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手
「・・・・・・うち、ここまで頑張った。
でも、もう無理だよ・・・。もうがんばれない。
怖い。こわいよ・・・。」
うちは、全てを雅に話した。
雅は、だまって全部聞いてくれた。
うちは、また雅の胸の中で泣いた。
雅は、優しく頭をなでてくれた。
雅は、温かかった。
「なら、もう1人じゃない。
俺がいる。ナオには、俺がいる。
もう怖くない。俺が、ずっとお前のそばにいる。
俺がお前を守る。」
「えっ・・・・・・」
嬉しかった。
嬉しくて、また涙があふれてきた。
「お前の傷は、俺が全て消してやる。
俺じゃ、ダメか?」
「ううん。雅でよかった。」
雅はうちをぎゅっと抱きしめた。
《雅なら・・・》
心からそう思えた。
暗くなりかける、2人しかいない屋上で
静かにキスをした。