召喚、その3
がつりがつりと某は魔物のやつを殴り付けたのである。
この大騎士マルコ・デューク・デュカード。
かような魔物ごとき恐れないのである。
思い起こせば我が祖カラムル・モリガナ・デュカードは。
魔神を倒した大英傑。
その正統を接ぐ嫡子である某が、このような魔物ごとき、苦戦すらしないのである。
がつりがつり。
いまお城の中で勇者召喚を行っている、貴族、魔術師などは。
その辺りよく考えたほうが良いである。
勇者と言っても所詮は他国人。
命をかけて王国に尽くしたりはしないのである。
某の戦いこそ、見よ!
がつりがつり。
魔物を押し退け殴り付け、泣かせてひねってくびり殺し、これまで傷一つ負っていないである!
役に立つかわからぬ勇者などより、はるかに優れた戦果を上げているである。
魔術師どもが力をかせばその戦果は10倍、いやさ100倍にはなっていたであろう。
がつりがつり。
それをあたら魔術師を無駄遣いにしおって!
まったく戦を知らぬやからには困ったものよ。
某、少々疲れてきたである。
何せ魔物の数は多い。
ああ、まったく。
ねこの手みたいな勇者でもおったなら、いくらかは役に立っただろうに。
まったく。
プスン!
おや?
今のプスンはなんであるか?
いやいや。
物音の理由がなんであれ、城門は死守するである!
ここが破られれば都の一大事。
皆のもの、ふんばれ!
必ずや勇者召喚は成功し、いまに我らを救うべく、かけつけてくるである。
今日まで厳しくお前たちを鍛えてきたのもこのようなときのため。
勇者が駆けつけるまで、騎士の誇りを見せるである。
それ、あとひと踏ん張り。
えいやと剣を、振り抜くと
某は魔物の群に突撃したである。
がつりがつり。
……。