温もり
-------事の始まりは、半年前。
いつものように、遅くまで遊び、薄暗い街灯の下を
重い足取りで歩いていた。
いつも缶の紅茶を買おうと、角にある
自販機の前に立ったとき
後ろから、いきなり袋のようなものをかぶせられた。
もちろん、抵抗しようとしたが、気を失ってしまった・・・。
気づいたら、手も足も縛られ、声も出ず、もがくことしかできなかった。
そこへ若い3人の男が来た。
「やっとお目覚めだよ」
「さて、早くはじめようぜ?俺は我慢の限界だ!」
・・・始めるって、なにを?
「おい、始めるぞ!」
1人がそういった。
「っつ!?」
一瞬にして、視界が消えた。
「そう暴れるなって・・・」
うちは、床におさえつけられた。
――ヒヤッ
とした感覚が腿をつたう。
そこではじめて気づいた。
《レイプされてる・・・》
でも、もうどうにもできなかった。
男たちの手は制服へと移り、
ワイシャツのボタンがはずされてゆく。
「んっ!?」
思わず声がでた。
胸の辺りに柔らかく、生温かい、気持ち悪い感触があった。
《舌!?》
その後も、男たちはうちのことをやりたい放題に
めちゃめちゃにした。
その後、どうやって家に帰ったのか、
お母さんになんと言われたのか、
まったく記憶が無い。
ただ残るのは、あのときの感触。
どんなにがんばってこすっても、洗っても、消えない。
その日から、すべての大人(男)が怖くなった。
夜、ひとりで歩けなくなった。
食事がのどを通らなくなった。
夜、眠れなくなった。
なんでうちが・・・。ほかにだってたくさん女なんているのに・・・。
そう思って、うちは女を捨てた。
それで、恐怖から開放される、と思って・・・。
でも、違った。余計、恐怖は増した。
《相手はうちの顔を知ってる。また襲ってくるかもしれない。
『そんなんで、ばれないようにしたつもりか?』って・・・》
考えるたびに、思い出すたびに
涙があふれてきて、震えがとまらなくなる・・・。