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最弱ゴブリンは気がつかない [工事中]  作者: しゃぼてん
4章は、これから書き直す予定です
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4-24 ドラゴンライダーの襲撃2

 ホブミはドラゴンライダーの説明をはじめた。


「ドラゴンライダー・レックスは、大陸辺境のドラゴンを飼う一族の出身で、干ばつと飢えに苦しむ故郷のために賞金稼ぎをしている好青年だと言われています。身長は、178センチ。趣味はドラゴンの飼育と、ドラゴンに乗ることです。ですが、今のっているのは、赤いトカゲです」


 おれは叫んだ。


「ドラゴンでいいから! どう見ても、ドラゴンだから!」


 ホブミは説明を続けた。


「あの赤いトカゲは、一族の中でも乗りこなす者はいないと思われていたほど狂暴なトカゲだったのを、少年時代のレックスが手なずけたという話です」


 ホブミは解説を続けた。


「レックスは大陸中央部イケメン冒険者ランキング5位にランクインしています」


「イケメンランキングかぁ……。遠すぎて顔はよく見えないけど。たしかに、なんとなく、さわやかイケメンなオーラだなー。いや、でも、どうでもいい情報だな。もっと戦闘力とか特技とか、そういう情報はないの?」


 おれが言うと、ホブミは、おれに問い返した。


「必要でしょうか?」


 数秒考えて、おれは答えた。


「やっぱ、いらないっす。どんなに解説されても、リーヌさんが相手をしたら、それを見る前に戦闘終わるだろうから」


 さて、この間も、リーヌは、やる気なーく地面に座ったままだった。ドラゴンが登場しても、やる気のなさに変化はない。どころか、ホブミが説明している内に、飽きてしまったらしく、やる気のなさは悪化している。


「あぁ、だりぃ。もう動く気になんねー」


 リーヌは、ひじをまくらに、寝っ転がっている。ドラゴンの巻き起こす激しい風圧が、ここちよい風であるかのように。

 リーヌは発声し、つぶやいた。


「あ-ー……、あーー……。へんだな。このせんぷうき、声が変わんねーぞ」


「扇風機じゃないからっす! ドラゴンのはばたきで起こってるすんごい猛風っす! これが、どうして扇風機って発想に!?」


 リーヌは、あくびをしながら言った。


「パタパタトカゲはせんぷうきをせおってるんだぞ。だから風がふいてくるんだぜ」


「なにその、ちょっとかわいいモンスターっぽい設定! 勝手に変な設定つくらないでくれっす。あのドラゴンの上に、そんなものないっすよ? レックスが乗ってるだけっす。てか、リーヌさん、ドラゴンのこと、ちゃんと見てるんすか?」


 見ていそうにない。


「チラッと見たぜ。ツルツルゴツゴツでかわいくねーから、チラッとで十分だろ」


「見てもいないのに、自信満々に! とにかく、リーヌさん、夏休みの一コマじゃないんだから。せんぷうきの前でぐだぐだやってる気分じゃなくてぇ。ドラゴンライダーの相手をしてやってくれっす!」


 そこで、ホブミが、おれに言った。


「ところで、ゴブヒコさん。のんびりしていて、よろしいのですか? あのパタパタトカゲによる全体攻撃の威力は、S級冒険者の中でも随一だといいます」


 なんだか、珍妙なあだ名のせいで、緊迫感がないけど。でも、今、とても、不気味な情報を、おれは聞いた気がする。


「全体攻撃? つまり、全員がダメージを受ける攻撃?」


「はい。この程度の距離であれば、リーヌ様が攻撃を受けた時には、私たちも、いっしょに攻撃を受けるでしょう。光栄なことですね」


「ぜんぜん光栄じゃない! ……でも、だから、ホブミはこのバリアを張ったんだろ?」 


 おれ達は、ホブミがはったバリアで守られている。だから、安全なはず……。

 ホブミは平然と言った。


「こんなもの、ただの風よけです。Sランクの攻撃力の強力な攻撃を受ければ、この障壁魔法なんて、すぐに消えうせます」


「え? 今なんて?」


 ホブミは、さわやかに言った。


「ですから。この程度の障壁魔法、パタパタトカゲの攻撃を受ければ、砕け散ります」


 おれは、それを聞いて、かたまった。


「私はシャハルンの盾があるので問題ありませんが。ゴブヒコさんは、まちがいなく即死するでしょう」


「即死!?」


 その時、ドラゴンの背中から、ドラゴンライダーの声がひびいた。


「大魔王リーヌよ! おまえに恨みはないが、おれは懸賞金をもらい、わが故郷を復興しなければならないのだ。覚悟!」


 ドラゴンライダー・レックスをのせたドラゴンが、一度、空高く上昇した。

 その動きを見て、ホブミが、どこかうれしそうに、言った。


「これは。急降下突進攻撃がきますね。ドラゴンライダーの突進攻撃は、悪名高い盗賊団を、一撃で全滅させたといいます。辺り一面を火の海にするというパタパタトカゲのブレス攻撃でゴブヒコさんが焼失するのを予想していたのですが。これはこれでおもしろくなりそうです」


「おれの焼失を予想するな! てか、おまえ、まさか、実は、全部、計画的に……」


 ドラゴンが急降下しようとしている。

 あの巨大なドラゴンの突進攻撃じゃ、超広範囲にダメージを与えるにちがいない。

 今からおれが走って逃げても、どうやっても避けられそうにない!

 打つ手なしのおれは、迫りくる死の恐怖に、とにかく叫んだ。


「ギャーーー! 助けてぇーーー! ボスケテェーー! 神様、仏様、通りすがりのヒーロー様! おれを姫と見まちがえた目の悪いマリオ様! だれでもいいから、おれを助けてぇーーーー!」


 その時。


「 ≪吐火外悪屠死とかげおとし!!!≫ 」 


 突然、どこからか、声が響き、空が切り裂かれた。


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