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「睦のプリンが食べたいという一言から菓子作りを始めて、今や趣味が菓子作り」
「やめろって!」
「お化けもあまり好きじゃないのに、肝だめしでは…」
「わー!何でそのことまで!?彰さんから聞いたのか!?」
「だから、その彰なんだが…」
真っ赤な顔の逞は、これ以上自分の恥ずかしい秘密を暴露されないよう、部屋の壁側へと彰少年を連れていく。
「まだ、信じられないのか?なら、仕方ない、この話をするしかないな。小学生の時に、めぐみちゃん…」
「!…やめてくれ!」
「………ん?」
真顔で淡々と逞の秘密をバラしている彰少年に、睦は既視感のようなものを感じた。
………俺、彼のこと、知ってる?
彼とは初対面のはず。でも、どこかで見た、ような。
ジッと彰少年を見ていると、少年の後ろのものが視界に入る。
睦はハッとした。
「あー!」
突然の睦の大きな声に、逞達は驚く。
「それ!」
睦は二人の間を指差し、彼らに近付く。
「それ?」
逞が指されている方向を見れば、そこには壁にいくつか掛かっている額縁に入った写真。それを見て、逞は目を見開いた。
白黒写真の中央、無表情の少年が家族らしい人物たちと一緒に写っている。写真の中の少年は、逞の目の前にいる自称彰少年と瓜二つであった。そう、似ているではない。瓜二つ、そっくりなのだ。
写真の下には、昭和の日付。そして、彰12歳の文字。
「これ、じいちゃんの、子供の時の、写真」
彰少年に対して睦が感じていた既視感のような感覚は、この写真をよく見ていたからである。
「ほ、本当に、じいちゃんなの?」
「だからさっきからそう言っている」
全く、薄情な孫だな、腕を組んで片目を閉じて溜め息をつく彰少年。その行動は、瀬波彰という老人が、呆れている時によくする癖だった。
「じいちゃあん」
少年が大好きな祖父だと確信した睦は、涙を目に一杯溜め、彰に抱きついた。
「じいちゃん、じいちゃん~」
「やっと信じてくれたか、バカ睦」
ポンポン、軽く睦の頭を叩いて、彰は睦を抱きしめ返した。
「彰さん、何です、か」
「ああ」
写真を見ても半信半疑だった逞だが、一番信頼している友人が、彰の孫である睦が、認めたのだ、信じるしかない。
「何でそんな姿に?」
「ああ、とりあえず、座ってくれ。話をしよう」




