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その後も俺達は色々なゲームを2人でやった。
モグラ叩きでアタフタしてる千鶴は微笑ましかったし、クイズゲームは得意だったのかバシバシ正解を当てていた。
格ゲーとかもやらせてみたのだが、そっちの才能はないようでCPU相手にボコボコにされていた。
凄く悔しそうだったので案外負けず嫌いなのかもしれない。
ちなみにレーシングゲームは何故かめちゃくちゃ上手かった。
そういえば母さんもやたらと運転が上手くてなんならドリフトとかも出来るレベルと聞いたことがあったが、血筋なのだろうか…。
兎にも角にも初ゲーセンの千鶴にはどれも新鮮だったようで、驚いたり感動したりつい吹き出してしまったりといくつものリアクションを見ることが出来たし千鶴も中々楽しんでいるようなのでここに連れてきたのは正解だろう。
兄としての株はあまり上がらなかった気もするが…千鶴が楽しんでいるのが大事なんだ、まあそれも良しとしよう。
しかし、そろそろゲームセンターに来て随分経つ。時計を見るとそろそろ夕飯時というやつだった。
「千鶴、そろそろ場所変えて飯でも食わないか?」
「あ、そ、そうですね、私もお腹すいちゃいました…」
「よし、じゃあ出るか」
「はい。………あ」
話が決まりかけたその直後、唐突に千鶴は何かを見つけたように声を上げ、一点を見つめている。
視線の先を見るとプリクラコーナーがそこにあった。
「あ、あの……」
「……撮りたいの?」
「その、実はあまり撮ったことなくて……クラスの子がいっぱい撮ってるの見てう、羨ましいなあって………嫌ですか…?」
ジイっという感じで俺を見つめる千鶴。
正直に言おう、ちょっとこっ恥ずかしい。
妹とはいえ女の子と2人きりでプリクラなんて生まれてこの方撮ったことなどないのだ。
しかもあのふわふわぽわぽわした感じやいかにも女子って感じの空間はきっといくら行っても慣れないと思う。
その手のものはやはり苦手意識があるのだった。
だがこの際俺の好き嫌いなどどうでもいい。
妹が撮りたがっている。
理由はそれだけで充分ではなかろうか。
と言うか、女の子にこんなことを言われて断れるやついないだろ。
もちろん俺は二つ返事で快諾した。