第八話 二人の正座
僕の部屋。
今ここに、女子中学生が二人も、いる(一人は妹だが)。
なんだかいい匂いがする。
まどかの匂いは、よく知っている。
そこに菜帆ちゃんの匂いがプラスされ、今まで感じたことのない甘い香りになっている。女の子は、一人一人匂いが違うんだな・・・。
「あの、私も裸足で正座するのでっ、撮影してくださいっ」
菜帆ちゃんが訴えるような眼差しをしてくる。
まどかは、何かを言いたそうにしているようだ。
もしや・・・「お兄ちゃんは、私のお兄ちゃんなのっ!」とか思ってくれているのだろうか・・・。
ふふふ、嬉しいなっ、僕の妄想だけど。
「よし、じゃあこういうのはどうだろう?」
その瞬間、実に素晴らしいアイデアが浮かんだ。
まどかと菜帆ちゃん、二人に裸足で正座してもらうんだ。二人の女の子が裸足で正座している動画なんて、そうそう無いだろう。
いい動画が作れれば、チューバーとしての人気の上昇も見込めるはずだ。
「菜帆ちゃんと一緒に正座・・・?」
「二人で正座なんて、素敵ですっ!」
まどかは着替えることが出来るからいいとして、菜帆ちゃんは制服のままというのはマズイな。
アップロードした動画から、学校を特定されては都合が悪い。
幸い、まどかと菜帆ちゃんのスタイルはほぼ同じ。菜帆ちゃんには、まどかの服を着てもらおう。
まどかの部屋に行った二人が着替えて、僕の部屋に戻ってきた。
まどかはTシャツにキュロット。菜帆ちゃんは、半袖ブラウスにミニスカートの姿。
ふむふむ、どちらも素晴らしい!
二人とも、ハイソックスを履いている。これからこの二人が裸足になって正座をしてくれるなんて、ワクワクが止まらない!
ふと、菜帆ちゃんが小さい頃、うちに遊びに来ているときのことを思い出した。
まどかと二人で、テレビゲームをしているところを見た。
まどかはいわゆる「おばあちゃん座り」をしていたが、菜帆ちゃんは正座をしていた。正座をしながらゲームをする子なんて、そのとき初めて見た。
お行儀の良い子だなぁと、感心したのを覚えている。
二人を壁際の手前に立たせ、カメラを構える。
二人の足元もちゃんと逃さないように、床にもカメラを置く。
「よし、じゃあ撮影スタート!」
マスクをした二人がカメラに手を振りつつ、自己紹介が始まった。
「菜帆りんで~す♪」
「マドっ子まどりんで~す♪」
「今日はまどりんと一緒に、裸足になって正座をしたいと思います♪」
菜帆ちゃんが立ったままハイソックスを脱ぎ始め、まどかも同じようにハイソックスを脱ぐ。
まどかも色白だが、菜帆ちゃんもかなり白い。二人の素足はまぶしいほどに輝いている。若さとは、そういう素晴らしいものなのだ。
二人が後ろを向き、足の裏の状態を確認するために膝をついて両足を揃える。
菜帆ちゃんの足の裏と、まどかの足の裏をじっくりと写す。まどかの足裏も良い形をしているが、菜帆ちゃんの足裏も実に良い形をしている。
二人が正座を始め、カメラを持った僕は二人の周りを回りながら撮影する。
一人がキュロット、もう一人がミニスカートというのがいい。お好きな方をご覧下さい、だ。
そして、やはり菜帆ちゃんは正座が得意なようだ。
まどかの方は早々と足が痺れてきたようで、身体がプルプルと震えている。菜帆ちゃんはピクリとも動かずに、背筋をピンと伸ばしている。
「まどか・・・震えているぞ」
「うっ、うるさい!」
「だらしないですよ、まどりん♪」
「な、菜帆りんまで・・・っ、きいいっ」
5分間が経ち、正座を終える少女たち。
再び膝立ちの格好になり、足の裏を揃えてこちらに向けてくれる。
僕は沸きあがる興奮を抑えつつ、二人の足裏をカメラに収めた。
撮影が終わり、制服に着替えた菜帆ちゃんを玄関まで見送る。
「今日は撮影して下さり、ありがとうございました♪」
「ああ、これから編集して、今夜中にはアップしておくよ」
「楽しみにしています♪」
手を振りながら、菜帆ちゃんは帰っていった。
突然、まどかが僕の横腹を突っ付いてきた。
「アニー・・・」
「ん? なんだ?」
「菜帆ちゃん撮るとき、興奮しすぎ!」
「え、ええ? そうだった?」
「鼻息フンフン鳴らしちゃって、恥ずかしかったんだから!」
「ご、ごめん・・・」
そうか、鼻息そんなに慣らしてたか・・・気を付けねば。
さて、菜帆ちゃんも帰ったことだし、動画を編集してアップロードしよう。野外撮影のリベンジ動画と、二人で正座動画の2本を仕上げねば。
僕は、自室へと引き上げていった。
翌日、なんと再びまどかが菜帆ちゃんとともに帰ってきた。
「やあ、またいらっしゃい。 今日は何を?」
「あの、昨日のお礼に・・・クッキーを焼いて差し上げようと思いまして・・・♪」
なっ、なにぃ!?
菜帆ちゃんが、僕のためにクッキーを焼いてくれる、だとっ!
「あたしも一緒に焼くんだからね」
まどかもクッキーを焼いてくれるのか。お兄ちゃんは嬉しいぞ。
菜帆ちゃんは、今日は着替えを持って来たらしい。
女子二人はまどかの部屋に行くと、それぞれ着替えてキッチンへ降りてきた。
まどかはTシャツにキャミソールを重ね、デニムパンツを履いている。菜帆ちゃんはフリルのついたワンピース姿だ。
二人とも靴下は履いておらず裸足である、すばらしい。
二人がクッキーと作り始める。
キャッキャッと賑やかなキッチンの横のリビングで、僕はノートパソコンを開いてBooTubeに接続した。昨日アップロードした動画の再生数と、コメントが来ていないか確認するためである。
まず、野外で裸足リベンジの動画・・・これは、まどかだけを撮影した動画だ。
途中で大雨になるわ、菜帆ちゃんに遭遇するわで大変な撮影だったが、ドロドロに汚れたまどかの裸足を撮影することが出来た。
その反響ははたして・・・・おお、再生数はすでに700を超えていた。
一晩でこんなにカウントするのは、まどりんの動画では初めてのことである。
コメントもいくつか来ている。
<野外で裸足リベンジの動画へのコメント>
・エロい
・まどりん可愛い!
・足がドロドロで気持ち良さそう!
・次は足裏にお灸を据えてみて~
・雨でビショビショですね・・風邪、引かないで下さい
エロいって・・・まあ、多少はそう見えるかもしれないが。
だが、またまどりんのファンが増えたことは、良いことである。
さて、次はまどかと菜帆ちゃん二人の正座を撮影した動画の反響を見てみよう。
再生数は・・・おおおっ、なんとこちらは再生数が1000を超えている!さすがはまどりんの先輩チューバー菜帆りんである。
こちらにもコメントが来ている。
<二人で裸足で正座動画へのコメント>
・二人の女の子の正座なんて、ゼイタクだ!
・エロい
・甲乙つけがたい足の裏ですな、どちらも
・綺麗な足の裏にお灸据えてみたい~
・カメラが様々な角度から撮っていて、いいね!
こちらも上々なコメントだ。
しかしどちらにも、ある同じようなコメントが来ているな・・・。
「あ、動画の再生数どう?」
「コメントも来てますか~?」
オーブンにクッキーの生地を入れて焼き始めたまどかと菜帆ちゃんが、リビングへ来た。
ノートパソコンを覗き込むので、コメントを見せてあげた。
「なんか、足の裏にお灸を据えたいって来てるよ」
「お、お灸!?」
「それって、熱くないんですか・・・?」
お灸なのだから、熱いだろうね。
まどかと菜帆ちゃんは顔を見合わせて、「どうする?」などと話している。
果たして、そんな動画を撮ったところで、面白いものになるのだろうか。
いや、待てよ・・・例えば、お灸を据えられて先に「熱い」と言った方が負けになる、というのはどうだろう。
つまり、次の動画もまどかと菜帆ちゃんの二人を撮影すればいい。
今回の二人で正座動画を見る限り、二人を撮影した方がその反響は大きくなる。
よーし、次の動画のネタは決まった!
「二人とも、次は足の裏にお灸を据えてみよう!」
「ええええっ!」
「ええーーーっ!!」
つづく
2017/10/06 体裁を整えました。