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6日目 落ち着いた国の白ウサギ

「でかい。」

その一言に尽きる。小さなログハウスだと思いきや、高級住宅かよ、ってレベルの大きさだった。

 ここが、白ウサギの家らしい。


 「え、ご主人様。普通の大きさではありませんか?!」

「別に珍しくはないでしょうね。」

ナニこの人たち、感覚おかしい。


 「白ウサギはいますかね?!会いたいなぁ!!」

エイプリルが楽しそうに回る。

 それを横目に、伏木さんは木製のドアを叩いた。

 「はい。どちら様?」

奥から声がする。落ち着いた低い声。

「アリスです。」

こちらも落ち着いた調子で、返していた。

「1名様ですか。」

また落ち着いた声。

「3人です。」

また落ち着いた声。


 「…何か飲み物を用意します。何がいいか、順番に教えていただけますか?」

「紅茶を希望します。」

「はいはーい!ジュースを希望します!瓶に入った、コルクの蓋のもの!!」

「え、なんでも良いんですけど。」

なんで二人ともノリノリなの。エイプリルは、注文が細かすぎるのでは…?


 「三人目の人だけ、入ってどうぞ。」

なぜだ。紅茶もジュースも、用意がなかったとか?あいかわらず、この世界の人は普通じゃないよな。

 「どういうこと?」

「えぇー、会いたかったのですよ!!私も入れてくださいー!!」


 「お邪魔します…。」

文句を言い続ける二人を置いて、ドアを開く。

 「いらっしゃい。」

そこには少年がいて、木製のテーブルの上には紅茶が用意されていた。

「え、紅茶を希望したのは俺じゃなくて…。」

「アリサですね。わかっています。」


 「アリスの少女は僕を追って、ここへ来る。でも僕は会いたくない。困ったものです。」

「会いたくないんですか?」

「ここは夢の世界。ここで会っても、現実にはならないって、悲しいことでしょう?」

もしかして、この人もロリコンか…?

 「でも俺は、伏木さんと現実でも会いました。」

「それは羨ましい。でも、真似したいとは思えないね。」


 なぜ?

 そう聞こうと、口を開きかけた時、後ろからドンドンと音がした。


 「開けなさい!扉を壊されたくないのなら、早く開けなさい!!」

声は伏木さんの、聞きなれたモノ。だが、その口調は知らないものだった。

 「怖いよね。それが悪いことだ、とは言い切れないけれど。」

少年は紅茶を飲みながら言った。やはり、その姿は落ち着いている。


 「乱暴するのは良くないと思いますよ!アリs―」

「うるさい!早く出てきなさい、ハルカ!!」



 ハルカ、と伏木さんは少年を呼んだ。


 偶然にも、その名前は―――



 「何を言っているんだろうね。」

 少年はテーブルの上のティーカップを手で払う。

 その表情を探ろうとした俺と目が合って




 そこで夢は終わった。

 午前4時40分。恐ろしい夢を見たときに、ハッと目が覚めるように、そこで夢は終わった。

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