10 国王との対面
王城に到着し。
エリナは、案内され王の間へと到着した。
王の間へと入ると、エリナは、歩き出し真ん中あたりで足を止めた。
目の前には、玉座に座る王の姿、その隣には、王妃そして王妃の隣には、この国の王女が立っていた。
そして周りには、貴族と思われる者達がいて、騎士団や魔法師団がいた。
エリナの要望を聞き入れてくれたと見える。
「そなたが、エリナで間違いないか?」
「・・・・・・ああ、そうだ」
王の問いにエリナは、答える。
しかし、その態度に周りの貴族達は、不快な顔をしている者が多くいた。
しかし、王は、特にエリナの態度に何も異を唱えない、エリナが無礼な態度を許す条件があるからだと思われる。
「此度のスタンピード、ドラゴンが現れたと聞いた、それをそなたは、たった一人で討伐したそうだな、そなたがいなかったら今頃この王都は、ドラゴンにより滅ぼされ多くの民の命が失われたと思われる、この国を救ってくれた事、王として礼を言うぞ」
「別に、礼などいらない、そもそも国のために戦ったわけでもないしな」
「ふむ、それでだこの国を救った英雄であるそなたに褒美を与えたいと思う、何か欲しい物は、ないか申して見よ」
「特にない、そもそもお前達からの褒美などもらいたくない」
「貴様!! さっきから陛下に対して何だその態度は!!」
エリナが王に対しての無礼な態度に我慢ならなかったのか貴族の一人が声を上げる。
無礼な態度で接すると知らされてもそれでも我慢の限界は、ある。
「そうだ!! さっきから聞いていてあまりにも無礼な態度!! 不敬罪だ!!」
「即刻その女を処刑しろ!!」
「騎士共!! さっさとその女を取り押さえろ!!」
他の貴族達も次々とエリナに対して罵倒の言葉を投げる。
「別に構わないぞ」
エリナの言葉を聞いた貴族達は、黙る。
「私を殺したいなら殺せばいい、だがその代わり私も見苦しく抵抗して無様に死んでやるぞ」
エリナは、そう言い手に持った刀を抜こうとする。
その姿を見て貴族達は、驚愕する。
何故ならエリナの目は、冗談でもなく本気でそう言っていると感じたからだ。
「皆の者、落ち着け、そなたもその手に掛けた武器を収めてくれ」
王の言葉で貴族達は、落ち着きエリナも刀を収める。
「エリナよ、そなたは、私に何か文句があると聞いた、王族、貴族に憎しみしかないと」
「ああ」
「だが私は、そなたに会った事もないぞ」
「直接したわけじゃない」
「だが、元を辿れば我々が原因と聞いた、一体そなたは、我々に何の憎しみがあるのだ? それを教えては、くれぬか?」
「・・・・・・三年前」
「ん?」
「三年前、お前達は、ある儀式をしただろ?」
エリナは、王に向かって言う。
「三年前」
王は、記憶を巡って思い出す仕草をする。
しかし、そんな王を無視してエリナは、続きを話す。
「この世界に魔王と呼ばれる人間の敵がいた、その魔王が強すぎてこの世界の人間達では、到底勝てないと思ったお前達、王族、貴族は、ある事をした、それは、別の世界の人間を召喚する事だ、その召喚術を使うと呼び出された人間は、圧倒的な力を持って召喚されるそうだな、故にそいつをお前達は、こう呼んだ、勇者と!!」
エリナは、勢いで話していた感情が高ぶり怒りをぶつける感じで。
「まさか、そなたは」
そこまで聞き王は、彼女が何を言いたいのか何故自分達に憎しみを抱いているのかを理解した。
そしてそれは、隣にいた王妃だけでなくその場にいた貴族、騎士団、魔導士団のほとんどが理解した。
「そうだ、私は、お前達が呼び出した勇者によって人生をめちゃくちゃにされた、無様な女だ!!」
エリナは、怒りに任せて叫んだその叫びは、この王の間全体に響いたのだった。
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同時に投稿している作品「魔王様、今日も人間界で色々頑張ります」もよろしくお願いします。




