1日1ざまぁ。~乙女ゲームで浮気王子達を断罪しないと明日が来なくなりました~
「また間に合わなかった……」
ベッド型のゲーム機の上で仰向けになり、ため息を吐く。
「そしてまたまた7月31日……」
私──霞暮亜は、昨日の夜から朝になるまで、フルダイブ型の乙女ゲーム【リアルプリンス】に興じていた。
目を閉じて回想するのはゲームの中で言われた婚約予定だった王子からの言葉。
『クレア、君を愛する事は出来ない。私は真実の愛に気付いてしまったのだ。悪いとは思っているが、君との婚約を破棄させて貰う』
殊勝な顔をして私の前で他の女に惚れたから別れようだなんて、ゲームじゃなかったらぶっ飛ばしてやる所だ。
ちなみに、私は実名プレイするタイプである。
「まずい、まずいよ……もう今日を3日は繰り返してる……」
私は現在、あり得ない事態に陥っていた。
なんと、ゲームの中で浮気王子を断罪しないと、明日が来なくなっていた。
この現象に気付いた時の事はおいておくけど、とにかく今の現状は非常にまずい。
私だけがこのループに囚われているのならまだ良い。
永遠の夏休みって訳だしね。
問題なのはこの現象に病気の幼馴染みが巻き込まれてるって事だ。
彼の名前は五月女怜。
昔からの腐れ縁で、余命半年と言われている。
このループの中で唯一訪れる変化は、怜の母親からの電話だけだ。
彼の母親から聞く怜の容態は毎朝変わる。悪い方向へと。
せっかく明日は移植手術の日なのに……。
その手術さえ受けられれば病気は完治するかも知れないのに、私と一緒にループするせいで、どんどん症状が悪化していっている。
「やばい……!」
最近の私は不幸すぎる。
会社ではこき使われ、息抜きに始めたゲームでループに陥り、そのゲームでは浮気される始末。
こんな28歳社会人になっているだなんて学生の頃の私は想像もしていなかった。
ほんとに勘弁して欲しい……。
「今日こそあのクソ王子を断罪してやる……!!」
怜の手術の為に、今日こそは。
私は急いでゲーム台の上に寝転がり、電源を入れた。
意識が仮想世界へと向かう──。
※
目蓋を開けると、見覚えのある天井が視界に入った。
乙女ゲーム【リアルプリンス】の世界、ヘルブレム侯爵家の自室だ。
「今日こそは……!」
私は急いで体を起こし、身支度を整えて部屋を出た。
このゲームのハードは現実との時間とはリンクしていない。
大体だけどここでの1日は向こうでの4時間程だ。
このシステムを開発した人物は天才だ。
……ある種このゲームに閉じ込められていなければ、心の底からそう思えるのに。
しかし言い換えれば、1日丸々ゲームをプレイしても、6日しか時間がないって事だ。
このゲームのプロローグは、第一王子であるレスト・テンタクト殿下との婚約から始まる。
まぁ僅か一週間足らずで婚約を破棄されるんだけどね。
そこから浮気王子を断罪して、5人の主人公を溺愛する男性と結ばれる事を目指すゲームだ。
ちなみにその5人の中にレスト殿下も含まれている。誰が選ぶのこれ。
ただ、その"プリンス"達は婚約を破棄されてからじゃないとフラグが立たない。
それじゃタイムリープが起こって間に合わないのよね。
さて、そんな乙女ゲームだけれど、今まさにゲームのプロローグ部分だ。
レスト殿下が私にプロポーズをする場面。
「クレア、私は君に私の愛の全てを注ごう。ずっと傍にいておくれ」
王立学園のパーティーのホールの真ん中。
婚約披露宴に集まった大勢の生徒達が見守る中、膝をついて私にそんなプロポーズをするレスト殿下。
周囲には黄色い歓声が響いている。
長い金髪に澄んだ青い瞳、細くそれでいて芯の強さを感じさせる四肢。
間違いなくイケメンだ。腹が立つくらいに。
こいつ──じゃなかった。このお方、こんな事を言っておきながら、既に他にお手つきの女が何人も居る。
一体どういう神経してるのよ。
この3日間、何度もこのプロローグ部分をプレイした。
【リアルプリンス】の攻略情報はもう何度も見返した。
だけど、どうしても限られた"今日"の中で断罪シーンまでたどり着けなかった。
さらに従来のPCゲーと違い、選択肢も現れない。
その場その場で的確なセリフ、身振り手振り、表情を作り、ゲームを進めなくてはならない。
おかげで難易度が段違いで高い。
発売されてそこまで時間も経ってないせいで、そもそもの攻略情報も少ないのよね。
だけど、私はついにこのゲームの攻略法を見付けた!
ネットを漁りに漁り、とある考察にたどり着いたのだ。
【リアルプリンス】の攻略掲示板に、恐らくはゲームの解析をしているであろう人物が、こう書き込んでいた。
──最初っから王子との婚約を、こっちから破棄したらどうなるんだろう、と。
「ふっふっふ……」
「ク、クレア……?」
いけないいけない。つい、にやけちゃったわ。
この3日間、『私は多くの女を愛してしまう体質なのだ。それを理解出来ない君が悪い』とか『この婚約破棄は当然の結果だ。私を受け入れられないだと?ふざけるな、妾が認められているこの国で何をほざいている』とかとか、散々うっざい事を言ってくれたこのクソ王子を、プロローグから断罪してやれると思ったらね……!
「レスト殿下」
「う、うむ」
私はホールを見渡し、彼女達の姿を見付けた。
6日もちんたらこのゲームを進め、婚約破棄されて、溺愛してくれるプリンス達を待つ必要はない。
今、この瞬間に私は明日を手に入れる!
「私、嬉しいですわ」
セリフはシステムがハッキリと理解出来るように短く伝えた。
すると、ゲームは正常に進行しようと、レスト殿下を次のセリフへと向かわせた。
「そうか、私も嬉しいぞ。共にこの国を支えていこうじゃないか。政略結婚でも真実の愛はあると、そう証明しよう」
何度も聞いた、その薄っぺらい言葉に辟易してしまう。
そして、私はレスト殿下の美しい瞳を見つめて言った。
「真実の愛は愛人と育んではどうですか?」
「……なに?」
今度はハッキリとしない私の言葉に、レスト殿下は顔をしかめる。
「クレア……?一体何を──」
「私、嬉しいんです。ようやくこの無意味な1日を終えられると思うと。ね、浮気王子様」
「浮気……王子だと……!?」
この3日間、なにも無意味に過ごしてた訳じゃない。
この場面でいきなり私が婚約を破棄しても、私自身が悪者にされて、ハッピーエンドには向かわないだろう。
必要なのは、レスト殿下が断罪されるに相応しい理由付け。
システム的には恐らく推奨されていない行動だろう。
本来の攻略ルートとは大きく外れてしまう。
けれど私は早急に明日を手に入れなきゃならない。
じゃないと現実の怜の病気が治らない。
──いい加減彼を楽にしてあげたい。
「殿下、私はあなたとは婚約出来ません」
「どういう事だ……!?」
美しい顔を歪めて私を睨むレスト殿下。
ゲームの世界だと侮ってはいけない。
驚く程精緻な造形で、滑らかな発音も、これがNPCとは思えない程だ。
ゲームもここまで来たのね、と感心してしまう。
いや……違うわね。
ここは私にとって紛れもなくもう一つの現実。
このクソ王子に痛い目を見せてやらないと、私達に明日は来ないんだ。
だから、私はホールに集まった大勢の生徒達の中から彼女達の方を見ながら、殿下との蜜月の日々を語った。
「クルース・リフレクト子爵令嬢、あなたは殿下にこう言われたのではありませんか?『クレアと婚約をしても君だけが私の全て』だと」
パーティー会場に集まった大勢の生徒が、クルース令嬢の方を振り向いた。
やはり、推奨はされていないけれど、想定はされているのね。
それともシステムが自動的にこのルートを作りあげているのか──。
どちらでも良いわ。
私は私の断罪を続けるだけよ。
「次にマリア・シュクレイム侯爵令嬢ね。えーとあなたは確か……『マリア、私の真実の愛は君と育まれるべきものだ。君は本当に美しい。例え幾千幾万の宝石があり、その全てを集めても君一人の美しさには到底及ばないだろう』だったかしら」
この乙女ゲームのシナリオを書いた人はハムレットでも読んだのかしら……。
まぁそんな事はどうでも良いや。
私はその後もこの場に居なかった数名の貴族令嬢達の名を挙げ、凍り付く会場の中一人ほくそ笑んでいた。
「──以上、私がレスト殿下と婚約を出来ない原因の女性達のお名前です。さて、殿下……どうしますか?」
私の煽るような言い方に、ずっと黙っていた殿下がようやく口を開く。
「き……貴様、一体何の証拠があっていきなり貴族令嬢達の名前を!?」
「証拠って……彼女達と沢山お話すれば良いだけの事じゃないですか」
私が名前を挙げた令嬢達に視線を向けると、それが引き金となったのか、彼女達が青い顔をして集まってきた。
口々に「昨夜の事は嘘だったのですか!?」「わ、私なんて今朝言われた事よ!」「殿下、私信じてましたのに……!」と、レスト殿下に詰め寄っている。
「ま、待て私は──」
「殿下」
「クレア……!!」
大勢の視線が一気に私に集まる。
これで終わる。長かった1日が──。
「浮気王子様、これから大変だとは思いますけどどうか頑張って下さいね。私もこれから婚活頑張りますので!」
「貴様ぁ……!!!」
ガヤガヤと騒がしくなっている会場を、殿下達を残して出た。
ゲームとは言え、結構良い気味ね。
あのクソ王子には苦しめられたし……。
さ、後は残った5日間で溺愛して下さる攻略対象に誰を選ぶかね。
一旦はこれで明日を迎える条件はクリアした筈だし、ゲームを止めても良いのだけれど……。
「せっかくだし、溺愛されて終わるのも良いかもね」
まぁまだまだシナリオは続くし、レスト殿下もこれで終わった訳じゃない。
だけどいわゆる共通ルートはここで終わりだ。
だいぶすっ飛ばしたけどね。
ん~さてさて、誰と結ばれちゃおっかなぁ。
辺境伯に嫁いで敵国との国境線で戦争パートに入っても良いし、宮廷貴族の跡取りと結ばれて内政に絡んでいくのもありね。レスト殿下のその後も見られて更なる断罪もあった筈だし。
なんならその殿下の弟も攻略対象だった筈だ。
「悩むわね……」
私が学園の端にあるベンチに腰掛けて、一人悩んでいると──。
「クレア様」
「はい?」
透き通るくらいに甘い声で私の名前が呼ばれた。
見上げると、そこに立っていたのは攻略対象の一人、セルニア・ブルドニアだ。
確か王国に領地を持つ、伯爵家の嫡男という設定だった筈。
ははぁん、浮気された侯爵令嬢を狙って、会場を出て来たのね。
セルニアか……温厚で人当たりの良い、攻略難易度も低いキャラじゃなかったかしら。
この1日のエピローグには持ってこいの甘さね。
良し、決めた!
残った時間はこのキャラに愛されて終わるわ!
「セルニア・ブルドニアさん、よね」
「! 僕の事、分かるのですか」
「そりゃもちろん。同じ学園に通ってるから」
「こ、光栄です!」
あー殿下と違って好青年って感じが凄いわ。
黒髪黒目で、たぶんだけど日本人受けを狙ってる見た目で、なんと言うかほんと好い!
ただ……一つ気になる事がある。
「あなた、傷心の女に漬け込む気?」
「め、滅相もない!」
こんなセリフにも答えられるのがこのゲームの凄い所だ。
「ふふっ、冗談よ。だけど私を追って来た目的は知りたいわね」
「目的……ですか」
セルニアは少しだけ頬を赤くしながら、私に微笑みかけた。
「あなたが心配だったから……ですよ」
「! 心配って……」
「あ、いや傷心に漬け込むとかそんな事は無いんです!ただ純粋な気持ちで!」
「優しいのね。ありがとう」
「い、いえ……」
ナニコレ、チョロいなんてものじゃないわ。
ここから攻略を失敗する未来がみえない。
私ってば男を落とす才能があるんじゃないか、と勘違いしそうなくらい。
いっそ逆ハーレムでも目指そうかしら!?
……なんてね。ゲームとは言え、そこまで羽目を外すつもりはないわ。
私にとってここはもう一つの現実だから。
「ねぇ、セルニア」
「は、はい!」
「せっかく追って来てくれたんだし、良かったらお茶でもどう?」
「! 喜んでご一緒します!」
それからの残った5日間、私は結構幸せな日々を過ごした。
セルニアは私を花のように愛で、うっかり惚れそうになってしまったくらい。
それでもタイムリミットはやってくる。
タイムリープを終え、いよいよ8月を迎えるんだ。
ヘルブレム侯爵家のベッドの上で目蓋を閉じ、短く一言呟いた。
「──ログアウト」
私の意識が遠く離れ、現実へと帰還する。
※
「……う~……腰いた……」
ほぼ丸1日横になっていた体を無理矢理起こすと、ロボットのようにきしんだ。
まだ脳が覚醒しきっておらず、視界がぼんやりしている。
ふと、首を90度回してスタンドミラーを見た。
そこにはトイレも食事もせず、廃人のような顔をしてる、醜いアラサー間近の女が映っている。
「酷い顔~……ん?って、日付!!」
自分の顔色の悪さに唐突に目が覚め、スマホを手に取って日付を確認した。
そこにはハッキリと【8/1 0:45】と表示されていた。
「や、やった……!ついに時間の檻を壊した……!!」
これで朝を迎えたら怜は手術を受けて、私は至福の日曜日を過ごす事になる。
せっかくの週末だもん。最後くらいは自堕落に過ごさせて欲しい。
……いや、ずっとゲームしてただけなんだけどさ。
「さて、と!惰眠を貪るぞー!!」
気合いを入れて寝るのも変だけど、軽食を採った後、私は再び眠りについた。
目が覚めたのは、もう夕方を迎えようとしている頃で、スマホに一件の連絡が入っていた。
怜の母親からで、無事手術が成功したとの事だった。
「良かった……」
明日、仕事終わりにでもお見舞いに行こうかしら。
長い間苦しめられてた病気ともこれでおさらばな訳だし、怜の嬉しそうな顔を想像したら、何だか私も温かい気持ちになる。
ずっと、そうずっと闘病してきたんだもの。
これからは私が──。
「っ、今何を考えて……」
一度、怜にはフラれている。
自分の存在が私に迷惑を掛けるからって。
病気が治ったからって、はい付き合おなんて言えない。
まずは手術成功のお祝い、それからよね。
夜になる前に、お見舞い用のお菓子を買って、その日は穏やかな眠りについた。
そして明くる朝──。
「ん……眩しい……。あぇ……?──やば、寝坊!!」
何故かアラームが鳴らず、太陽の日差しで目を覚ました私は、冷や汗を掻きながら飛び起きた。
時間を確認する為に、慌てながらもスマホを手に取った。
そこには──。
「え……?8月1日……?ん???」
見覚えのある日付。
ずっとこの日を目指して頑張ってきたからよく覚えてる。
あれ、おっかしいなぁ。
この日付って昨日じゃ──。
「……いやいやいや、待ってよ……!!」
段々と冷や汗が尋常じゃない量へと変わっていく。
嫌な予感がこびりついて消えない。
「……おかしいよ。こんなの……」
これは現実だ。紛れもなく。
疑心は確信へと変わり、最悪の状況を受け入れざるを得なくなった。
──私は再びタイムリープをしている。
そして、恐らくだけど怜も。
「ヤバい、電話しなきゃ……!」
怜の手術は既に完了している。
更に言えば手術した翌日で、万が一医師がそれに気付かず、再び全身麻酔でもしようものなら、彼の体は耐えられないかもしれない。
怜の母親に彼の容態をきちんと確認させる事を伝え、私は【リアルプリンス】のパッケージ手に取った。
そして、自嘲気味に笑う。
「勘弁してよ……。1日1回誰かを断罪しろっての……?」
そもそももう断罪パートはほぼ終わっている。
またゲームを最初からやり直すとかそんな訳ないよね?
……分からない。だけど手掛かりはこのゲームにしかないのも事実だ。
「やるしかないわよね……」
私は再び仮想世界へと誘うベッドに乗る。
意識がプツリと切れ、あの乙女ゲームの世界へと向かう──。
※
「お目覚めですか?クレア様」
「ん……セルニア……?」
気が付くと、自室のソファにセルニアが座っていた。
え、何で彼が私の部屋にいるのよ。
「ちょ、セルニア……?一体ここで何を……?」
「ち、誓って何もしてませんよ!?実は用があってヘルブレム侯爵家を訪れたら、クレア様のお父上があなたを呼びに行って来いと……」
「はぁ……?」
セルニアがここにいる理由は分かったけど、一体何の用があるっての……?
私はどこか不気味な笑みを浮かべているセルニアに、そう聞かずにはいられなかった。
「セルニア、用って一体……?」
「あぁ、それなんですけどね。実はうちの父がヘルブレム侯爵家に、少々の資金援助をお願いして欲しいと言うのでね」
「え?資金援助……?」
ま、待って……そんな展開私知らないわよ……?
動揺して固まっていると、笑顔のままセルニアは私の隣にやって来た。
「レスト殿下が起こした不特定多数との不貞のせいで、ヘルブレム侯爵家へは多額の賠償金が支払われるのですよね?ある意味経歴に傷が付いたクレア様を引き受けるんです。多少の融通はしていただきたいですから」
「……」
──絶句してしまった。
人の良い顔をして、まさかそんな謀略を巡らせていたなんて、想像もしていなかった。
と言うか、本気でこのシナリオは何……!?
セルニアは攻略対象なのよ?
これじゃまるで──。
「まさか……!」
「?」
私はタイムリープを繰り返している時に見た、あの掲示板を思い出した。
最初から王子様を断罪しちゃえば?という書き込みの続きをだ。
この書き込みをした人物は、他にもこんな書き込みをしていた。
"このゲームには隠しルートで、全ての攻略対象を断罪出来るルートが存在する"と。
私は隣に座る、笑顔を絶やさないセルニアを見て、嫌な想像が頭を過った。
「どうしたんですか?クレア様」
「……っ」
私は考え得る限り最悪の事態に陥ったのかも知れない。
これはゲームだ。どれだけリアルでも現実じゃない。
だけど、それは普通の人ならば、だ。
私にとってここは最悪の現実になってしまった。
毎日、1日1回彼らを断罪しないと、私に明日は来ない……!
プロローグからそうなるように誘導されてしまっている。
そりゃ誰も気付かないわ、"断罪ルート"に入るには、最初っからレスト殿下を断罪しなきゃいけないなんて。そんなのプロローグでも何でもないし。
「ははは……」
「クレア様、大丈夫ですか?」
「……」
……腹をくくるしかない。
私だけじゃない。初恋の幼馴染みも明日へ連れていかなきゃいけないんだから。
そして、このループから抜け出したら伝えたい言葉がある。
「セルニア」
「は、はい」
それまでは、あなた達攻略対象を、私は──。
「そんな事、許されると思っているの?あなた、良い度胸してるわね。ちょっと痛い目を見て貰おうかしら??」
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