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× × ×
──翌日
ゲーム屋から帰ってきた俺は重たい瞼と身体をどうにか根性で活動させ千鶴の
姿を探したが家のどこにもいない。
リビングにあった書き置きを見るにどうやら病院に行っているようだ。
ここから自室で俺が寝れば恐らく夜までずっと寝っぱなしだろう。
GF14の発売日が休日前で本当に良かった。
少し迷った結果、千鶴が帰って来るまでどうにか起きてることに決めた。
最も睡魔に負けず俺の意思が続けばの話だが。
千鶴の足の具合も気になることだし。
弓道部の大会に影響が出なければいいのだが。
ちなみに当然のことながら千鶴の連絡先は知らない。
…いや、俺達そんな空気じゃなかったしさ? 決してヘタれてた訳じゃないよ? そんな好きな娘にアドレス聞けない純情中学生みたいな状況だった訳じゃないよ?
……どれだけ言葉を並べても完全に言い訳乙だった。
まあいい。これからいくらでも連絡先を聞くタイミングはあるってばよ。
そうだ、帰ってきたらまずそんな話題から話してみよう。
──俺達そういやお互いまだ連絡先交換してないよな?
こんな所だろうか。
よし、これで俺が睡魔に負けてはならない理由が増えた。
あと、やっぱり少しでも早く渡してやりたいしな。
一生懸命悩んで、気まずかったはずの俺に相談までして、歩けなくなっても意地でも手に入れようとしてたプレゼントだもんな。
──親父、大泣きするぞ。
千鶴の喜ぶ顔と親父が感動している顔、両方を思い浮かべ小さく苦笑しながら俺はGF14の通常版と限定版を眺めているのだった。
1章 了