ピエロ
悲鳴が響き、機体が軋む。…音。
降下する浮遊感が突如としてGに変わる。
上へ。下へ。
肉が叩きつけられる音。
救命胴衣を握り締め、Gの変化に耐える。
胴体がベルトから千切れそうな衝撃。
機体が潰れて、来る。此方に。
メリメリと押し潰されるのを、私は感じたのだ。
はっきりと、死を認識した。
暗い地下通路を照らすペン型カンテラが、視線の先を照らす。
手には固い金属で作られた、剣スコップ。
私はスタンディングで地下塹壕を進む。
曲がり角。慎重に角から離れ索敵。……いた。
飛び出してスコップで突く。叩きつけ倒す。
倒れたそいつの首を『掘った』。
町外れの小さな小屋。それが私の住みかだ。
やあ、グレイ。帰ったよ。
調子はどうだって?まあまあかな。
気分はいつも最悪だがね。
考えてもみろ。もう、1476日。4年だ。
このクソ不味いオートミールとも、長い付き合いだ。
うんざりするよ。
食えるだけましだって?
冗談はよせよ。
私はハンバーガーが食べたいね。
肉がペラペラの、高血圧になりそうな濃い味付けのね。
知ってるか?あのハンバーガーチェーンは病院と提携してるんだ。
肥満と成人病患者を量産して、儲けているのさ。間違いない。
…なんの話しだったかな。
そうだ、うんざりだって話だ。
…何もかもさ。
元気なんか、出せるもんか。
何時でも笑っていればいい、君とは違うんだよ。
……グレイ、ちょっと黙ってくれないか。
黙れって言ってるだろッ!君に何がわかる!
うんざりなんだよッ!帰りたいんだッ!
私はッ!!
「何時までもこんな所でピエロの人形と話してられるかッ!」
私は机を蹴り飛ばし、椅子を壁に投げつけた。
「帰してくれッ!私をッ!帰せッ!」
「助けてくれッ!!」
ダンジョンでは道の真ん中を歩いてるイメージがあるのですが、よく考えれば不思議ですよね。
敵の支配地域で、灯りを掲げながら纏まって進のは何故なのか?
そう思いませんか?