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3ー???

「遅いぞ。ホナミ」


 勇者は不機嫌そうに、部屋に入ってきた女賢者に文句を言った。


「勇者様。私はパーティーを抜けると……」


「認めないと言っただろう。だが、次の任務をこなせば、脱退を認めてやってもいい」


「その任務を達成すれば、例のものは……」


「ああ。処分してやる。そのかわり、途中で任務を放棄したり裏切れば、アレをあらゆる場所にばらまいてやる。まじめな女賢者のあんな姿やこんな姿を映したアレが……」


 女賢者は必死な声で懇願した。


「やめてください。任務は必ず果たします。その代わり、任務成功の暁には、アレを必ず処分してください」


「ふっふっふ。いいだろう。大魔王リーヌをジェイシー町へ連れてこい」


「大魔王リーヌ……」


 大魔王リーヌは、天変地異を起こすほどの魔力をもつという伝説の大魔王だ。

 ある日、大魔王リーヌは突然姿を消し、この大陸に平和が戻っていた。

 しかし、大魔王は身を潜めていただけで、死んだわけではなかったのだ。

 そして、とある町が秘密裏に、この勇者に大魔王討伐を依頼してきた。


 かつて「最弱の勇者」とよばれたこの勇者は、すべての攻撃をはね返す盾を手にいれた時から負け知らずとなった。

 その上、なぜか言うことなすこと都合よく成功する強運にもめぐまれていたため、今では、この大陸で名の知れた勇者にまで成り上がっていた。

 その名声を聞きつけ、町長が大魔王討伐を依頼してきたのだ。


 依頼を受けた勇者一行は、大魔王リーヌを追跡し追い詰めた。勇者は取り巻きの女たちを連れて行ったため、女賢者ホナミはその戦闘には加わらなかった。

 聞いた話によれば、戦闘開始早々、勇者以外のパーティーメンバーは大魔王の吹き飛ばし攻撃を受け、戦闘を離脱してしまった。

 勇者の話によれば、その後、勇者は大魔王リーヌに何億ものダメージを与えたという。

 それなのに、結局、勇者は大魔王リーヌの討伐に失敗して逃げ帰ってきた。

 理由は謎につつまれている。

 だが、帰還した勇者はなぜか突然ゴブリン狩りを始め、恨みでもあるかのようにゴブリンを手当たり次第殺しまくっていた。


 勇者は憎々し気に言った。


「途中で、大魔王が連れているゴブリンを始末しろ。あいつさえいなければ、おれ様の勝利はゆるぎない。なに、スライムにだって殺せそうな超弱いゴブリンだ。心配ない。サポート特化型とかいって戦闘力が雑魚、まるっきり使えない賢者のおまえにだって、あのゴブリンくらい始末できるだろう」


(だったら自分で始末すれば?)


 そう言いたいのを我慢し、女賢者は従順に返事をした。


「承知しました。勇者様。必ず、この任務を成功させます」


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