装備を買うために…
「すごいよ!優勝おめでとうなの!」
大会に優勝し、真っ先に応援しに来てくれたシェラのもとに行くと自分のことのように喜び、祝ってくれた。そして、心春は唯一疑問に思ったことを聞いた。
「こんなことを聞くのもなんですが表彰式とかはあるんですか?」
それは私も気になっていたことだ。確かに優勝したのに表彰式どころか景品なども貰っていない。
「この大会は交流会みたいなものだから参加人数も観客も少ないの。でも実戦練習にはもってこいの大会なの」
私たちは少し緊張しすぎていたようだ。
「それにしてもこんなにすごいとは…。そ、それでお願いがあるんだけど…」
「お願いって?」
私は改まって聞いてきたシェラに問い返した。
「シェラに、ラッキーチェリーブロッサムのサポートをさせてください!シェラはいつか、こんないいチームのサポートをしたいと思ってたの!よろしくお願いします!」
楓と心春はお互いを見合い、うなずいた。
「シェラちゃんのサポートのおかげで勝てたんだし、ぜひこれからもサポートを頼みたいな」
「これからもよろしく!シェラちゃん!」
シェラはとても嬉しそうにしていた。
これから始まる3人での旅は大変そうだけど、楽しくなりそうだと思った。
「早速だけど、戦っていくならちゃんとした装備が必要なの。」
するとシェラは近くの地図看板の所へ行き、村のような場所を指さした。
「ここにおすすめの装備屋さんがあるの。今からそこに買いに行くの」
確かに私たちは戦う気もないような制服で大会に挑んでいた。私の場合はまず武器が欲しい。なのでそこのお店に行くことにした。
「そのお店はどんな感じの装備があるのですか?」
心春は移動途中、シェラに聞いた。
「かわいいものが多くて、しかも好きな魔法を1つ付けられるの。前にシェラがあげたのは、たまたま付いたものだから自由にシェラは付けられないの…」
シェラは少し残念そうに言った。
「そうなのですか」
「だからいつかは自由に付けれるように頑張るの!」
そう話していると、村のようなものが見えてきた。木に囲まれた村はとてもいい雰囲気だった。3人は、その中の装備屋へと行こうとした。が……
「私たちは何も持ってないんだけど買えるの?」
私は改めて思った。
「ポイントがないと買えないけど、シェラにいい考えがあるの!」
どうやらこの世界はお金がポイントらしい。すると、シェラは楓にとあるカードを渡した。
「この中にシェラの全財産1400ポイントが入ってるの。これを使って、2つ隣のお店にあるカジノで増やして来て欲しいの。」
楓は、全財産を渡される、通貨がカードで管理されている、カジノを頼まれるなどのことに頭がついていけず、思考が停止している。
「楓のスキルなら大丈夫だと思いますが、カジノをしていいのですか?」
心春は不安そうに聞いた。
「楓や心春ぐらいならやっても多分問題ないの」
なんとか楓の思考も追い付いた。
「シェラちゃんって意外と大胆だよね…」
楓は小声でそう言い、カジノのお店に入った。いろんな種類があってよくわからないが、よく見るルーレットのコーナーに行った。シェラと心春が見守っている。私のスキルを信じよう!
「赤の1に1400ポイントで!」
カジノのやり方は知らないけど多分こんな感じかな!
楓は店員に言ってカードを渡し、1400ポイントが引き落とされる。シェラは自分の全財産が引き落とされたのに、自信満々だ。ルーレットが回り始め、さすがスキル幸福というように赤の1に入った。
周りの人たちは目を見開きながら驚いているが、3人は普通のことのように、36倍になった50400ポイント持って装備屋さんへと向かった。