転生したら、赤ん坊でした。
家族構成。
父、母、双子の兄妹。
そして、私。
「母様、起きた？」
「母様、寝てる？」
「ふふっ。まだセーラは眠っているわよ。だから静かにしてね？ルーチェ、ルークス。」
覗きこむ双子の頭を優しく撫でると、母様と呼ばれる女性に抱かれて眠る赤ん坊を嬉しそうに見つめている。
「ふぇ…っぅえ…っ…。」
「あ、泣いちゃう！」
「あら、起きちゃたわね。おはよう。」
「おはよう、セーラ。」
「…あぅ…。」
抱き上げられた、赤ん坊は双子を見つめる。
はい。私こと聖、現在身動き出来ない赤ん坊になっています。
「「可愛い〜（ね）！！」」
「あうっ…。」
手を伸ばすと、双子は私の手をぎゅっと握ってくれた。
「ふふ。可愛い！セーラ。お兄ちゃんだぞ！」
「セーラ。お姉ちゃんですよ！」
双子の手をぎゅっと握り返すと、二人は嬉しそうに目を細めた。
（…私、生まれ変わったんだ。）
「ルーチェ、ルークス。またここに来てきたのかい？」
「「父様！」」
ゆっくりとした足取りで私達の所へ来た、父様と呼ばれた男性は母様の額に唇を寄せると、双子の頭を優しく撫でる。
（この人達が私の…家族…。）
目を細めて私を覗き込むこの人達を見つめていると、また睡魔が襲ってきた。
「セーラはまだ、眠いみたいね。」
「僕、まだセーラといたい。」
「私も！」
私の手をぎゅっと握って離さない双子を、父様が優しく撫でると抱き上げた。
「二人はまだ勉強の時間だろう？」
父様に言われた双子は、バツの悪そうな顔をする。
「セーラが起きたら、また遊んであげるといい。それまでは頑張ろうか。」
「は〜い…。」
「…わかりました。」
「それに、セーラに素敵なお兄ちゃんお姉ちゃんって…言われたくないかい？」
「「……。」」
不機嫌な顔をしながら返事をする双子に、『頑張って。』と上手く動かない表情筋を駆使して笑顔を見せる。
「「笑った！！」」
「ふふっ。二人とも頑張らなきゃね。素敵なお兄ちゃんとお姉ちゃんをみてるわよ。」
「私、頑張ります！」
「僕も！セーラのカッコいいお兄ちゃんになるっ！」
嬉しそうに顔を見合わせた双子の兄様と姉様。
私を優しく抱きしめる母様に寄り添っている父様。
そんなやりとりを見ていると、全身に感じる心地よい幸福感に私はゆっくり瞼を閉じた。
（ああ…。これが私の家族…。）
ルーチェとルークスは光と言う意味をもつそうです。
