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もちろん親父はファミ○ン時代の初代から毎回プレイしてる生粋のGFファンだ。
だが、親父は3日後発売予定の最新作GF14をあろうことか予約していないのだ。何故か──
それは親父に予約する時間がなかったからだ。
ここ最近再婚の話で常にドタバタしていた親父は普段の業務プラス相手方の実家に挨拶に行ったり役所へ行ったり、母さんと千鶴の引っ越しを手伝ったりとかなり忙しかった。
2人が来てからも一家の大黒柱として相当影に日向に働いていたのだ。
「今回は暇が無かった」と表面上は平気そうに語る親父の目に光るものがあったのを俺は見逃していない。
ただ、この案自分で言っておいて何だが難易度が高すぎないだろうか?
普通のゲームソフトなら購入するのにさしたる手間は掛からない。
だが、なんとGF14は通常版と限定版の二種類があるのだ。
なんでも通常版と限定版ではシナリオから何から全く違う、ファン垂涎の1品
らしい。
そして限定版は生産数も少なく再生産するつもりもないという。
通常版でさえ予約なしに購入するには朝イチから店頭に並び、長い時間をかけ
てようやく手に入れられる人気度だ。
なので基本的に絶対に限定版が欲しければ予約は必須だったのだ。ずっと前か
ら何度も宣伝されてたしな。
予約をしなくても限定版同梱は特定の店舗で店頭販売されるらしいのだが、なにせ圧倒的に数が少ない。
親父のように予約が出来なかった購入希望者は少なくないだろうし、ざっと見て購入確率は希望者の3分の1以下だろう。
後にオークションなどで出回る可能性だってあるが親父の誕生日に間に合わせるには店頭販売で手に入れるしか方法がない。
親父からしてみれば喉から手が出るほど欲しいまさに最高のプレゼントなのだが、果たして俺達に限定版を購入できるのか。
その辺のことを俺は千鶴に掻い摘んで説明してみたのだが、
「お父さんはそのげ、げぼりあんふぁんたじーというゲームが好きなんですよね? よく分かりませんが私それにします!」
ゲームなどやりそうもないこの娘にはその難易度はあまり伝わっていないらしい。
「確かにこれは親父が一番喜ぶ品だけど、候補は他にもいっぱい──」
「大丈夫ですっ! 私頑張りますっ!」
千鶴は俺の言葉にすぐにやる気な表情を見せる。
その一際光るやる気が何故か尚更心配だった。