表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
この度わたくしに妹が出来ました  作者: 犬塚猫蔵
3章・前編「会長と初めての思い出」
96/163

29P

 一体何が俺達の周りに起ころうとしているのだろう。


 最近の鈴音の憂鬱の原因。

 突然現れた鈴音の父、花菱蔵人。

 そして様子のおかしくなった今日の鈴音。

 そして──千鶴。


 何故鈴音父の口から千鶴の名前が飛び出た?

 俺の事も知っている風だった。

 そして鈴音はその事が露見されるのを極端に恐れていた気がする。


 ──少なくとも心の準備が必要なほどには言いあぐねる内容なのだ。


 俺、千鶴、鈴音。


 三人を取り巻く日常は少しずつ変化していった。


 誰かと出会って何かが変わる。


 人生とは得てしてそういうことの繰り返しなのだ。


 ならば、今回のことは俺達にどんな変化をもたらすのだろう。


「ずっと一緒にいれりゃ…俺はそれでいいんだけどな」

 日も暮れ始めた校門前でひとりごちる俺だった。



               × × ×



 その日の深夜のことである。


 唐突に携帯が鳴った、鈴音から電話だった。


「はい」


『圭吾、寝てたか?』


「いや起きてたよ」 


『そうか……今圭吾の家の近くの公園にいる。……出てこれるか?』


「え? 帰ってくるの明日じゃなかったの?」


『すぐに用事を済ませて私一人で帰ってきたんだ』


「そ、そうか。よし待ってろ、すぐ行く」


『うん…待ってる…』


 弱々しい口調でそう言うとプツリと通話が終わったので早速着替えて件の公園へ向かう。


 ──公園に着くとすぐに鈴音は見つかった。

 月明かりに照らされた鈴音は何処か怪しい美しさを放っていてその表情はよく見えない。


「よ、おかえり」


「…うんただいま」


「会合とやら、どうだった?」


「どうもないさ、父のビジネスの手伝いをしに行っただけだ。大した感慨もない」


「ビ、ビジネスって…お前まだ高校生だろ?」


「そんなものただの符号だ。…花菱の家にとって年齢など些末な問題らしい」


「お、おいさっきから何言ってんだよ、娘だろお前。道具なんて──」


「……そういう家系なんだ、花菱家は」


 ひどく物悲しそうに鈴音はそう断言した。


「圭吾。今から君に全て話そう。花菱家のこと、私のこと──そして千鶴のこと。君に全て…打ち明ける」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ