第1話 大好きです。だから生きてください。
空にはたぶん、愛があって。
大好きです。だから生きてください。
もし、世界が終わってしまうとしたら、私はなにをしたいと思うだろう? なにもしたいと思わないのかな? ただ怖くて泣いているだけなんだろうか? わからない。夢があるわけでもないし、好きな人がいるわけでもない。毎日が面白いわけでもなかった。
でも、君に出会ってちょっとだけそんな毎日が変わった。すっごく楽しくなったし、世界が明るくなった気がした。
だから、もし、世界が終わってしまうとしたら、君に会いたいって思った。
もう一度、君にあって話がしたい。一緒に笑って、一緒に泣きたい。そんな時間を過ごすことができたら、どんなに幸せなんだろうって、思った。
そんなことを考えていたら、今、ふと思ったのだけど、私は、もしかしたら、君のことが大好きなのかもしれない。(まだ、よくわからないけど)
強い雨が降っていたから、大地には水たまりができていた。ぼろぼろになって朽ちている大きなビルの残骸が遠くには見えている。そんな世界が終わってしまったあとの風景の上には綺麗な虹がある。湿った大地の上を水たまりを避けながら、ゆっくりと天地が歩いて行った先には、一人の男の子がいた。(ずっと天地が探していた男の子だった)
その男の子は空を見ている。
雨上がりの、雲間から太陽の光が差し込んでいる、とても美しい空だった。
男の子はまるで青色を探しているみたいだった。
天地が男の子の近くまでやってくると、太陽の光がちょうど、男の子と天地のいる緑色の大地の丘の上を照らしてくれた。
男の子がふと天地に気がついて、天地を見る。
そして、にっこりと優しい顔で笑った。
そんな男の子を見て、天地も思わず、(最初はどんな顔をすればいいのか、よくわからなくて悩んでいたのだけど)にっこりと笑ってしまった。
「ねえ。こんなところでなにしているの?」
天地が男の子のところに少し早足で歩いていきながら言った。
「君を待っていたんだよ。天地。ずっと、ずっと、ね」
優しい声で男の子は言った。