第3話 世界を覗き込んでみる。
世界を覗き込んでみる。
天地は持ち前の根性でなんとか頑張っていたのだけど、そろそろ食べるものが無くなりそうだった。(いつもお腹が減っていた)
そうなって仕舞えば、根性ではどうにもならない。
……、なにか食べるものも探さないと。
天地はずっと、崩壊した街の中で、食べものを探し続けていた。
それから少しして、結局食べるものは見つからなくて、天地は崩壊したビルの中にある日陰のところに座って休憩をした。
すると、風の音が聞こえた。
世界はとっても静かだった。
くんくん。
雨の匂いがする。
湿った雨の風の匂い。
土の匂い。草の匂い。
心が落ちつく匂い。
どうやらもうすぐ雨が降るみたいだった。(気温も少し寒くなってきた気がした)
……、雨か。
どんよりとした暗い天気の空を天地はぼんやりと眺めている。
世界が終わってしまってから、世界が終わる前と違って、時間はいくらでもあった。
今の天地には学校に行くことも、どこかに遊びに行くことも、家に帰ることもできなかった。(全部なくなってしまったから)
いつまでも寝ていられたし、いつまでも起きていられた。
今の天地には生きること以外に、なにもすることがなかったのだ。(だから、のんびりと雨が降るのを待とうと思ったのだった)
天地は笑顔だった。
雨か。雨が降るのが待ち遠しいな。早く雨降らないかな? って、そんなことをどんよりとした暗い空を見ながら、天地は思った。
天地は雨が好きだった。
なんだかいつも無理をして笑ってばかりいる私の代わりに、正直な気持ちになって、泣いてくれているみたいだったから。