第三十四話 JCとJDと僕
まどかの突然のダイエット宣言。
太ってもいないまどかがダイエットをする必要はないと思うのだが、本人がやらないと満足しないようなので、僕は里帆にメッセージで救援を要請した。
ちょうど里帆も暇を持て余していたようで、すぐにうちに来てくれることになった。
ピンポーン♪
玄関のドアを開けると、里帆が立っていた。
Tシャツにホットパンツだ。しかも、素足に白いサンダル!
いつもは勿体ぶって素足を簡単には見せてくれない里帆が、今日は大サービスである。
「はいはーい! 里帆ちゃんが来ましたよー!」
自分で里帆ちゃんとか言っちゃう女子大生って・・・。
まあ、可愛いし素足も綺麗だから、許す!
里帆の素足を楽しみたいので、スリッパは出さないでおく。
里帆も僕の性格を理解しているので、サンダルを脱いでそのまま上がる。
よく来てくれました。
「ふーっ、暑いよー。麦茶ある?」
図々しい里帆は、そのまま居間へと歩いていく。
僕はキッチンでグラスを冷たい麦茶で満たすと、それを持って居間へ向かった。
まどかはソファに座り、里帆は直接カーペットの上に腰を下ろしていた。
モジモジした動きでまどかは、里帆に打ち明けている。
「気が付いたら増えてて・・・」
「それで、ヤバいと思っちゃったんだ?」
「うん・・・ひと月くらい測ってなかったから・・・ううぅ・・・」
「ふむ」と顎を撫でた里帆は、さながら保健室の先生である。
まどかの膝に手を乗せて、たしなめはじめた。
「今のまどかちゃんは、まだ大人になってないんだよ? だから体重が増えるのは当たり前なの」
スクッと立ち上がる里帆。
綺麗な脚、足だ。
「今の私なんて」
チラと僕の方を見てから、まどかに耳打ちをする。
たぶん、今の里帆の体重をまどかに教えているのだろう。
ふふふ、大丈夫、里帆が何キロかどうか、それほど興味は無いから。
「えっ・・・!」
足をピョコンと跳ね上げて驚くまどか。
「私がまどかちゃんくらいのときも同じことで悩んだけど、実は悩まなくてもいいことだったんだと、あとで分かったのよ」
「そうなんだ・・・」
「今は成長する大事なとき。無理なダイエットなんて、しちゃダメなのよ」
「うん、分かった!」
さすがは里帆。綺麗に収めてくれた。
「でも、運動をすることは良いことだと思うな。適度な運動は続けた方がいいよ!」
「うん! さっきね、お兄ちゃんに手伝ってもらって腹筋したんだ!」
「偉いねー。腹筋なんて、長いことやってないなー」
お、里帆も腹筋やるか? 足、押さえててやるぞ?
「え? い・いいよ」
「里帆お姉ちゃんもやろうよ! 楽しいよ♪」
まどかに肩を押されて寝かせられる里帆。
よし、いいぞ! 里帆の足を押えよう。
里帆の足首を揃え、グッと抑え込む。ううむ、いつ見てもきれいな形の素足だ。
「ええ、ほんとにやるの? もう・・・」
しかたなく頭の後ろで両手を組み、上体を起こす里帆。
不意に僕と里帆の顔が近くなり、お互いに赤面してしまった。
う、後ろ向くよ・・・!////
僕は向きを変えて里帆の足首を押えることにした。
おお、こうすると、里帆の足がよく見える!
最初からこうすれば良かった。
「まどむったら、照れなくても良いのに・・・////」
そっちだって照れてたくせに!
まどかは「お姉ちゃん、頑張って!」と応援している。
里帆は頑張って腹筋を重ね、僕は里帆の素足を見続けた。
里帆は、50回もの腹筋をやり遂げた。すごい!
「ふーっ、汗かいちゃった」
そりゃ、あれだけ頑張れば汗をかくよな。いくらエアコンの冷房が効いているとはいえ。
里帆の首元の髪が、汗で肌に張り付いているのがエロチックだ。
「里帆お姉ちゃん、シャワー浴びたらいいと思うよ!」
まどかが実に気の利いたことを提案する。いいぞ!
ぜひシャワーを浴びていきなさい。
「じゃあ、お言葉に甘えて・・・」
里帆とまどかがお風呂の方へ行くので、僕も一緒に行くことにした。
「ちょっと、なんでアニーも来るの!?」
「まさか覗こうなんて考えてないでしょうね!?」
まさか、そんなことするか!
一緒にシャワーを浴びようかなって思っただけだよ。
「一緒に入るか、バカーっ!!」
怒られてしまった。
つまんないので、居間でテレビでも見てようっと。
ほどなくして・・・・。
「ぷ・・・ぷひゃああぁぁぁ~~~~~っ!?」
脱衣所の方から変な声が聞こえた。
またか・・・僕はよいこらしょとソファから腰を上げると、脱衣所へ向かった。
「お姉ちゃん、どうしたの!?」
まどかが脱衣所のドアに声を掛けている。正確には、ドアの向こうの里帆に声を掛けているのだが。
「なっ、なんでもないから! 大丈夫だから・・・っ!」
里帆の焦った声。
やはりな・・・僕は薄々感づいていた。
まどかをたしなめ、居間に戻る。
やがて里帆が戻ってきたが、その表情は曇っていた。
「里帆よ、太ったんだろう?」
突然、里帆の右足の裏が、ソファに座っていた僕の左頬にめり込んだ。
「デリカシーゼロの男めっ!#」
乱暴な女めっ。
「お、お姉ちゃんも・・・体重増えたの・・・?」
まどかが恐る恐る訊くと、里帆はため息をつきながらコクリと頷いた。
「ダイエット・・・・しなくちゃ・・・」
そのまま里帆は、玄関から出て行ってしまった。
里帆はダイエットなんてせずに、今のままのスタイルを維持してくれればいいのに・・・と僕は、思った。
つづく
2017/10/28 体裁を整えました。




