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2 討伐完了

 時刻は、すでに夕方にまでなっている。

 冒険者達は、依頼を完了したかどうかの時間になるだろう。


「はい、ゴブリン五匹討伐確認しました、こちらが報酬になります」


「薬草の中に毒草が入ってますよ、この分は、数えませんからこちらが報酬分になります」


 冒険者達は、今日の成果を伝えに受付嬢達の所に向かって順番に並んでいる。

 そんな時、入口の扉が開く。


「おい、エリナだぞ」


「あの子って今日確かキングボアとキングベアーの討伐依頼を受けていたわよね」


「まさか、討伐したのか?」


 冒険者達の言葉などまるで聞こえていないかのようにエリナは、受付の元に向かう。


「って、血まみれじゃないですか!? どうしたのですか!?」


 受付嬢は、エリナの姿を見て大声を上げる。

 キングボアとキングベアーの血飛沫を受けたのでエリナの体中は、血まみれになっていた。


「依頼を完了した、確認してくれ」


「いや、その前に体を洗うのが先ですよ、ギルド内のシャワー室を使ってください」


「別にいい」


「エリナさんが良くても私が良くないのです、血生臭いし女性がそんな状態でいる事が同じ女性として見ていられませんので早く行ってください、服は、洗ってクリーンの魔法を掛けておきますので」


「・・・・・・」


 このままだと埒が明かないと判断したのかエリナは、ギルドのシャワー室へと行き、シャワーで体中についた血を洗い流すのだった。

 やがて、さっぱりしたエリナが出て来た。


「それじゃ、エリナさん、討伐した素材を見せてください」


「丸ごと持って来ている」


「あー、そうでしたね、では、奥の方へ」


 受付嬢に促されエリナは、奥の広い部屋へと入って行く。


「それじゃ、出してください」


 受付嬢に言われエリナは、袋を取り出す。

 するとその袋の中からキングボアとキングベアーの遺体が現れた。

 エリナの持っているこの袋は、アイテム収納袋と言い制限を越えなければ大きい物から小さい物まで収納する事ができるのだ。


「確かにキングボアとキングベアーですね」


「よお、またエリナがとんでもない物を持って来たのか?」


「ギルド長!!」


 屈強な身体をした五十代くらいの男性が入って来る。

 彼は、このギルドのギルド長をしていてもう引退したが元Sランク冒険者である。


「見ての通りです」


「おいおい、キングボアとキングベアーじゃないかよ、どっちも高ランクの冒険者が複数で討伐するレベルだろ、お前一人でやったのかよ」


 キングボアとキングベアーの遺体を見ながらギルド長は、エリナに問う。


「同じ場所の依頼だったから、受けた本当は、一匹ずつ探すつもりだったけど二匹同時に来たからまとめて倒した」


「「二匹同時!?」」


 エリナの説明に二人は、驚愕する。


「二匹同時って、それ高ランクのパーティーが複数でないと討伐できない状況ですよね、それを一人でですか」


「相変わらず、とんでもない事をさらりと言うな、しかもお前さん自身は、無傷なのがまたお前さんのヤバさを物語ってるな」


「それで、報酬は?」


「あ、はい、少しお待ちくださいね」


「しかし、首だけ切って綺麗に仕留めたから状態が良いなこりゃ、その分追加しておけ」


「は、はい!!」


「で、いつも通りで良いのか?」


「いい」


「キングボアもキングベアーも肉は、旨いんだぜ、少しくらい持ってっても良いんだぞ?」


「必要ない」


「そうかい、まあこっちとしちゃ、ありがたいけどよ、たまには、自分のための贅沢をしても良いと思うぞ」


「必要ない」


「そうかい、じゃあ受付の所に行きな、報酬の用意は、できてると思うぜ、こっちは、解体専門の奴にやらせるからよ」


「わかった」


 エリナは、部屋を出て受付の元に向かうのだった。


「キングボア、キングベアーの討伐成功おめでとうございます、こちらが依頼の報酬になります、お疲れ様でした」


 エリナは、報酬を受け取り、ギルドの入口を開け出て行くのだった。


「やっぱ、余裕で討伐したか」


「Sランク冒険者は、伊達じゃないって事だな」


「けど、毎日高ランクの魔物討伐の依頼を受けてるよな?」


「意外と強い魔物と戦いたい戦い好きだったりしてな」


「まっさかー」


 酒を飲みながらそんな事を冒険者達は、話していた。






 エリナは、自分が宿泊している宿に帰っていた。


「お帰り、エリナ」


 宿の女将がエリナを出迎える。


「ただいま、それとこれ今月の宿代」


 エリナは、女将に今月分の宿代が入った袋を渡す。


「確かに受け取ったよ、いつも期限通りに払ってくれるから助かるよ、期限通りに払ってくれるのは、アンタ以外には、数人しかいないからね他の連中も見習ってほしいもんだよ」


「・・・・・・大変だな」


 そう言ってエリナは、自分の部屋に向かおうとする。


「エリナ、アンタ結構稼いでるんだろ? 美味しい物でも食べに行かないのかい?」


「必要ないから」


 エリナは、自分の部屋に向かうのだった。

 自分の部屋の戸を開け、ベッドの上に横になる。

 

「・・・・・・今日も生き残った」


 天井を見ながらエリナは、そう、つぶやいた。



読んでいただきありがとうございます。

同時に投稿している作品「魔王様、今日も人間界で色々頑張ります」もよろしくお願いします。

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