第十八話 非日常の日常
石板の魔法生物を倒し無事に破壊し終えた僕とサネテアはオカルト研究部の所まで戻っていた。
「魔法は僕には使えないのか?」
「使えない・・・とは一概に言えないけど。おススメは出来ない。」
さっき言っていたリスクってやつのことなのか。
だが僕が見る限りこのサネテアも、あのアルテミアにも何かに苦しんだり傷付きながら魔法を使っているようには見えなかった。
「才能とかって奴も関係あったりするのか?」
「才能・・・というよりも相性といった方が正しい。」
「相性?」
能力との相性だろうか。
いやそれならサネテアと似た能力の僕でも相性は良いことになるはずだ。
それ以外に要因があるとすれば。
「魔法使いの血族・・・・・とかか?」
「それもある。でもそういう血の繋がりが全くなくても覚えることが出来る。」
そういうことなら僕にも出来そうな気がする。
「サネテアはどっちなんだ?」
「私は後者の方。」
「相性が良かったんだな。」
「・・・・・・・・・・・・。」
褒めたつもりだったのだが沈黙してしまった。
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結局何が悪かったのか分からないまま虚子たちの所まで戻ってきてしまった。
特に気にする必要もないことなのかもしれないが、僕はやはり気まずいままだった。
「ふぅぅぅぅ、やっぱり沈黙はつらい。」
「そんなに話しにくいことだったのか魔法の話は。」
「私の場合はそう。」
魔法使いの話は思っていたよりも根が深いようだ。
これ以上聞くのはよすことにする。
「途中までは私もアルテミアと同じだった。」
聞いてもいないのに自分から話し出してしまった。
だったらさっきの沈黙は何だったのかと僕は問いたいが、ここは口に出さずに話を聞く。
「でも師匠が、いや・・・あの元凶が本性を表し手から何もかも変わり始めた。」
「元凶か。あの石版を作ったやつか。」
「そう。私に魔法の才能を見出し育ててくれたけど、それはただ自分を楽しませるためにしてただけだった。」
「と言うと?」
一呼吸置いてサネテアが話す。
話的にどう足掻いても重苦しい話になりそうだ。
「他の魔法使いとは何もかも違う存在。詠唱を行わない魔法もその一つ。」
「でもそれはそれでいい事なんじゃないか?」
「そう、とても便利。だからこそその残虐性に気付かない。」
残虐性と呼べるほどの驚異は感じなかった。
まだまだ隠されていることがあるのだろうか。
いやあるのだろうがそれ以上の事を僕は踏み込むべきなのだろうかと考える。
しかし、ここまで関わったのだから中途半端では逆にダメになりそうな気がする。
「残虐性?」
「私の魔法は強大な力を発揮できる。でもそれだけでは終わらない。この力は魔法使いに対して絶大な力を産んでしまう。」
「つまり?」
「この力は同じ魔法使いを殺すために作られたもの。」
想像していた以上の話だった。
しかし中々別次元の話になってきた。
変に大きい話過ぎて逆に浮つく。
「同族を殺すための力って訳か。」
「本質はそうじゃない。これは元凶を楽しませるためのもの。彼は私を使って自分を殺せるものを育てていた。」
そして予想以上に変態なやつだった。
その変態な奴のせいで僕はアルテミアに命を狙われることになってしまった。
何だか怒りが込み上げてくる。
「そいつの名は?」
「レフィス。私が調べあげた所ではペインズゲートと呼ばれていた。」
レフィス・・・そいつが元凶。
会ったらサネテアには悪いがぶちのめさせてもらうことにする。
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まだ会ったこともない顔も知らない奴に憤りながら虚子たちの元へと帰ってきた。
「じゃあここでお別れ。せいぜいアルテミアに殺されない程度に頑張って生きててね。それじゃ。」
「それはお互い様だな。じゃあな。」
僕は軽く手を振りサネテアを見送ったあと虚子たちの方へ駆け寄る。
「おーい、そろそろ起きろよ。」
「あ、霊明くん。なんだかとっても気持ちいい感覚だったのに急に消えたんだけどどういうことなんだろう。」
「禍々士くん、何だか顔つきが変わったわ。何かあったの?」
「まあその事を話すよ。」
僕は3人がふわふわ空間に包まれていた時のことを話す。
魔法のこと、サネテアのこと、何故か命を狙われることになったこと。
「そんな事があったっすか。」
「ごめんね霊明くん。こんなことに巻き込んでしまったのは私のせいだ。部長失格だね。」
「いや部長のせいじゃないよ別に。それに僕にもこのオカルト世界で目標ができたし。」
「目標?」
僕は決意しそしてそれを部長に話す。
「元凶とも呼べるそのレフィスとやらをぶちのめす。」
「なんだか復讐みたいだね。」
「そんな大層なものじゃない。ゲームでもあるじゃないかこういう事ってさ。」
「確かにね。所謂ボスってやつなのかな。」
何となくゲームで例えたがやっぱり客観的でなく主観的に見ると全然違うものだ。
「まあでもなんだかんだ言ってゲームみたいに僕が全部何もかも解決できるってわけじゃないよな。」
「でもあやふやな部活目標よりも良いじゃないっすか!」
「うぐっ。」
有染の一言は部長の体にどストレートに貫いていく。
部長特効だな有染は。
「とにかくここでじっとしていても仕方ないし次の町へどんどん進もうよ。オカルト研究部、新たな目標に向かってスタートだ!!!」
勢いよく部長が宣言する。
内心不安だった僕もその部長の顔に安堵する。
オカルト世界の出来事に対して肩入れしすぎている気がしていたが、部長が、このオカルト研究部が一緒ならなんだってできる気がする。
そう思えてならない僕だった。
「そういえばいつの間に有染さんは禍々士君のことを呼び捨てになってたの?」
「穴の時にっすね。それにしても変わってるっすよねこの名前。」
名前のことはいじるなと言いたい。
「逆に禍々士はなんで呼び捨てにしないっすか?」
「何となくだ。」
「呼び捨てにしないと返事しないっすよ。」
何でやつだほとんど脅しじゃないか。
「う、憂妃那・・・。」
「やれば出来るっすね!」
いつかこいつもチョコで埋めつくしてやりたい。
「じゃあじゃあ私も。」
「寝言は寝て言えよ部長。ほらさっさと次の街行こうぜ。」
「あ、ちょっと待ってよ霊明くーん。」
僕達オカルト研究部はまた新たな目標に向けて歩き始めた。
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