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× × ×
さて、千鶴とのそんな楽しげなやりとりの翌日。(あの後結局なんやかんやと言い訳をつけて千鶴は逃げた)
今俺がどこにいるか、体育館の男子更衣室だ。
女子禁制の緊急サミットらしい。
議題は文化祭の出し物だ。
なんと男どもはコスプレ喫茶経営の際に女子に無断で、コスプレエロ写真なるものの販売を企てていた。
いいのかそれ?
「いいかヤロウ共、うちのクラスの女子はレベルが高い…。必ず売れるっ! だがただ撮影するだけじゃダメだ! より可愛く、よりエロく。自分達でも保存したくなるほどの至高! そこに俺達は辿り着く! ──お前らのアイデアを貸せ! 妄想力を爆発させろ!!!」
「「「うおおおおおおおっ!!!!!!」」」
井上が高らかに叫ぶと井上を囲っていたクラス中の男子も雄叫びをあげた。
「そこのお前っ!」
「は、ハッ!」
唐突に井上が男子の一人を指さす。ちなみに山田という名である。
「お前は誰のどのコスプレ写真が欲しいっ!?」
「ハッ! 私は………その……」
「何を恥ずかしがる必要があるっ!? 我らはいわば同士!! 例えどんなマニアックな趣味だろうと、俺は──決して笑わん!! 俺達はエロの元に1つだ!!」
その言葉を聞いて山田はほんの数秒呆然とした。
だが、次の瞬間山田の目からつっと流れたのは──涙だった。
そして一人、また一人と井上に拍手を浴びせる。
最後には大喝采だった。
そして、その大喝采を浴びる井上もまた男泣きをしていた。
「貴様の理想を言ってみろ、その理想は──我らの理想と同じだ」
「ハッ!! 私はバレー部の西野のメイド服写真が欲しいでありますっ!!」
バレー部西野、ショートボブで少し気が強そうだが人当たりのいい美人で、健康的なふとももや時折見せる柔らかい笑顔に男子からの人気は高い。
そ、それは素晴らしい、山田、お前は天才か、ふむ王道にして最強とはこのことだ。
山田を褒め称える声がチラホラと聞こえる。
「そうか………いい趣味だ!!」
井上にも大好評らしい。どうでもいい。
「次にそこのお前! お前は誰のどんなコスプレ写真がいい!?」
次に井上が名指ししたのは同じ野球部の杉山だ。
「ハッ! 自分は風紀委員の清水のバニーさんてありますっ!!」
杉山は元気よく答えた。