる!!」


「・・・・・・そうか」


「決めたでござる!! エリナ殿、アーシア殿、明日の依頼拙者も同行させてもらいたいでござる」


「は?」


「エリナ殿と一緒に冒険したのでござる、この通りでござる」


 ユキナは、土下座してエリナに頼む。


「良いでは、ありませんか」


「アーシア?」


「私以外にも色々な方と組んでみると言うのも良いと思いますよ、それに首を縦に振るまで引き下がらないと思いますよ?」


「・・・・・・」


 エリナは、土下座をしているユキナを見る。


「・・・・・・わかった、明日一緒に行こう」


「真でござるか!! かたじけないでござる!! 拙者足を引っ張らないよう頑張るでござる!!」


 ユキナは、拳を握り気合を入れる。


「明日が楽しみですね」


「・・・・・・はあ」


 エリナは、侍の少女ユキナと共にギルドで依頼を受ける事になった。







 



読んでいただきありがとうございます。

同時に投稿している作品「魔王様、今日も人間界で色々頑張ります」もよろしくお願いします。

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