11 憎しみの理由
「お前達が、お前達が召喚した勇者のせいで私は、人生をめちゃくちゃにされた!!」
エリナは、王に向かって怒りに任せて叫んだ。
「召喚された勇者は、魔王に対抗できる力があったそうだな、正にこの世界の希望だな、だがその勇者いやあのクズには、もう一つ力があった魅了の力だ、そのクズは、魅了の力でたくさんの女を魅了して洗脳したそうだな」
「う、うむ」
「中には、貴族のお嬢様もいたと聞いた、婚約者がいた者も結婚して妻がいた者もあのクズは、洗脳して自分の欲望を満たしていった」
エリナの言葉を王達は、黙って聞いていた。
いや、聞かざるを得ないと言った方が正しいだろうか。
「私は、辺境の村人だった、私には、幼馴染の男がいた私達は、いつも一緒だったやがてお互いに結婚する事を誓った、お互いの両親も認めてくれた幸せだった、だがあの日あのクズが来て、私は、洗脳されてあのクズに私は、自分の身体を捧げたしかも私自身それに快楽を感じていたんだ!!」
エリナの叫びに王妃と王女は、口に手を当て絶句していた。
「さらに私は、彼に対して酷い事を言った、彼の全てを傷つけたそれからあのクズが魔王と相打ちになって死んだ時私の洗脳は、解けただが洗脳されていた時の記憶は、私の中に残っていた、私は、好きでもない男と身体を重ねた記憶が残っていたんだ!!」
エリナは、怒りのままに叫んだそれを見た王達は、何も言えなかった。
「私は、すぐに彼に謝ろうとしたそして村に戻った、そしたら皆が私を蔑んだ目で見ていたんだ、それどころか親からも蔑まれた、何でだと思った、それは、お前達が流した情報だ!! 私の親から聞いた、勇者の美談が語られていて私達洗脳された者は、皆勇者に惹かれて自らの意思で勇者に恋したと!! 違う!! 私は、あのクズに洗脳されていたんだ!! 自らの意思じゃない!!」
「何だと!?」
エリナの言葉に一人の貴族が反応する。
「陛下!! どう言う事ですか!? 私は、そもそも勇者が魅了の力で洗脳していた事すら今初めて知りましたぞ!!」
「私もです!! 私の娘も婚約者がいたが勇者に心変わりしたと王国から聞かされたから私は、勘当させてしまったのにそれが勇者に洗脳されていただと、ふざけるな!! 今更そんな真実聞きたくなかった!!」
「私の息子も婚約者の令嬢から酷い事を言われて心を壊してしまったのに、相手の令嬢も洗脳されていたなんて、残酷だ」
「私は、何て事を!! 自分の娘を信じず怒鳴り散らし娘の言い分も聞かず修道院送りにしてしまった、この真実を聞いて今更どうすればいいんだ!!」
次々に貴族達が自身の後悔を嘆いている。
「ちょっと待て、今ここで聞かされていない貴族達は、皆下位貴族の者達、まさか上位貴族の者達以外は、皆そのように報告したと申すのですか!? 上位貴族の方々は、知っていたのですか!?」
貴族の言葉に上位と思われる貴族達は、顔を背ける。
「やはり、そうなのですか、ふざけるな!! そもそも召喚の儀式をしたのは、あなた方では、ないか!!」
「そうだ、我々下位貴族の者には、召喚の儀式をすると言う事すら勇者が召喚されてから聞かされたぞ!!」
「別の世界から来たから、この世界に慣れてないと言うから自由にさせていると聞いたがその結果がこれか!!」
「そもそも、貴様達魔法師団は、何をしていた!! 貴様達の中には、相手の状態や力を見抜く事ができる者がいたはずだ、何故それをしなかった!! それとも知っていてそうさせたのか!!」
「いずれにせよ、あなた方のした事の責任は、重い!! いかが責任を取るつもりですか!!」
下位貴族の者達は、次々と怒りをぶつけるように叫ぶ。
「お前達、落ち着くのだ、仕方なかったのだ!!」
「もし、そんな真実が出回ったらどうなる? 王国に対する評価も信頼も下がるだろ!! だからそうするしかなかったのだ!!」
「ふざけるな!! あなた方は、被害がなかったからそう言えるんだ!!」
「我々は、どうなる!! 私は、娘を修道院に問答無用で送ったんだぞ!!」
「私の娘など、首を吊って自殺したんだ!! その真実を聞いて怒りしかない!!」
上位貴族達が必死に弁明するが下位貴族達は、一向に怒りが収まらない。
このままでは、国家反逆も有り得てしまう。
「黙れぇぇ!!!!!」
さっきまで騒いでいた貴族達は、その声で一斉に静まる。
その声の主は、エリナだった。
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同時に投稿している作品「魔王様、今日も人間界で色々頑張ります」もよろしくお願いします。




