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第十八話 里帆の策略


 里帆とメッセージのやり取りをして、次の土曜日に撮影をさせてもらうことになった。

 僕はワクワクしながらせんねん灸の土台をカッターで切り落とし、準備を整えた。


 そして、待ちに待った撮影日。

 まず里帆の家まで来てほしいと言われているので、里帆の家に向かおう。

 天気も良く、実に気持ちの良い日だ。

 里帆の家は、うちから歩いて5分ほどのところにある。

 撮影させてくれるということにはなったが、どんなネタで撮影するかは話し合っていない。おそらく、まどかにやってもらったことはいずれもやっていただけるものと推察する。

 BooTubeにはアップしていないまどかの石抱き責めの動画も、一応持っていこう。まどかがやっているところを見せれば、里帆もやってくれるだろう、と淡い期待を抱いてみる。

 ほどなくして、里帆の家に着いた。インターホンを鳴らす。


「はーい♪」


 玄関のドアをガチャリと開けて出てきた里帆を見て、僕は落胆した。

 里帆は小豆色のジャージを着ており、白いソックスまで履いている。

 なんということだ・・・今日は僕が裸足の里帆を期待してやってきたことを分かってくれていると思っていたのに・・・。

 しかも小豆色のジャージって・・・そんな僕の表情に気付いた里帆。


「なによ、その顔」

「あ、いや、ジャージなんだなって思って・・・」

「ふふっ、ちゃんと着替えてあげるから♪」


 そう言われて、僕は里帆の部屋へ通される。里帆の部屋に入るのはすごく久しぶりだな。

 まどかの部屋よりも、大人っぽさを感じる部屋。入るだけでなぜか照れ臭くなってしまう。

 いずれまどかの部屋もこうなるのだろうか。

 そして、香水のようないい匂いがする。


「アロマ焚いてるの」


 アロマ! なんとお洒落な里帆さん。

 何の香りだろう? 「ジャスミンよ」と里帆は教えてくれた。

 ベッドの上を見ると、制服とTシャツとホットパンツが置いてある。


「さ! どっちがいい?」


 へ? と思っていると、里帆が勝手にベラベラとしゃべりだした。


「まどかちゃん・・・まどりんの動画を見ててね、気付いたんだけど、まどむ制服かホットパンツが好きでしょ? だから私も同じのを用意してみました! 高校の時の制服、まだ着れるかどうか分かんないけど。探すの大変だったんだからね! あ、でもホットパンツでもいいよ。今更高校の時の制服を着るなんて、ちょっと恥ずかしいもん。はいっ、どっちがいいか選んでね」

「ええと・・・水着・・・ってのはダメ?」

「却下!!////」


 水着は却下されてしまった、ションボリ。

 じゃあどうしよう、どっちがいいかな。

 っていうか、出迎えてくれた時はジャージでガッカリさせておきながら、ここでお好きなコスチュームをお選びくださいって、どんだけ男心を擽るポイントを理解しているのだ・・・恐るべし、里帆。

 今すぐに決断するのは難しいな。

 まずは今日のプレイ内容もとい撮影内容を決めてからコスチュームを決めることとしよう。


「まどかの動画、どれを見てくれたの?」

「たぶん全部見た。正座のも、お灸のも、公園歩くやつも」


 ふむふむ、それは話が早い。

 では、どのネタを里帆さんにやっていただけるのでしょうか。


「まどむが撮影したいの、なんでもいいよ」

「えっ、ほんと!?」

「まどむと遊ぶの久しぶりだもん。あたし頑張るよ♪」

「実はさ、BooTubeに投稿してないんだけど、こんな動画も撮ってあるんだよ」


 チャンスとばかりに僕はタブレットを取り出し、まどかの石抱き責め(実際は百科事典だが)動画を里帆に見せる。

 しばらく黙ってそれを見ていた里帆だが、急に叫んだ。


「まどかちゃん可哀想! なんでこんなことするの!?」


 慌てて僕は、まどかが僕のゲームのセーブデータを消してしまい、お仕置きとして石抱き責めをすることになった経緯を説明する。

 怪訝そうな顔をする里帆だが、次の瞬間、上目遣いに言った。


「・・・あたしにも、これやってくれる?」


 ぐっはあっ!!

 この動画を持ってきて良かった、ほんと良かった!!

 僕の頭の中で、ものすごいスピードでジグソーパズルのピースが合わさっていく。


「じゃあ、まどかがやったこと、それらをミックスしてみるってのはどうだろう?」

「ミックス・・・するの?」


 そう!

 外を裸足で歩かせられ、正座させられ、膝の上には重石を乗せられ、足の裏にはお灸を据えられる。

 それを一回の撮影で全部実行しちゃうんだ!


「そ、そんなこと可能なの?」


 やってできないことはない!

 重石代わりの百科事典を外に持ち出すのが文字通りお荷物だが、素晴らしい動画を作るためなら、僕はなんだってする!


「じゃあ、撮影は外ですることになるわね」


 二人でどこで撮影できそうか、考える。

 そして同時に、同じ場所を思い付いた。


「「学校の裏山!」」


 僕たちがかつて通っていた小学校には、裏山があった。

 まるでドラえもんの世界のような裏山は、そのほとんどを森に覆われ訪れる人も少なく、今回の撮影にぴったりと思われる。


「制服汚したくないから、ホットパンツでいいよね」


 はい、いいです、よろしくお願いします。


「じゃ、着替えるから出てって」


 僕は、里帆の部屋を追い出されてしまった。

 ああ、楽しみだ、里帆のホットパンツ姿・・・。

 ほどなくして里帆が着替えを終えて、部屋に入れてもらう。

 里帆は先ほどのジャージから、Tシャツ・ホットパンツにコスチュームチェンジしていた。

 そして、裸足になってくれている。

 これだ! これを楽しみにしていたんだ!!

 まぶしいほど白い素足。美しすぎる形である。

 思わず「いいね!」と言ってた。


「ありがと♪ まどむ、昔っからあたしの足見てたよね」


 え、そ・そうかな・・・そんなに見ていたかな・・・。

 いや、見ていたかもしれない・・・それほど、里帆の足は昔から綺麗だったのだ。

 いよいよこの素足を存分に撮影できる・・・!


「じゃ、行きましょ♪」


 はいぃっ!

 里帆は裸足でスニーカーを履いて、家を出る。

 僕も鼻息荒いまま、里帆に続いた。

 空には、雲一つなかった。



つづく



2017/10/16 体裁を整えました。

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