第2話 終末論 世界の終わりの風景の中で
終末論 世界の終わりの風景の中で
私はひとりぼっちなんだって、天地は思った。自分を守ってくれる人はどこにもいない。私は一人で生きていかなくてはいけないのだ。この終わってしまった世界の中で。
服は中学校の制服と履きなれた運動靴。荷物は背中に背負っている白いくまの模様のあるリュックサックの中にある荷物だけ。
食べるものも、飲みものもあんまりない。(とっても不安だった)
それでも天地は歩き続けた。
(生きていかなくてはいけないからだ)
天地が元気よく歩くたびに、ポニーテールの髪が猫のしっぽみたいに揺れている。
……、天地のほかに人は誰もいなかった。
少なくとも、今のところ、天地は誰の姿を見たこともなかったし、誰の声も聞いたりはしなかった。
本当のひとりぼっちだった。
天地はびっくりして、「誰かいませんかーーー!!!」って言って大声を出して、みんなのことを探したのだけど、誰もいなかった。
街は崩壊していた。
それも、ただ崩壊しているだけではなくて、世界が終わってしまってから、もう百年、あるいは一千年くらいの年月がいつの間にか経過していたかのように、崩壊したビルの群れには緑の植物が生い茂っていた。
それはまるで、はるか昔の古代の遺跡を見ているかのようだった。