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第四話 リベンジ動画の反響、そしてコメント


 まどかの正座を撮影した素材を編集した動画が出来上がった。

 出演者であるまどかに見せよう。まどかの反応も楽しみである。

 シャワーから出てきたばかりの濡れ髪状態なまどかをパソコンの前に座らせ、動画を再生する。

 ちなみに今のまどかの恰好は、ペラペラのタンクトップにペラペラのショートパンツ。完全なリラックスモードである。


  ◇◆◇◆◇


 黒一色の画面に白いタイトルフォントが浮かび上がる。


『裸足で正座してみた(リベンジ!)』


 インパクトを出すために、「リベンジ」のうしろに「!」を付けてみた。

 黒いバックに白いフォントが映え、タイトルを視聴者に印象付ける効果を高めている。

 タイトルが静かに透け、画面が明るくなってまどかの全身が映る。


「そっか、最初は靴下履いてたんだよね」


 そう、このときのまどかには、ハイソックスを履いてもらっていたのだ。

 画面の右下には、ワイプでまどかの足をアップで映した画面を挿入している。

 両足を揃えて立っているまどかが、自己紹介を始める。


『はいっ、こんにちわ! マ・マドっ子まどりんで~す・・・』


 今、ディスプレイの前のまどかは、これ以上ないくらい顔を真っ赤にしている。確かに、センスを疑うネーミングだ。なぜこんな名前にしたのか、いつか訊いてみたい。

 動画のまどかは今回の動画の説明をし、そのまま靴下を脱ぐ。

 この靴下の脱ぎ方も、しっかりと指導した。

 まどかは「靴下の脱ぎ方なんてどうだっていいじゃん」と言ったが、それでは駄目なのだ。萌える、かつ魅せる脱ぎ方を目指さねばならない。

 今回は立ったまま、片方ずつ膝を上げて脱ぐ形をとらせた。

 裸足で立つまどか。

 右下のワイプでは、まどかの裸足がアップになっている。

 綺麗な足の甲、足の指である。


「ねぇ、この右下の足のアップ・・・いるの?」

「当たり前だ。むしろそれが本体だ」


「ええ?」という顔をするまどか。

 いいから、動画に集中しなさい。

 正座する前の足の裏の状態を見せるため、後ろを向いて膝をつくまどか。

 両方の足の裏を揃えてカメラに撮影される恥ずかしさに、足がかすかに震えている。

 ワイプでは足の裏のアップ。足の裏も、白くて綺麗だ。


「な、なんかこの格好恥ずかしいよ・・・」


 動画を見ているまどかがモジモジし始める。

 恥ずかしがることは、とても良いことだ。大丈夫、お前の足の裏はじつに綺麗だ。

 魚の目やタコの無い、まさに「無垢」な足裏。キュッと締まった長い足指。わずかに紅く色付いたかかとの丸み。足裏全体を波打つ皺。

 完璧な足の裏である。

 若干中学一年生にしてこの素足の持ち主とは、我が妹ながら恐ろしくも嬉しい。


「いや、かなり良いシーンになってるぞ」

「そ、そうなの・・・」


 膝をついて足の裏を見せているまどか。

 画面右下にはまどかの裸足の裏のアップ。

 足裏フェチにとって、申し分ない絵になっている。

 そしてまどかは正座をし、カメラがまどかの周りを回りつつ全身を映す。

 正座しているまどかのお尻の下の両足の裏。座り方も、細かい指導をしている。

 足の親指を重ねないようにさせた。重ねてしまうと、下になった方の指が見えなくなってしまうからだ。また、かかとは合わせずに開いてお尻を下ろすようにさせた。かかとを合わせるとどうしてもお尻が浮いてしまい、美しい正座のポーズにならない。

 それに、かかとを合わせた両足の裏は、前の足裏状態の確認の時に撮っている。

 ここでは15分間の正座の辛さに悶えるまどかの足の裏を楽しんでいただきたい。

 ワイプの映像は、まどかの足裏を捉える位置に陣取り、アップのそれを映し出す。


「15分間、あたしの正座のシーンで面白いのかな?」

「まあ、正座が見たいというよりは、足の裏が見たいだけだからな」

「ふぅん・・・変な人たちがいるんだね」


 ・・・・・・変で悪かったな。


 15分間のまどかは、居心地悪そうに虚空を見つめたり、お尻をモゾモゾとさせたりしている。

 まどかは座布団などを使わず、フローリングの床に直接正座をしている。そのため、脛や足の甲が痛くなってくるのだろう。常に辛そうな顔をしている。

 そして、これは指示したわけではないのだが、思いがけず良い瞬間を捉えることが出来ていた。それは、まどかが足の指をよく動かしていたことである。

 あるときは指をキュッと閉じたり、またあるときは指を開いたり、お尻の下のわずかなスペースなのに、様々な表情を見せてくれる足の裏。ワイプでは、そんなまどかの足裏の表情を楽しむことができる。

 うむ、このワイプは、この動画においてむしろメインと成り得る要素だな・・・。

 足裏のアップのみの動画も作ってアップしたら、足裏フェチに神動画認定もらえるだろうか。


 そして15分間が過ぎた。

 キッチンタイマーを止めたまどかが立ち上がろうとする。

 まず右足を前に出すところで、足が痺れているために力の加減が分からず大きな音を立てて足を着く。その瞬間、電流のような激痛がまどかの右足から脳天までを駆け抜けた。


『きゃっ!?』


 派手に転んで醜態を晒すまどか。


「あ~、このとき、すんごく足痺れてたの!」


 痺れた足をかばいつつ、四つん這いから膝立ちのポーズになるまどかの健気さが可愛い。思わず抱きしめたくなる。


『あ・足の裏は・・・どうなっていますか・・・?////////』


 カメラがまどかの足の裏に寄る。

 ディスプレイに、まどかの足の裏がでかでかと映し出される。


「ちょっと! 足の裏に近すぎじゃないっ!?」


 いいんだ、このくらいアップで。

 美しくて、可愛い足の裏だぞ。


『またリクエストがありましたら、コメントくださいねぇ~、それでは、ばいばーい♪』


 画面が暗転し、動画終了。


  ◇◆◇◆◇


 さて、どうだった、まどか?


「なんか・・・足の裏ばっかりだった・・・」

「それこそが、求められていたものなんだよ」

「ほんとにぃ?」


 クリクリっとした目で疑ってくるまどか。

 よろしい、今からこの動画をBooTubeにアップロードする。

 そして24時間後に、動画の再生数を見てみよう。

 まどかのアカウントでBooTubeにログインし、完成した動画をアップロードする。

 明日の夜を楽しみにしよう!



 翌日の夜──。

 昨日アップした動画の再生数を確認してみると・・・その数は、500回を超えていた。


「え、うそっ!? 一晩でこんなに!?」


 まどかのような素人チューバーにとって、一日で再生数が500を超えることは滅多に無いことだ。どうだ、兄に演出を任せて良かっただろう?


「アニー、すごいねっ」


 ふふふ、そう、お兄ちゃんはすごいのだよ。

 コメントもいくつか書き込まれている。


<コメントの数々>

・右下の小窓で足の裏が見れるのがすばらしい!

・正座している姿がお仕置きされているみたいで、興奮しました

・足しびれちゃったんだね!可愛いよ!

・美しい正座です。次は正座3時間に挑戦してみてください。

・裸足で外を歩いて、どのくらい汚れるか調べてください!お願いします!

・足の裏ペロペロしたい

・正座お疲れ様でした! 足をマッサージしてあげたい^^


「なんか・・・変なコメントもあるね・・・べつにお仕置きされてるわけじゃないのに」

「しかし、概ね良好な感想だな。リクエストもいくつか来てるじゃないか」


 次はどんな動画を撮るか、決めてしまおう。


「正座3時間はヤダ!」


 だろうな、こっちも3時間も正座だけの動画は撮りたくない。


「足の裏ペロペロされるのもイヤ!」


 それは無理だろう・・・・。

 誰がペロペロするというのだ。


「じゃあ、これなんかどうだ? 裸足で外を歩いて、どのくらい汚れるか、というの」

「うーん・・・簡単そうだね・・・」


 お、そんなに嫌そうじゃないな。

 実際、難易度はそれほど高くないだろう。気になるのは、人目に晒されるかもしれないということだな。


「でも、誰かに見られたら恥ずかしい・・・」


 撮影中に誰にも見られなかったとしても、出来上がった動画は人に見られるんだぞ。


「場所によっては裸足で歩いていても、変な目で見られないんじゃないか?」

「あ、海岸とか?」

「海岸を裸足で歩いてるとこを撮影しても、面白くないな」

「えー、じゃあどこ?」

「公園の中とかなら、裸足でもいいんじゃないか?」


「うーん」と首を傾げるまどか。

「大丈夫大丈夫!」と背中を押すと、首を傾げたまま自分の部屋に戻っていってしまった。

 だが、これで次の動画のネタは決まったようなものだ。どこで撮影をするか、考えておかないとな。僕はパソコンに向かうと、検索サイトで撮影場所探しを始めた。



つづく



2017/09/25 体裁を整えました。

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