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ゴリラバトルトーナメント

作者: ギャギャイギャス

 ゴリラ同士のバトルトーナメント大会が開催された。

 これは全国から集められた剛毅なゴリラ達が己の腕力や技を駆使した闘いを繰り広げ、トーナメント制によるルールに基づいてチャンピョンを決めると言う、単純でありながら奥深い大会だ。

 そしてこれは全国大会である。ここにはすでに各地域で行われた予選大会のチャンピョンとなった十六匹のゴリラが集っているという訳だ。

 十六匹のゴリラそのすべてがそれぞれ素晴らしい筋肉と柔軟性を持っていた。当たり前の事だが一匹一匹がそれぞれ違う屈強な肉体と技を持っているのが伺える。

 しかしながらゴリラに詳しくない者からすると、どのゴリラもいつも見るゴリラよりかは強そうだと言う事ぐらいしか分からないらしい。殆ど同じに見えるというのだ。

 こんなにもそれぞれが違う素晴らしさを持ったゴリラだと言うのに!

 しかしそうは言ったが、大抵の物事においてはそんなものかもしれない。物事は知れば知るほど深く知る事ができるものだ。

 私も実際ゴリラの事ではない他の事には詳しくないし、なんらかの見分けも付かないのだろう。

 そんな事を考えていたら一回戦が始まっていた。そして一試合目から素晴らしいバトルだった。

 二匹のゴリラはお互いに技のゴリラだった。関節技や相手の腕力の方向を変化させる合気技など、ゴリラらしくない技の応酬。二匹とも動かずに向かい合っていたかと思うと、まるでパズルをしているかのような腕の動きでそれは新しいダンスのようにも見えた。

 隣では逆にゴリラらしい腕力と腕力のバトルだった。お互いがお互いの腕をつかみ合い隙を狙う。言わずもがなゴリラの腕力はとてつもない。つかみ合っている手には一体どれだけの力が加わっているのだろうかと考えるだけで燃える試合だった。

 さらに向こうでは足技使いが相手を倒していた。先程も言ったがゴリラと言えば腕力である筈で、足技の使い手はいない事もないがこの決勝大会に出場するような足技ゴリラはいなかった。それが二回戦へと進んでいる。なんとも興味深いゴリラだ。

 それからも素晴らしいゴリラの試合は続いた。お互いの健闘を称え合うゴリラや、正々堂々と闘うゴリラの姿は素晴らしかった。

 そんなバトルも決勝戦を迎えた。

 一方のゴリラが相手のゴリラに手を差し出した。バトル前に握手をしようという事だろう。相手はどう出るか。握手するゴリラもいれば、差し出された手に背を向ける不遜なゴリラもいる。このゴリラはどっちだ。

 すこし間を取った後、相手のゴリラは手を差し出した。おやおや、これはフェアーなバトルが期待できそうだ。

 しかし。しかしだ。その握られたお互いの手からなにやら甘い香りが漂った。この香りは知っている。これはハチミツだ。

 そして私には分かった。ゴリラバトルトーナメントを見続けてきた私だから分かった事なのかもしれない。

 こいつらはゴリラではない! 熊だ!

 この熊達はとてもゴリラに似ているし動きや佇まいまでゴリラそっくりだ。ここまで似せるにはゴリラの事を熟知しさらに訓練しなくてはならなかった事だろう。

 理由は知らない。だがゴリラ同士のバトルトーナメント。

 決勝戦は熊さん対熊さんだ!

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