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最弱ゴブリンは気がつかない [工事中]  作者: しゃぼてん
4章は、これから書き直す予定です
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4-42 チョコボルの森

 プリンセス・ケロケロリーヌご一行を、孤児院の子どもたちは大喜びで歓迎してくれた。

「プリンセス、おままごとしよー」

 旅の途中のカエルのお姫様は、女の子たちに、ひっぱりだこ。

「ホブミちゃん、お本を読んでー」

 メイドゴブリンのホブミも人気。

「プップちゃー、プップちゃー」

 風船のように飛んでるプップは、やっと歩いたり、しゃべったりしはじめたくらいの小さい子に大人気。

 そうそう、屋内に入ったら、プップのやつ、おれの頭からはなれて、ぷかぷか浮き出したんだよな。

 だから、おれは今は、プップリンじゃなくて、ただのゴブヒコというゴブリンなのだ。


 そして、おれは……

「おい、下僕のゴブヒコ、馬になれよ」

 ……悪ガキたちの餌食に。

「なんで、おれだけ、そういうあつかいなの!?」

「生意気だぞ。くらえ! 闘魂注入!」

「キンシャサ!」

 悪ガキふたりが、おれに襲いかかってきた。

 はためには、ちびっ子が、ゴブリンのお兄さんとプロレスごっこして遊んでるようにしか見えないだろう。

 だけど、おれは、大ダメージを受けた!

「ぐぎゃぁーー! やめろぉ! 二人同時に技をかけるな! しかも打撃なんて、ムリムリ! おれの防御力はめっちゃ低いんだから! ストロングスタイルはムリ! プロレスごっこで殺されちゃうから! そういうことはケロケロリーヌにやれい!」

と、おれが言ったら、悪ガキどもに、ののしられた。

「お姫様にするわけないだろ! このゴブリンのクズ!」

「なにかんがえてんだよ、クズ!」

 たしかに、お姫様にプロレス技をかけちゃまずいなぁ……。あの方が、ほんとうに、お姫様ならな。

「うぅ……。おまえらは、知らないんだぁー。あのプリンセスのバカみたいな強さを……」

 まぁ、リーヌとプロレスごっこをやったら、子どもたちがうっかり殺されそうだから、やらせるわけにはいかないけどな。


 さて、孤児院で遊ぶことしばらく。……悪ガキどもにいじめられていたおれは、何時間もたったように感じたが、実際は数十分だったらしい。

 孤児院の院長のおばあさんが、向こうの方でシャバーとなにか相談していた。リーヌも、そっちへむかった。

 おれも、せっかくだから、悪ガキどもから逃げだして、そっちの方へ行った。

「チョコボルの森から帰ってこねぇだと?」

 リーヌがおばあさんに聞き返していた。

「ええ。もうとっくに帰ってきているはずの時刻なのだけど」

と、おばあさんは言った。

「俺が様子を見てくるさ」

と、シャバーが言って、

「アタイも行くぜ。迷子さがしだったら、人数は多いほうがいいからな」

と、リーヌも言った。

「ありがとう。せっかくだから、プリンセスさんには、ゆっくりしていてほしかったのだけど」

と言われ、自称・カエル王国のプリンセスは、かっこよく言った。

「気にすんなよ、マザー。シャバーの家族は、アタイにとっても家族みてぇなもんだ。おい、ゴブヒコ、ホブミ、散歩のついでに迷子をさがすぜ。つきあえ」

 というわけで、おれたちは迷子探しに行くことになった。



 まず、おれたちは、チョコボルの森というところへむかった。チョコボルの森は、孤児院から歩いて10分くらいのところにあった。

 迷子の子どもたちは、朝からチョコボルの森に遊びに行っていて、お昼には帰ってくる予定だったのが、昼すぎになっても帰ってこなかったのだという。

 歩きながら、シャバーは説明した。

「いなくなったのは、パスコル、ロビー、アリスの3人だ。としは12と11。よくチョコボルの森で遊んでいて、今日もチョコボルの森に行くと言って、出かけていった」

「どういう子ども達なんすか?」

と、おれがたずねると、リーヌが自信満々に言った。

「アタイはバッチリ情報収集してきたぞ。いいか。ロビーはアリスが好きで、アリスはパスコルの耳が好きで、パスコルはただのバカなんだぜ」

 ホブミが何度もうなずいた。

「なるほど。よーくわかりましたですー。それは心配ですー」

「いや、わかんないって。いまの、迷子探しにつながる情報ゼロだったすよ?」

と、おれが言うと、ホブミが、おれをバカにしたように言った。

「先輩はそんなこと言ってるから、だめなんですー。その耳をひっこぬいてやるですー」

 ホブミがおれの耳に手をのばしてきたので、おれは逃げ回った。

「やめろー! おれの耳なんて、ひっぱったら、ほんとにひっこぬけるぞー! おれの身体は、ケーキの上の砂糖細工なみに、かよわいんだから! 」


 さて、シャバーは説明を続けた。

「パスコル以外は、ぜったいに門限を破ったりしないタイプだ。それに、チョコボルの森は、いい遊び場で、森ってよんでるが、迷子になるような場所じゃない」

「モンスターはいないのですか?」

と、ホブミがたずねた。

「チョコボルの森に、危険なモンスターはいない。チョコボルはいるが、あいつらは、無害だからな」

と、シャバーは答えた。

 それにしても、チョコボルの森のチョコボルか……。

 なんか、「ル」をとると、どっかで聞いたことがありそうな……。

 なんか、でかいヒヨコとダチョウを足したみたいな見た目で馬がわりに乗り物に使えるモンスターっぽい名前……。

 とか、おれが考えていたら、ホブミが質問をした。

「チョコボルとは、どんなモンスターなのですか? ホブミは聞いたことのないモンスターですー」

 やたらと物知りなホブミも、チョコボルのことは知らないようだ。

「そういえば、あの森でしか見たことがないな。チョコボルはくちばしがあって足が2本ある」

と、シャバーは言った。

 やっぱり、あのダチョウのように走るヒヨコっぽい生き物にしか聞こえない。

 だから、

「それに乗って移動するんすよね?」

と、おれはたずねたんだけど。

「あれに乗るのか? すごいな」

と、シャバーは感心した様子で言った。リーヌもおどろいた様子で言った。

「ゴブヒコ、チョコボルに乗れるのか!? さすがだな。プップリンになると一味ちげぇな。サーカスやるか?」

「え? サーカス? なんか、おれが想像しているのと、だいぶ違う予感がしてきたっす……」


 さて、その数分後、実際にチョコボルの森についたおれは、あやしい物体を見て叫んだ。

「なんなんすか!? あの、平たい足がこっそり2本はえているのに転がって動いている、ツルツルの泥だんごみたいな物体は!? 足の意味ないじゃないっすか!」

 巨大なツルツル泥だんごがいくつか、森のまん中の、土の地面がひろがっている場所を転がっている。

 そして、よーく見ると、この泥だんご、こっそり平たいくちばしと足がついているのだ。でも、あの足では、歩けそうにない。

「あいつらが、チョコボルだ。くちばしも意味はないな。あかないらしい。なにかを食ってるのをみたこともない」

と、シャバーが言った。

 おれはさとった。

(チョコボじゃない。これ、チョコボールの方だ!)

 チョコボルは、巨大チョコボールっぽい物体に、平たいくちばしと平たい足がついた生き物? だった。

 たしかに、これに乗るのは、無理がある。というか、乗ったらゴブリンの玉乗り芸だ。どうりで、サーカスとかいうわけだ。

 まるいといえば、プップもまるいけど。プップはもふっとしていて動物っぽいけど、チョコボルは、生き物っぽくない。土っぽい。

 しかも、チョコボルは、直径が人間の大人の身長くらいある球体で、でかかった。


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