表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
13/40

第十三話 裸足のJC


 時刻は夕方の5時近く。

 僕の部屋に百科事典を持ってきたまどか。


「お、重いぃ~・・・持ってきたよぉ・・・」


 現在のまどかの恰好は、タンクトップに短パン、そして素足。

 完全な部屋着である。


「い、石抱き責めの刑って、どんななの・・・?」


 僕のゲームのセーブデータを消してしまったまどかは、石抱き責めの刑を受けることになっていた。

 石抱き責めについて調べてみたが、使用する石の大きさについては「尺」や「寸」等の単位で説明されていて、正直よく分からなかった。

 もっとも、サイズが分かったところで手ごろな石が入手出来るとも思えない。

 そこで思い付いたのが、百科事典を使う方法である。

 本日より我が家で行う石抱き責めの刑は、百科事典を使うこととしよう。


「石抱き責めの刑とは、正座した膝の上に重ーい石の板を乗せることだよ」

「え・・・ええ~・・・引くぅ・・・」

「僕のセーブデータを消したのは、誰だっけ?」

「はぅ・・・あたしです・・・」


 素直に自分の非を認めるのは、おりこうさんの証拠。

 では、百科事典はこちらに置いて、そこに正座をしなさい。


「はい・・・お手柔らかに・・・」


 なかなか奥ゆかしい言葉を知っているな、まどかは。

 だがしかし、お兄ちゃんは甘くないぞ。

 フローリングの床に直に正座で座るまどかの白い膝上に、百科事典を一冊、そっと乗せた。

 この百科事典は、僕が小学生の頃にはすでに我が家にあった。昔は何度か開いて眺めたりしたこともあったが、最近はその存在すら忘れていたほどである。

 まさか、こんな使い方をされるとは百科事典本人(本本?)も思ってはいまい。


「どうだ、重いか?」

「え? うーん・・・一冊じゃそれほど重くは・・・」


 そうか、まだ全然耐えられるというのだな。

 では、もう二冊乗せてみよう。

 僕は百科事典をさらに二冊、まどかの膝に乗せた。合計三冊になった。


「はぐゎ・・・はぅ・・・・っ!」

「おっ! つらい? どう?」


 まどかの息遣いが荒くなってきた。

 膝の上の百科事典が、ユラユラと揺れている。女の子の膝は、柔らかい。それが如実に分かる現象と言える。

 だが、まだ乗せられそうな感じだ。

 調子に乗った僕は、もう二冊の辞典を、まどかの膝に乗せた。


「無理無理むり無理ムリっ!!!!!」


 合計五冊の百科事典。

 一冊の重さが1キロだとすると、5キロの石を乗せているようなものである。


「あああーーーーっ! 膝がぁーーー!」


 まどかが大げさに叫んでいる。

 いや、ホントに痛いのかな?


「重いぃぃ~・・・重い・・・おも・・・」


 膝が重さに慣れてきたのか、徐々に落ち着きを取り戻すまどか。

 うーむ・・・見ていて面白くない。

 そうだ!

 この三角定規で、足の裏を突っついてみよう!

 相変わらずろくな思い付きをしない僕であるが、かまわず三角定規を持ってまどかの背後に回り込む。


「な、なに・・・?」


 ふっふっふ・・・えいっ!

 三角定規の尖った角で、まどかの足裏をツンツンした。


「あっひゃっ!! やっ、やめてっ! 痛い・・・っ! くすぐ・・・ったい~っ!」


 笑いながら痛みに悶えるまどかが可愛くて、ついついツンツンする速度を上げてしまう。

 膝の百科事典はグラグラと揺れ、ついにはまどかの膝から崩れ落ちてしまった。

 はたと我に返る僕とまどか。

 僕は黙ったまま百科事典を拾い上げ、まどかの膝に再び乗せた。


「また乗せるんかいっ!」


 こうして楽しいお仕置きは、夕飯の時間まで続いた。

 ずーっと正座していたまどかは、まともに立つことが出来なくなるほど足が痺れたようだ。

 今夜、足マッサージでもしてあげようかな。



 翌日――。

 この日は大学の講義が午前中だけだったので、午後はリビングでゴロゴロ過ごしていた。

 昨夜、まどかの足をマッサージしてあげようと言ったら、やんわりと断られた。

 マッサージ、してあげたかったな・・・。

 ほどなくして、まどかが学校から帰ってきた。


「ただいま~」


 ガチャリ


 リビングの扉を開け入ってきたのは、まどか・・・ではない!?


「あっ、お兄ちゃん、ただいまっ♪」


 まどかと同じ制服を着ているその少女はいきなり、僕に抱きついてきた。

 なななっ、なっ!!??

 明らかにまどかよりも髪が短いし、まどかの黒髪よりも茶色い髪だ。


「だ、誰だっ!?」

「ええ~、まどかだよ~?」


 そんなバカなっ。

 まどかが僕に抱きついてきたのは、小学校低学年までのこと。以来、めっきり抱きついてくれなくなってしまった・・・(さみしい)。

 そのまどかが学校から帰ってくるなり僕に抱きつくなんて、ありえないことだ。

 まさか、どこかで僕をモニタリングしているのか・・・?

 本物のまどかと入れ替わった偽妹を目の前にして狼狽(うろた)える僕を監視して、どこかで笑っているのではあるまいな!

 隠しカメラがないかとリビングを見回すが、所詮素人である僕には、見つけることが出来ない。

 僕は偽まどかを突き放すと、距離をとって再確認をする。

ふむ、顔はまどかとは違う。似てもいないが、可愛い。

 顔カテゴリ的に言うと、「元気っ子」タイプだ。

 制服はまどかのものと同じだが、よく見ると靴下を履かずに裸足である!

 な・なんで裸足なんだよ・・・可愛いじゃねぇか・・・////


「お兄ちゃん、私まどかだよ?」


 “お兄ちゃん”って呼んでくれるのも、地味に嬉しい。

 よく考えたら、この子はまどかなのかも知れない。

 見た目はちょっといつもと違うけど、それはそれで新鮮であるし。


「お・おかえり、まどか」

「えへへ、ただいま!」


 その瞬間、リビングの扉がバァンッ!と開いて、見覚えのある女の子が入ってきた。


「アニーのバカァッ!!」


 あ、まどかだ。

 本物のまどかが入ってきた。

 やっぱり目の前の少女は、まどかではなかったようだ。


由香(ゆか)ちゃん、もうやめようよ!」

「あーあ、もう入ってきちゃったのか~」


 つまり、どういうことだってばよ?

 まどかの説明を聞くと、この子はまどかの友達で「由香ちゃん」という。

 今日はうちに遊びに来たのだが、面白いから僕を騙してみようということになったらしい。

 ふ、そんなことで、この僕が騙されるわけがない。


「さっき「おかえり、まどか」って言ってたよね!?」


 本物のまどかからツッコミが入った。

 細かいことを指摘する妹だ。

 しかし由香ちゃんは、どうして裸足なのだ。

 普通、制服というのは靴下がセットになっているのでは。


「私、靴下あんまり履かないんだ~」


 ほお、ということは、いつも裸足なの?

 学校に行くときも履かないの?


「うん、そうだよ♪」


 なるほど、まどかよ、良い子とお友達になったね(歓喜)。

 ニコニコしている僕を後目(しりめ)に、まどかと由香ちゃんは二階の部屋へと上がっていった。

 ふむふむ、菜帆ちゃんといい由香ちゃんといい、素直に裸足になってくれる子を連れてきてくれて、お兄ちゃんは嬉しい!

 それでは、由香ちゃんも交えて楽しい動画を撮影できないか、考えるとしよう。



つづく



2017/10/16 体裁を整えました。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ