表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
この謎が解けますか? Re...  作者: 『この謎が解けますか?』 企画室
夜宴
18/32

侵略者 第一部「ある少年の告白」

Author――iris Gabe

 僕は、あいつらを信じない。絶対に――。


 外国人エイリアンと大人たちが呼んでいるあいつらは、僕らの島へある日こつ然と姿をあらわした。見たこともない白くひかる服で全身をおおっているが、僕らと同じ、二本足で歩き、頭はちゃんと一番上にあって、そこに目や耳もついていて、見たり、聞いたりすることもできるようだ。そういってしまえば、僕らとおんなじ人間じゃないかと、思うかもしれないが、そうじゃない。あいつらは、僕らとは全然違う生き物なんだ。

 大人たちは、そろいもそろってあいつらを仲間にしようとしている。理由は簡単だ。あいつらは僕らの欲しいものをたくさん持っている。

 あいつらも、僕らと仲良くしたがっている。でも、それは見せかけで、真の狙いは僕らの力を見極めようとしているんだ。もちろん、腕力では僕らに太刀打ちできないことを、あいつらは知っている。あいつらの身体能力なんて、子供の僕にも劣るくらいなのだから……。

 そもそも、あいつらが使う言葉は、僕にはさっぱり分からない。それに、どこから食べ物を得ているのか。どうせ、僕らの畑からこっそり盗んでいるのだろう。

 あいつらはきっと、宇宙からやって来た侵略者インベーダーなんだ。だから、絶対に信じちゃいけない。


 あいつらは男女を産み分ける妙な薬を持っている。だから、長老たちはみんな騙されてしまった。

 僕は、今年十六だから、そろそろ結婚をしなければならない。でも、今、この島に適齢期の娘は一人もいないから、十一歳のマルジュが十三になった時に、僕らは強制的に結婚させられることになっている。島のおきてによれば、男女は十八までに結婚をして、最終的に子供を二人産まなければならない。もし、結婚しなかったり、三人目の子供が産まれたりすれば、村の秩序を乱す異端者として、殺されてしまう。でも、今の若者は、男児が多くなってしまい、女児の需要が高まっている。男女を産み分けられるあいつらの薬は、実際に僕らには必要なものなのだ。

 そういえば、あいつらは定期的にいなくなる。いったい、どこに隠れるのだろう? 考えられるのは、海の向こうにいったん消えて、また戻ってくるという説明だ。僕らは海の向こうへは絶対に行かない。なぜなら、海は禁断の場所だから。でも、大昔のご先祖様たちは大きな木を浮かべて、海の向こうへ行っていたという英雄伝説を、子供の頃に聞いたことがある。

 ついこの前のことだが、あいつらは断りもなく、神さまの洞窟へ忍び込んで、なにやら荒らしているのを、僕ははっきりと見た。もう、ゆるせない。


 僕は勇気をふりしぼって行動に出た。あいつら三人のうち、一人が油断したところを狙いすまし、後ろから跳びかかって、気味の悪い仮面をはぎ取ってやったのだ。僕の推測どおり、あいつらの無表情な顔は、仮面だった。

 仮面を取られたそいつは、慌てて顔を手でおおい隠したが、しばらくするともがき始めた。助けを求めてなにやらわめき散らして、はいつくばったけど、やがて、仰向けになって、そのまま死んでしまった。それは『三十秒というわずかな時間』だった。

 でも僕がなによりも驚いたのは、そいつの顔だった。鼻がなかったのだ――。いや、正確にいうと、付いているには付いているが、あまりにちっちゃくて貧弱だから、最初は鼻だと分からなかった。そこから空気を吸っていたかと思うと、僕はぞっとした……。

 仲間が死んだのを知るや、残った二人は飛ぶように消え去ってしまった。それ以来、あいつらは姿を現わしていない。


 でも、あいつらはなにものなんだろう? まったく謎だらけだ……。

Next→→→『侵略者 第二部「グリンリーフ博士の報告書」』

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ