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──正座であった。
朝っぱらから男子全員が綺麗に正座をしている。
いや時間帯はあまり関係ないけれど。
とにかく3年B組の担任(坂本勘八先生52歳。親しみを込めてカンパチ先生と呼ばれている)が教室に来るまでの間鈴音による怒りの説教をクドクドと聞かされることと相成った。
女子は皆同情の色すら示してくれない、さも当然だもっとやれと言わんばかりの冷たい目で男子陣を見下していた。
──そんないつもよりもずっと騒がしい朝を迎えた本日正午。
昼飯時である。
鈴乃監修の話し合いのもと、喫茶店は撮影、録画一切禁止に。
衣装は女子のみで決める事となり、男子達は文化祭まで女子の完全奴隷宣告を言い渡された。
男子たちは皆一様に覇気がなく一部には涙を流す輩までいるほどだ。
そんなお通夜みたいなムードで昼食を食べる男子と朝のことはケロッと忘れたかのようにワイワイキャッキャと平常通りかしましく昼食を囲む女子の対照的な教室の中、鈴音は仏頂面のまま席に座っていた。
「鈴音。………なあ鈴音ってば」
「………」
俺はいくら呼びかけてもこちらに反応しない鈴音にしつこく声をかけていた。
目も合わせないぞこいつ。
「なあ、悪かったって鈴音」
「…………」
「いい加減機嫌直してくれよ」
「…………ふん」
聞く取り付くシマもない。まいったな。
「なあ鈴音ってば! ………鈴音ちゃん?」
「………っ!!」
ギロリと怖い顔で睨まれる。やっと目があった。
「……ちゃん付けはやめろ。…あと話しかけるな…スケべ、盗撮魔」
「…ま、まだ未遂だ。それに俺は主犯じゃない」
「未遂だろうがクラスの女子の…は、破廉恥なコスプレ写真を欲しがりあまつさえ販売しようとした時点で問題だ!」
少し顔を赤らめながらも俺の言葉を否定する鈴音。
「しかも…妹にまで変な格好をさせるつもりだったろう…変態」
「ちが…! あれは話しの流れと言うか千鶴には犬耳とかが似合いそうだってだけの話で──」
「ふん、どうだか…大体そんなえっちなコスプレ、文化祭で出来るわけないだろ」
「いや、衣装は普通のコスプレだよ? ただアングルとかを際どくする手筈だったらしくてな──」
「………この盗撮魔」
目を細めてむーっと俺に訝しげな視線を送る鈴音。
「…だから未遂だっての」
思わずため息がこぼれる。