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この度わたくしに妹が出来ました  作者: 犬塚猫蔵
3章・前編「会長と初めての思い出」
72/163

5P

 生まれてこの方まともにホラー映画の1つも見たことのない千鶴に必要なのはやはり鑑賞することだ。


 それは千鶴も分かっていたことだった。なので友人に頼み込みお勧めの映画を数本借りて「ホラー」というものを研究してみる事になったらしい。


 その時点で俺も一緒に観るということは成り行き上決定していた訳なのだが。

 問題は友人が貸したDVDの中身だ。


 ──これは、千鶴が見たら気絶するぞ…。


 お目が高いというかセンスがあるというか、ホラー映画好きな人なら誰でも飛びつくような超ド級の作品ばかり。


 これも、これも、あ、これなんか怖すぎて上映期間短縮になったやつじゃん。

 作品としては名作で、確かにこれを押さえておけばホラーというものは何となく分かりそうなものだ。


 だがこれはまだ千鶴にはハードルが高すぎる、こんなん見てまた1人で寝れなくなったらどうすんだ。


「なあ千鶴。これ貸してくれた友達はお前がホラー駄目だってこと知ってたの?」


「えっと……実は言い出せなくて…」


 だよなあ。

 千鶴が怖がりだって予め知っているならそもそも脚本なんか選ばないだろう。

 というか何故脚本なんかやるハメになったのだろう、聞いてみたところ。


「……お母さんと違ってくじ運悪いんです…」


 と千鶴は力なく笑った。

 という訳で俺は急遽レンタルショップへ行き、どうにか千鶴が見れるギリギリのレベルのホラーDVDを探しに行くことになった。

 怖さのレベルが高いものを借りるよりよっぽど難易度の高いミッションだったが、どうにか数本目星を付けてそれを2人で鑑賞していた所だったのだ。


 ──そして場面は冒頭に戻る。


 画面の向こうではチープな出来の心霊写真を「呪われた一枚」と大げさに表現し、その写真を見た者は皆謎の死を遂げると言われているなどと適当なモノローグで紹介されていた。


 写ってる男は明らかに冒頭で喋ってたチャラい男だし、なんならさっき鏡越しに大きなカメラを持っているチャラ男の姿が見切れていた。


 予算が足りなさすぎる…!

 スタッフの努力を想うと涙を禁じえなかった。


 だが千鶴にとっては効果は絶大らしい。


「その写真を見た見た者は皆謎の死を遂げる」というフレーズを聞いて


「………兄さん………どうしよう」


 と涙目になって肩を震わせている。


 スタッフが見たら小躍りしそうなリアクションだった。

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