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3P

「佐倉千鶴」

 

 旧姓、皆川千鶴。


 俺の一個下で同じ学校に通う後輩でもある。


 外見は肩まで伸びた栗色のセミロングに前髪にはヘアピン、小動物を連想させる大きな瞳と整っているがやや童顔な顔だちが特徴の小柄な女の子だ。


 学校では生徒会の会計を勤めていて品行方正、成績も優秀。おっとりして、なおかつ可憐な雰囲気は上級生にも評判だ。


 弓道部にも所属しているようで、生徒会との兼ね合いが大変で毎日が忙しいのだと聞いたことがある。


 無論、本人から聞いたわけではないのだが…。


 以上が俺の知っている千鶴の全てだ。


 おかしいと思うだろう? 一緒に暮らしていて義理とはいえ兄妹であるのにも関わらず俺達はお互いの事を知らなさすぎる。


 家でも学校でもほとんど会話もなく、あったとしても余所余所しい。


 そもそも俺と千鶴は同じ家に住んでいるというだけで生活サイクルもまるで違う。下手をすれば一日顔を見ないなんてこともざらなのだ。


 さて、ここで俺と千鶴の生活サイクルを並べてみよう。


 ・4時半千鶴起床、身支度を整え6時に学校へ(部活の朝練だとか)


 ・7時半俺起床、身支度を整え8時に学校へ。


 ちなみに学校にいる間は二年生と三年生で階が違うので滅多に会うことはない。

 つまり学校にいる間俺達に会話などあるはずもない。 


 ・放課後大抵千鶴は部室か生徒会室へ、俺はバイト先へと向かう。


 ・千鶴、20時頃学校から帰宅。


 ・俺、22時頃学校から帰宅。


 その頃には千鶴はもう晩ご飯を食べ入浴を済ませ、大抵自室にいる。


 俺もやることを済ませると後は寝るまで自室にいるので、俺と千鶴が並んで食卓を囲むこと自体驚くほど少ないのだ。


 休日でも俺達は似たようなものだ。俺はバイト、千鶴は部活でほとんど家にいない。


 たまにいたとして、普段それだけ関わらない2人が軽やかには話せない。


 俺としてはもう少し妹と仲良くなりたいという気持ちがもちろんある。


 しかし中々その機会がなく、既に2ヶ月経ってしまったというところだ。


 もしかしたらこのまま俺達は本当の意味で家族にはなりきれないまま、一生余所余所しいまま干渉せずに生きていくのかもしれない。


 そんなあまり考えたくない予感をひしひしと感じながら、それでもどうにも現状を変えるために行動に移す事も出来ず、問題を先送りにしているのが今の俺の最近だった。

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