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最強クロスチョップを会得した僧侶っ!!  作者: 大石次郎


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幽霊船の邪宝 2

私達は早速このクエストの最初の目的地である近くの漁村に飛行テントで向かうことになりました。

夕陽の中、海岸線を飛びます。

なお、クエストの具体的な内容はというと・・


クエスト依頼『幽霊船の邪宝探索』


200年程前の『魔人動乱時代』。グレートイーストボザの遥か南の海にアンデッドの力を利用する魔人『濁海(だくかい)のダイオズゥーマ』がいた。

ダイオズゥーマは幽霊船団を率いて沿岸一帯を荒らし回ったが、軍と冒険者達と、天から降臨した勇者によって討ち取られた。

しかし幽霊船団の生き残りが一隻、グレートボザビーチ近くまで逃げ延び、人魚島に流れ着いて島の人魚族と争いになった。

幽霊船のアンデッド達はどうにか人魚達が海の底に封じたが、その船にはダイオズゥーメが遺した邪宝が眠っているらしい。

最近落着した一連の悪行マッスル魔人達の復活の影響でこの邪宝が活性化の兆候が出てきていると推察され、人魚島付近で海の魔物の狂暴化も観測されている。

現在、島の人魚(マーピープル)族は我々陸生種族と交流を断ってしまっているが、人魚島に一番近い漁村はかつて友好関係にあった。

最終的には邪宝の破壊ないし再封印を果たしてもらいたいが、まずは漁村で手掛かりを見付けることを勧めたい。


・・といった具合です。実態調査だけでもそこそこ報酬が出るようですが、せっかくだから解決したいところですね!



等と考えて件の漁村近くの上空まで来たワケですが、


「なんか『ユラユラしたヤツら』に囲まれてんなっ」


拡大した飛行テントの敷物の端から眼下を見て困惑するメハ。

そう、漁村の簡素な魔除けの障壁の周囲に人型に見えないでもない、海藻の塊のような魔物の群れが取り囲んでいました。

障壁の中の正面城門の矢倉から、村民の自警団とみられる方々が矢や手投げ爆弾で応戦していますが焼け石に水状態ですね。


「アレは『ケルプウォーカー』だ。群体化はしないでもないが、海辺とはいえまだ日がある内にこんな陸の拠点を襲うとはな。障壁を解除する方法がないから自爆上等の『体当たり』で限界負荷を越えるつもりのようだな。不毛な戦術だ。くくくっ」


「ぴょぴょぴょっ」


笑い事ではないですっ!


「水晶通信で通報はしてるだろうが、入れ違いになったみてぇだなぁ」


「レルクちゃん、どうする?」


うっ、手際を試されてる感っ!


「・・ベルミッヒさんと3号さんは空から援護して下さいっ。漁村の人に知らせてから、一気に叩きましょう!」


私達は、矢倉の自警団の方々に合図してから、ケルプウォーカー掃討に取り掛かりましたっ。


「プロテクト、レジスト。『毒』と『拘束』に気を付けることだっ」


「了解です! ブレッシングっ!」


補助魔法の付与を済ませた私、メハ、ノライオさん、モカミンさんは飛行テントから飛び降りました!



ベルミッヒさんのファイアボールの魔法とゴーレムを装着した3号さんの砲撃が上から降り注ぐ中、私は空中で神力を発動しますっ。


「ゴッド・エクスキャリバーっ!!」


実は左腕は呪われてから『素のパワーとオリハルコン並みの強度』は維持できていても神力を上手く伸せられなくなってますっ。私は右手1本で光の手刀を放ってケルプウォーカー達を薙ぎ払いながら着地しました。


「せぇあっ!」


メハは買い直したミスリルソード+2でヘビィスラッシュを打って着地。盾も構えています。


「おらよっ」


両足を使った普通の踏み付けでケルプウォーカー2体を踏み潰して着地するノライオさん。

ノライオさんは古竜(こりゅう)の素材を使った『古竜シリーズ』の格闘防具で身を固めています。


「ほいっ」


イルカみたいな綺麗なフォームで普通のドロップキックでケルプウォーカーの大型個体を1体粉砕して着地するモカミンさん。

モカミンさんは三頭冥犬(ケルベロス)の素材を使った『ケルベロスシリーズ』のレオタード系防具で身を固めています。


「ジャワジャワジャワジャワ・・・」


独特な鳴き声っ! ケルプウォーカー達は海藻の触手や『ウォーターバレット』の魔法、時に毒打撃等で襲い掛かってきます! か~な~りっ、磯臭いです。


「しゃーっ! んちゃーーっ!!」


動きは遅く、耐久値も大した物ではないです。私は着地後は神力の手刀を使うまでもなく、メハと組んでキックと右のパンチで次々倒します。『ソウルタッグ』のアビリティーが有効なのでサクサク倒せますね。


「『ゴッド・ヘルパンチャー』」


ノライオさんが軽い動作で放1った神力の貫手は光の槍と化して纏めてケルプウォーカー達を貫通してゆきますっ。凄い範囲化っ!


「行くよっ?『ゴッド・バックドロップ』っ!!」


大型個体狙いのモカミンさんは、1体の大型ケルプウォーカーに組み付くと光の鎖で拘束しっ、そのまま派手に後方に投げ落としました。

ドォッ!! 大型個体は叩き潰されましたが、なぜか周囲のケルプウォーカー達まで纏めて粉砕されました。えっ?


「モカミンさん? どうなってるんですか、それ??」


「ん? 2つある、あたしのアビリティーの1つだよ、『ドロップシンドローム』って言ってね」


格闘しながら応えてくれるモカミンさん。


「あたしが『ブン投げた』ダメージを周囲の対象に『伝播(でんぱ)』させられるんだよ」


「へぇーっ」


凄い便利そうです!


「組み技系の神力は潰しが利かねぇからよぉ。与えた使徒にはアビリティーで補完してんだろうなぁ」


光の貫手と大味な蹴りでガンガンとケルプウォーカー達を仕止めているノライオさん。


「ノライオさんはどんなアビリティーなんですか?」


「俺は1つだけだぁ。また『機会』があったらなぁ。ふぇふぇふぇっっ」


「は、はい」


笑い方、慣れないですっ。

ともかく私達はケルプウォーカーを倒しまくり、日が暮れきるまでにどうにか全て撃退したのです。

いやはや、返り血ならぬ『返りケルプ汁』まみれにされましたよ・・・



漁村では歓待を受けました。程無く駆け付けた衛兵隊と冒険者ギルドの増援は漁村の警備と周囲の調査を担当することになったようですね。


「いやぁっ、最近魔物が凶暴になってきてはいましたけど、まさか村を襲ってくるとはっ。助かりました! でも、ケルプウォーカーと戦うとお肌艶々になるでしょう?『食材』にもなるんで、どうです?『ケルプウォーカーの刺身』なんて」


まだちょっとウネウネ動いている『海藻らしき』切り身の皿を勧めてくる村長!


「大丈夫でーす。ふふふ」


笑顔で断っておきました。

ケルプ汁はベルミッヒさんのウォッシュの魔法で洗浄し、ドライの魔法で乾燥させていました。生臭さはちょっと残っていますが、確かにお肌が艶々になったかも?


「・・っ!」


視線に気付いて顔を上げると飲み物の杯だけ受け取って、宴会には参加せずに会場の端の方にいたノライオさんとモカミンさんが無言で『さっさと切り出せ』と促してきてますっ。

やるとなったらテキパキ進めちゃうんですね。


「あのぉ、わたくしどもは幽霊船の邪宝という物を探しておりまして。どうも、それは人魚島の近くにあるみたいなんですよ。村長さんは何か、御存知ありませんか?」


「勿論ですっ! この漁村は、幽霊船退治に協力した地元の冒険者達を中心に始まった村ですからっ」


「へぇー!」


それは初耳っ。


「人魚島は今は閉じてしまって、海からも空からもたどり着けなくなってしまっていますが、海岸の先の『岬の洞窟』に保管されている『虹の瀬の鍵』を使えば島まで行けるはずですよ?」


「ホントですか?!」


「この村には岬の洞窟を安全に進める『漁火(いさりび)の杖』が伝わっている。お貸ししましょう」


「ぜひっ!」


至れり尽くせりじゃないですかっ。


「やったな、レルク」


「ケルプ汁まみれになった甲斐があったな。くくくっ」


「ぴょぴょぴょっ」


これで一安心という流れで、先輩2人にも親指を立てて『バッチリです!』と合図しようと思ってのですが、


「村長大変だぁっ! アヨー爺さんが、どさくさ紛れで漁火の杖を持ち出しちまった! 岬の洞窟に行ったに違いねぇよっ」


血相変えて、自警団員らしき若者が宴会場に駆け込んできました。


「何ぃーっ?! あのバカチンがっ。いい歳して性懲りもなくっ」


これは、トラブルですね・・


「レルク・スタークラウン様ぁっ」


村長に急に両手を握られて迫られ、ひぃっ、となり掛けましたっ。


「アヨー爺さんを追って下さいませんかっ。漁火の杖も万能じゃないんです!」


「了解ですっっ。まず、一回、落ち着きましょうか?」


私はやんわり村長の両手を離し距離を取り直すと、手短にワケを聞くことにしました。

さっき戦ったばかりではありますが、お年寄りが無理をなさってる気配なので時間はなさそうです!

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