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最強クロスチョップを会得した僧侶っ!!  作者: 大石次郎


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VSレッサードラゴン 前編

コォオオオオッッ!!!!


唸る氷雪っ!


「しゃーっ! んちゃーっ!! あれっ?」


派手に空振りしましたっ。くっそ~っ


「レルクっ、囲まれちまうぞっ?!」


下位竜(レッサードラゴン)凍え縄(こごえなわ)が発生させた猛吹雪の中、私とメハは苦戦していました。

後衛の聖教会の僧侶の皆さんによる守備系魔法と、ベルミッヒさんが掛けてくれたフライトの魔法、冷気耐性のアクセサリーなんかもバッチリ利いてますし、メハは火属性の『ヒートシミター』等の装備で固め、対策は万全! なはずですが・・


「チキチキチキチキッッッッ!!!!」


嫌な声で鳴いてくるこの竜っ! 形状がムカデに近く、氷を纏った背の外骨格? は氷ばかり砕けて攻撃が本体まで通り難く、腹側の鎌のような無数の脚は結構敏感に反応して鋭く引っ掻くのが極めて厄介で・・

ちょっとした城を絞め上げられるサイズなクセに当然のように飛行し、しなる鞭そのままに自在に素早く動き周るから攻撃がとにかく当て辛くっ、

さらに凍結魔法の『アイスジャベリン』の連打と超広範囲の『凍り付くブレス』を撃ちまくりつつ、巨体でノコギリの要領で斬り付けてきますし『凍結噛み付き』に関しては私でも受け切れる物じゃありません!

このパワーとスピードと精度っ! 全然下位(レッサー)じゃないです! インチキだよっ?!


理由は勿論ありました。ちらり、と見ると数百のトカゲ人間の骸骨のような竜骨兵(りゅうこつへい)と交戦する冒険者ギルドの攻略大隊(レイド)の皆さんの上空で、飛行タイプのゴーレムに搭乗した3号さんと共に飛行するベルミッヒさんが戦っている『相手』が原因ですっ。


「竜族こそ世界を統べるべき上位生命っ! 下位種が上位種に逆らう等あってはならないのだ!! そもそもっ、下位種どもはちょっとくらい減った方が清々するだろうがぁーっ?!」


小型の骨の飛竜に乗って目を剥いて吠えてらっしゃる竜人(ワードラゴン)族の神官の方、いわゆる竜使い(ドラゴンテイマー)

ベルミッヒさんが引き付けてくれているから、凍え縄の戦闘力は1,5倍くらいで済んでいますが、とにかくドラゴンテイマー付きの竜は問答無用で手強くなるのですっ!


「っ?!」


長い身体の先にあるはずの頭部を狙うこちらの動きを先読みされて、吹雪と四方でうねるムカデ状の自分の巨体の身体で隠していた、こちらが狙っていたはずの頭部がっ大口を開けて目の前に現れました! ヤバっ! そこへ、


「らぁっ!!!」


飛び込んできたメハが片手剣の技ヘビィスラッシュでカットに入ってくれました!

ガキィッ!! ヒートシミターは火炎を撒きながら異様に硬いらしい凍え縄の左目にめり込みっ、これに激昂した凍え縄は、


「ギィイイッッッ!!!」


凄まじい速さで鎌首をもたげてっ、


「どぉあーーーっっっ??!!!」


遥か上空の荒れ狂う吹雪の向こうまで柄を掴んだままのメハを連れていってしまいました!


「メハっ! ちょっ??!!!」


追おうとしたらアイスジャベリンの魔法で鋭角な氷塊を数十発上から放たれましたっ。


「でいやっ!」


私は軽めのゴッド・クロスチョップで粉砕しますが霜まみれにされてしまいます!


「冷たぁっ、もぉーっっ、最悪ですっ!!」


(我が使徒っ、ドンマ~イ! ドンマイマッスルっっ)


「・・・」


ホント、最悪ですっ!!

思えば、ヒルジャイアント・野津波を倒した勢いでいい気になっていたのかもしれません。話しは2日前に遡ります・・



私達はオスフェール領の南東端にあるメドキィア山地近くの『ナプの町』な冒険者ギルドに来ていました。

目当てのレッサードラゴンはこの町のギルドのテリトリー内にある『メドキィア氷穴群(ひょうけつぐん)』の1つをねぐらとしているのですっ。

拠点にしているマバオの町周辺にはちょうどいいレッサードラゴンがいなかったんですよね。遥々、ナプの町のギルドまで来た次第でした。

今回はレイドを組むことになりましたが・・


「ではっ、完勝を祈願して! ポポクレス神様から一言っ!!」


ノリ良く、魔工拡声器で司会しているレイドリーダーの聖騎士(パラディン)職のロンスラットさんは魔工拡声器を小さな私の守護神さんに向けました。

ギルド内の食堂(完全に酒場仕様ですっ)で決起集会をやることになり『タダ酒、タダ飯だっ!』と、ポポクレス神様はのこのこ地上界にいらっしゃっていました。


「我はこのナプの町のど真ん中に顕現しておるんじゃっ、ナウっ!!」


「うおおぉぉーーーーっっ!!!」


「ポポクレス神様来たぁーーーっ!!!」


「この施設、わりと町の端にあるけどっ!!!」


・・よくわかんないですけど、皆、既に飲んでるから盛り上がってます。ナプの町は酒好きのドワーフ族の血を引く人達が多いんですよね。

楽な布の服を着たメハは猫人(ワーキャット)族の女性の店員さんとエールビールの入った木のジョッキ片手に何やら楽しげに話してらっしゃいました。

まぁメハが誰と談笑しようと私の感知するところではないのですが、多少『油断』があると『推察』はされますね。あくまで『一般論』ですが!


ベルミッヒさんは眼鏡を外して代わりに拡大鏡を付け「最近3号がすぐ壊されるからさ、ふふっ。増やすか? くくくっ」と3号さんのスペアボディを別のテーブルで作っていました。

同時に起動を止めた3号さん本体も解体調整しているので、端から見ると3号さんが2体バラされてる感じですね・・


「にしても、レルクちゃんさ」


「はいはい」


女性の、『山賊風な』この町のギルドマスターの方に不意に話を振られて、私はかなり独特なナプ風のルートビアの入ったカップを置きました。

私はギルドマスターさんとナプ教会の司祭様と同じテーブルでした。『平服で』と言われたのですが、司祭様がいらっしゃるのでそうもゆかず僧侶の服を着ています。

本当は名物のメドキィアカモシカの肉料理等のこってりした物を食べたいのですが、菜食ばっかりオーダーせざるを得ずだいぶ寂しい食卓となっています・・


「『竜を狩る』って話しが広まってるらしくてね! 竜教(りゅうきょう)の神官がメドキィア山地で目撃された、って話がある。ターゲットは竜といっても特別著名な個体という程でもないし、ワードラゴン族のテリトリーからも遠い。信憑性は微妙だが、注意はしなよ? 一応、ウチで用意したレイドの戦力に余裕は持たせてある」


「はい、竜教の方々にも話が通じればいいのですが」


お肉のことばかりは考えていません。私は本当にそう思っていたんです。



それからメドキィア山地のドワーフ族の郷を経由して、郷の方数名の案内で、春でも非常に氷の魔力の強く真冬のようなメドキィア氷穴群のあるエリアに私達のレイドはスノーシューを履いてガシガシと侵入しました。

ベルミッヒさんの飛行テントならすぐなのですが、今回は50人余りのレイドで移動するのでそうもゆきません。

ポポクレス神様なんかは『寒いの苦手じゃ! 寒がりマッスルっ!』とあっさり天界に帰ってらっしゃいます。

途中、数回の魔物との戦闘を経て、半日後には目当ての氷穴を見下ろせる岩影まで私達はたどり着きました。

竜教徒等とは遭遇していませんし、郷でも特に新しい情報は無かったです。


「活性化してきている凍え縄の討伐は是が非でもお願いしたいが、竜教との抗争になるなら郷を巻き込まないでほしい」


ドワーフ郷の人達はそう言って、ここから一番近い山中の魔除けの野営地まで引き返してゆきました。


「よし頑張ろうじゃないかっ、諸君!」


「神よ加護を!」


ロンスラットさんやナプ教会の若手の方々主体の近隣僧侶職の皆さんには高揚感がある様子でしたが、私達は氷穴の奥から感じる凶暴な気配に顔を寄せ合いました。


「凄い殺気を感じる。ナプの連中は楽観的にしているが、気を引き締めるべきだ」


「同意だ。ドラゴンテイマー云々抜きでも相当なヤツが奥にいるぜ?」


「ピョっ!」


「3号さん、ちょっと近いです」


耳の真横で『ピョっ!』とやられてビクっとなりました。



そうして私達は何隊かに分かれ、前衛組は氷穴前の物陰に散って隠れました。

後衛とベルミッヒさんからの補助魔法後、召喚術を使えるレイドメンバーが協力して燃える両生類のような火の精霊(サラマンダー)を3体召喚し、強烈な『爆裂火球』をそれぞれ氷穴に向かって吐き出させ内部で炸裂させましたっ。

崩落する氷穴っ!すると、


ガガガガガガッッッッ!!!!!


瓦礫と氷を突き破り巨大なムカデのごとき竜、凍え縄が出現っ! 続け様に一瞬でサラマンダー3体を切断して撃破っ!! えーっっ?!

さらにそれを追うようにして、氷穴から小さな骨の飛竜に乗ったローブを着たワードラゴン族が飛び出してきましたっ。

竜族の神官、ドラゴンテイマーの方です!


傲岸不遜(ごうがんふそん)っ! 無知蒙昧(むちもうまい)っ!! 下等種族ども!! 凍り付き、恐怖して滅せよっ!!!」


ドラゴンテイマーが杖を振るい骨片を撒いて竜骨兵を大量に発生させると、上空まで舞い上がっていた凍え縄は呼応して力を高め、広範囲に吹雪を逆巻かせ始めました!

問答無用ですねっ。レイドの皆さんも攻撃に掛かりつつありますが!


「あのっ! 話し合えませんかっ? 竜の討伐には来ましたが! ええっと、まずは一度、郷でお食事等をしながらですね」


「黙れぇえええーーーいっっ、竜族は偉大なりぃいいいーーーーっっっ!!!!」


血管切れそうな大っっ激怒ですっ!!!


「ひぃっっ」


今のやり取りでそんな怒りますか??


「レルク、無駄なようだ。私と3号で竜使いをまず制圧するっ! お前とメハでしばらく凍え縄を抑えろ!」


「わかりました。残念です・・」


「つぁ~っっ、ビョっ!!」


ベルミッヒさんはフライトの魔法で飛んでゆき、3号さんもなんだか一段と重々しい装着型のゴーレムの中に『換装されて』背中の噴射口から風の魔力を噴いて派手に飛び上がってゆきました。


「『なるべく生け捕り』が限度じゃないか? レルク」


「はい・・行きましょうっ、私達も!」


私とメハは吹雪の中、巨大な頭部を下降させ出した凍え縄の迎撃に掛かったのです。


この後、散々なことになりましたがっ。

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