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7P

 そう、今日はいつもと変わらない何気ない朝だった。


 けたたましい目覚ましで目覚め、もそもそと朝飯を食べ身支度を整えのっそりと学校へ向かった。


 もちろん妹とは朝も全く会話がなく、というか3日くらい話していないような気がする。


 最近千鶴と話した内容と言えば、だ。


「あ、あのお風呂…空きました。」


「おう、さんきゅ」


 とか、

 

 リビングにて──


「千鶴、テレビのチャンネル変えて良いか?」


「あ、特に見てないので。ど、どうぞ」


 とか、


 食事中──


「ん? 醤油か?」


「えっと…はい」


「ほれ」


「あ、ありがとうございます」


 まぁこの2ヶ月こんなものだ。


 コミュニケーション不全にもほどがあるだろ。

 まぁ今それはいい。


 とにかく今日はいつものように朝を迎えいつものように学校へ赴いたのだ。


 学校でも特に変わり映えのない光景だった。


 変わったことと言えば隣の席でよく話す友人の井上が髪を金髪に染め、更にリーゼントにしていたことくらいか。

 なんでも古本屋で不良漫画をまとめ買いして影響をモロに受けてしまったらしい。ちなみに井上は超厳しい顧問で有名な野球部所属だ。


 案の定こってりと絞られたらしく黒染めされた挙句坊主にされていた。


 おまけに罰として1週間トイレ掃除というべたなお仕置きまで受けていた。


 俺が金髪リーゼントの井上を拝めた時間は数十秒。

 線香花火のような儚さである。風流さはまるでなかったが。


 そして放課後、今日も俺は近くのファーストフードでバイトだった。


 このバイト先で働くのももう1年近くになる。

 高校生ながらシフトを多めに入れているのでバイト先のみんなとは割りと仲が良い。

 

 今日もそんなバイト先に向かう途中、校門の所で千鶴と出くわした。


「よ、今から部活か?」


「は、はい。えっと…今からバイトですか?」


「あぁ、そんなとこ」


「が、頑張って…下さいね」


 千鶴は女子の中でも背の小さな方なので俺と話すときはいつも見上げる形になってしまう。ちなみに俺172cm、千鶴144cm。実に20cm以上の身長差だ。


 印象としては小動物のそれに近い。ちょこまかと一生懸命で守りたくなる感じ。


 だが今日も今日とて妹は俺にびくびくしっ放しだ。


 こんな小さな娘にこんな怯えられるのは胸が痛いものだ。

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