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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

クラスごと異世界召喚されかかったから召喚魔法陣から逃げてみた

作者: 紅の目

突発的に書きました。

まさか5時間もかかるとは思いませんでした

 召喚魔法陣

 それは幾多の日本人を異世界に送り込んだ究極の誘拐犯である。

 特に昨今では学校の教室一室をまとめて召喚したり、酷いときには学校ひとつを飲み込んで召喚する。

 その先には夢と希望があるといわれるが、召喚された本人にしてみれば大体が絶望するという、そんなはた迷惑な存在である。




 さて、なぜこんなことを言っているかというと、今現在俺の足元にその召喚魔法陣がでかでかと展開されていた。

 この召喚魔法陣、無差別なのか教室全体をカバーしており、教室左の廊下側に座っている俺の場所にまで達している。

 俺の行動は・・・


・硬直する


・叫ぶ


・逃亡←選択!


 俺はすかさず窓を開けて廊下へと飛び出した。

 この間0.5秒である。

 後ろではクラスメイト達が叫んでいるが知ったことではない!


「ちょっ!ナンだよこれ!」

 

「どうなっちゃうの!助けて皇紀!」


「フヒヒヒ!異世界ハーレムだ!」


「おっ落ち着いてみんな」


 主人公野郎とその幼馴染とキモオタと委員長の叫びが聞こえてきた。

 だが俺にはどうすることもできない、廊下に着地して振り返ると、窓から光があふれてくる。

 おれはその場で直立し、右手を額に持っていき...


 「異世界に旅立つ生贄に、敬礼!」


 ビシッ俺は敬礼と賛辞の言葉を送ったのだが、みんなはそうは取ってくれなかったようだ。


 「「「「ふざけんな!」」」」


 「逝って来る!」


 ...一人喜んで行った奴がいるな。

 それはさておきクラスのみんなは異世界に旅立って行った。

 瞬間、俺の足元に再度召喚魔法陣が展開した。

 

「なんとぉ!」


俺はその場で側転して回避、召喚魔法陣の上に雷光が漂い召喚魔法陣は消えた。


「あっぶねぇスタン攻撃付きか・・・

 さすが召喚魔法陣、汚い、汚すぎる!

 俺はネット小説が大好きなライトオタクだが、でも異世界に行きたいわけじゃないんだよ!

 オタクは日本で情報を食べて生きるのが幸せなんだ!」


 そう叫んだ時、目の前に召喚魔法陣が浮かんでいた。

 認識した俺はジャブを討つわけもなく、バク転で距離を取った瞬間、紐状の何かが召喚魔法陣に飲み込まれた。


「今度は束縛攻撃か、どんどんいやらしくなるな」


 おれが冷や汗をぬぐうと、召喚魔法陣はこちらに突撃を敢行してきた。

 スピードはまだそれほどでもないが、俺は一気に反転し召喚魔法陣から逃げるため廊下を全力ダッシュしはじめる...


 少し走り『もう少しで階段だ!』という段階で俺は何かを感じた。

 

 ヤバイ!


 直感に従い横に転がり身を伏せたのが幸いしたのか、すぐ横を召喚魔法陣が猛スピードで駆け抜けたのが見える。

 ふぅ、と安堵の息をついたところで、


 キャァァァ!


 悲鳴が聞こえてきた。

 俺がそこで目にしたものは、


「なんだ!この魔法陣は!!」


「かッ会長を放せ!」


「私は良いから逃げなさいっ二人とも!」


 学校の美人生徒会長とイケメン副会長、それにわんこ書記だった。

 召喚魔法陣は生徒会長を束縛しズブズブと飲み込んでおり、残る二人がなんとか組み付いて引き出そうとしている。

 しかし召喚魔法陣の方が力強く飲み込んでいっている為、少しの時間しか稼げていない。


 「チィッ!そんなに持たないか、みんながんばってください!」


 俺はそういい残し体制を立て直すため起き上がり、階段を駆け下りていったが後ろのほうで「「「この外道!」」」と聞こえてきたが俺は気にしない。

 今後の生活がかかってるんだ、おとなしく異世界でハーレムでも最強でもやってくれ!

 



 一階にたどり着き振り返ると、召喚魔法陣が追ってきていた。

 階段を急いで下りたのだがスピードが出ない俺に対して、召喚魔法陣は宙に浮いてるから俺より速かったんだろう。


「今度は自動追尾の上、生贄召喚で消えないのかよ」


 まったくもって汚い、さすが召喚魔法陣!汚い!!

 と意識をそらした瞬間、光の鎖が迫ってきた。

 

「うお!」

 

 俺は体制を崩しながら何とか避け、そのまま下駄箱に向かって走り出す。


「そんなんありかよ!」


 文句も言いつつ走って逃げていると、いつも口うるさい教頭先生が目ざとくこちらを見つけて走ってきた。


「またお前か!今度こそ許さッウゴォ!」


「教頭先生!」


 何か叫んでいたが俺が回避した光の鎖に巻き取られ、教頭先生はそのまま鎖に引かれ、スッと光となって消えてしまった。

 先ほどの生徒会長たちより格段に速い召喚速度だ、召喚魔法陣は召喚魔法陣なりに学習し召喚しているということか・・・


(ヤバイな、生贄で時間を稼げ無くされた。一応召喚するまで数秒かかかっているがこのままだと逃げ切れない)


 俺は教頭先生が召喚されたのを一瞬だけみて、そう結論を下し走り出した。

 


 召喚魔法陣の進撃スピードがおそいのはありがたいが、さりとて余裕があるわけでもない。

 理由としては偶にいきなり速度を速くして襲ってきたり、光の鎖を展開したりするたびに移動速度が落ちるのと、俺が体勢を崩すため足が止まってしまうからだ。

 余談であるがその度に1年のアイドルだとか不良っぽいのとか漫研の部員だとか用務員を巻き込んだが些細な事だ。

 一番の被害はおれの靴である。

 近くのスーパーで買った8000円の品で、まだまだ新しかったため買いなおすことを考えると痛い出費なのだ。


 

 とりあえず何とか玄関を抜け部室棟の前まで何とか逃げてこれた。

 此処に来たのは一応理由があり、武器の調達をするためである。

 理由としては召喚魔方陣が此処までしつこいとは俺も予想しておらず、最悪迎撃戦を行うことを覚悟したからだ。

 召喚魔法陣は先ほどの大規模召喚(玄関に集まっていた60人ほどを一斉召喚した)で移動速度が急激に落ちたので此処にこれた。

 これまでの経緯を考え直した結果、召喚魔法陣は召喚するたびにエネルギーを消耗している。

 それも質量じゃなく1回の召喚で同じエネルギーを使用しているようで、60人召喚する時も1人召喚したときも直後は移動はするが物に当たっても召喚を行わなかった。

 移動するということは予備のエネルギーがあると思った俺は、準備を整え勝負を掛けることにしたのだ


「うし、金属バットに木刀なんかも手に入ったし何より模造刀が手に入ったのがでかいな」


 これ以外にも救急箱とかボールとかも拝借しているし、弓道部にあった和弓と矢なんかもゲットした。

 俺はそれらを装備し校門へ向かったのだった。



 召喚魔法陣は校門へ向かう大通りと呼ばれる通路に鎮座していた。

 今まで召喚した者から知識を得たのか、見晴らしのいい場所に陣取られており、見つかった瞬間に寄ってくることだろう。

 

(校門まで150m、恐らくだがそこを抜ければ何とかなるだろうと思いたいな)


 ここまで逃げておいて何だが、どうやれば召喚魔法陣から逃げれるか予想がついていない。

 ただ、今回は学校内の大量召喚だったので校外へ逃げれば何とかならないかと思っているのだ。

 俺は覚悟を決めた。

 もう逃げられない、ならば此処で戦うしかない。

 かつて中二病をこじらせた俺は弓道部に入り弓を、抜刀術道場に入り抜刀術の基礎を修めた。

 ちなみに腕前は素人に毛が生えたものだが弓と居合術には覚えがある。


 

 建物の影から和弓に矢を番え、二射放つ...

 1射目は命中、しかし光となって消えたが2射撃は光の触手で払われた。

 召喚魔法陣は矢を払い終わるとこちらに向かって移動を開始した。


(奴との距離は35m、運が良かったな)


 はっきり言って当たったのは召喚魔法陣が大きかったのと運である。

 それでも何とか3、4と射終わりがほぼ効いてない。

 俺は和弓を投げつけて変わりに金属バットと木刀を両手に構た。

 召喚魔法陣は和弓を光に変えきった所で、中距離攻撃用の光の鎖を展開し俺に伸ばしてきた。

 それに対し何とか3撃目は回避に成功、2撃目を左手の木刀で殴りつけ木刀を放棄、木刀はすぐさま光となった。


(チィッ!触れると即召喚か、残るは金属バットと模造刀、後はボールか)


 俺は心で舌打ちし召喚魔法陣の方へ向かって走り出す。

 光の鎖は木刀を召喚したした歳に消えており、残るは光の触手。


(誰得だよ、冴えない男の触手プレイとか・・・)


 触手が展開されたため右の金属バットを投げつけるが触手の一部しか消えず、召喚魔法陣は残った触手で絡め取るべく伸ばしてきた。

 俺は触手にボールを当てると何とか逃れることに成功し、何とか肉薄した召喚魔法陣の前で、


「オォォォッ!!我流一閃!!!」


 何のことは無い、ただの居合い切りを放った。

 それでも此処まで上手く放てたのは人生で初めてだ。


 キュォゥェェ・・・


 召喚魔法陣の横一文字に切れ込みが走り、明滅しながら消え去っていった・・・


「何とかなったか・・・」


 俺は模造刀を鞘に戻しつつ安どのため息をついて校門へ歩き出した。




 校門を跨ぐ瞬間おれは校舎を振り返り、


「犠牲者が出たが俺はこの世界で生きていく。みんな、異世界でがんばってくれ」


 そして校門を出ようと再度歩き出した時、


 ゴンッ!


 透明な壁にぶつかり、しりもちをついた。


「なっ何だ!」


 手を伸ばせば校門のところに壁がありそこから先に進めなくなっている。 

 俺は振り返り、そして愕然とした。


「バカな、俺一人を召喚する為に此処までするのか・・・?」


 そこにあったのは学校全体を覆うような超巨大な召喚魔法陣の一部、それに生徒達に絡みつく光の触手だった。

 俺はすぐさま透明な壁に切りかかったが、奴は学習しているためかなり堅固は防壁を築いたらしく、傷ひとつつけることができない。


「やっやめろ!ここから出してくれ!俺に異世界は創作の中だけで良いんだ!」


 そう叫ぶ足元から光の触手が這い上がり、俺を拘束していく。


「はっ放せ!俺は現代日本のぬくぬくとした世界に・・・」


 凄まじい光が召喚魔法陣から湧き上がり、俺の意識を白く塗りつぶしていき、全てが光となって消えていった。

 



 そして俺の意識が再び戻ったとき、


「いらっしゃいませ異世界の勇者様方!どうぞこの世界をお救い下さい!」


 俺は異世界に召喚されたのだった・・・

評価か読みたい人があれば舞台裏を書くかも・・・

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― 新着の感想 ―
[一言] 久々に、読み返しに来ました。
[良い点] 勢いが落ちないまま終わって面白かったです。用務員とかなろう見てると笑えるのが良かった。あっさりしてるのがよかったんで続くなら短編か中編がいいなあと
[良い点] ほかの作品とは違って斬新で面白かったです(n‘∀‘)η 続編見てみたいですそこでも巻き込んだ人たちから逃げる的なのを期待してしまう [気になる点] 誤字が時々あって『ん?』てなりますが面白…
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