君とまた会う日まで
我ながらベタだなと思うけど、一目惚れだった。
教室のドアをガラリと開けて入ってきた彼女は、今時珍しいくらい古風なセーラー服を着て、これまた今時珍しいくらいまっすぐで腰まである黒髪ストレートをゆらゆらさせながら自分の席を探していた。
今日、もう完全にクラスの雰囲気やクラスメイト同志のグループが出来上がってきたこの秋の日に彼女、桜丘さくら子は転校生として僕の通うこの私立明ノ宮高校へやってきた。
朝のホームルーム前のクラスのざわめきの中で、僕はとりたてて誰かと会話もすることなく、頬杖を着きなが黒板の落書きの猫(リアルで上手なものなので、見入っていた)をていたので、真っ先に彼女の登場に気づくことができた。
はっとするほどの美貌。やけに大人びていて、妖艶とはこういうことなんだと思った。ゆっくりと辺りを見渡した彼女は少しおどおどしながら窓側に見つけたらしい自分の席についた。僕の斜め左前の席だ。目線をどこにやればいいのかわからないのか、机に置いたカバンの中身を覗き混んでゴソゴソしたり黒板横に貼られた時間割を眺めたりしている。
あまりじっと見ていると僕の視線に気づかれてしまいそうで怖かったのだが、彼女の姿から目を離すことができなかった。
やはり、ぼくの視線に気づいた。彼女はゆっくりとこちらを振り向きにっこりと