表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

「下野紘・巽悠衣子の小説家になろうラジオ」大賞  応募作品

暇つぶしにデスゲームの運営者になりましたが、誰も導入説明を聞いてくれません。

作者: マガミアキ

 デスゲームの運営者にならないかと誘われた。

 生活に困らないだけの資産をもち、暇を持て余していたわたしはその誘いを受けることにした。

 既に参加者は集められている。絶海の孤島にあるリゾート施設に高校生の男女、三十名。最後の一人になるまでデスゲームを続けるのだそうだ。

 監視カメラを確認すると、参加者はホテルのロビーを不安そうにうろついている。

 そろそろ出番かな。

 わたしは黒い狐の仮面を被り、カメラとマイクのスイッチを入れた。

「おはよう、みなさん。よく眠れたかな?」

 わたしの顔は、ロビーの液晶モニターに映し出されている。参加者達はびくりとモニターを見た。

「驚かせてしまったね、君達は――」

「おい何だてめえッ! 俺らをどうする気だ!」

 ヤンキー風の学生がいきなり吠える。

「……それを今説明しようと」

「こっちはバイトあんだよ、とっとと帰せゴルァッ!」

 待ってあのヤンキー超怖い。

「待て、長谷川。さっき島を見回ったが、船もヘリも見当たらない。スマホも圏外。俺達は閉じ込められたと考えるべきだぞ。恐らく、この狐女にな」

 委員長風の男子学生が長谷川なるヤンキーを制する。

「そう、残念ながら君達は――」

「でも立花君……何でわたし達が?」

 今度はおどおどした女子学生の声がわたしの台詞に被ってきた。

「きっと……俺達のもつ特殊能力が原因だろう」

 ん? 特殊能力?

「一ノ瀬さんの能力は、空中浮揚、だったよね」

「うん……でもそれは、車に轢かれそうになった時にたまたま発現した力で……」

 空中浮揚って何? あの一ノ瀬ってコ、空が飛べるの?

「それだ。奴は俺達を極限状況に追い込んで、能力の覚醒を図るつもりじゃないだろうか」

 わたしは小さく咳払いした。

「察しが良くて助かるよ。極限状態、つまり君達は――」

「……殺し合いだろ」

 クールそうな男子学生が低い声で言う。

「一番の極限状態ったらそれしかないよな」

「そ、そんな鹿嶋君! わたし達が二つに分かれて戦うって言うの?」

「分かれて? 甘いよ、最後のひとりになるまで戦うバトルロイヤルって奴さ」

「くそ……やってやる。やってやるさ! だがお前の思い通りにはならない、俺達は必ず生き延びてやるからな!」

 立花が鋭くモニターを指差している。

「あの……じゃあ、まあそんな感じで」

 このデスゲーム、わたし必要?

なろうラジオ大賞2 応募作品です。

・1,000文字以下

・テーマ:暇つぶし

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言]  拝読しました。  ニヤリとしました。  上手いなあと思います。  面白さの肝は、雰囲気ややり取りをいかに描くか。  そのための容量を1000文字の中にいかに作るか。  流行りに…
[良い点] 話を聞いてくれないのに、話が進んでいく。 絶妙なテンポ感が心地よかったです! ラストの哀愁漂うセリフがたまりません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ