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「知り合いか?」
「いや…」
見知らぬ美少年のことを、逞は睦に問うが、睦も全く知らない様子。
睦は、知らない人物が家に、しかも大好きな祖父の部屋に居ることに、恐怖を感じた。
「逞君も。いらっしゃい。久しいな」
謎の美少年は、フワリと笑い、二人に近づいた。
「誰、だよ。何で俺の名前を知ってる?」
突然、自分の名前を呼ばれ、ゾッとする逞。
一体誰なのか。不審な美少年から、幼馴染みを守るように、逞は睦の前に立つ。
「そりゃあ、君のことは、君が小学生の時から知ってるからな」
「はあ!?」
何を言っているんだこの男は!?逞は眉をしかめる。
一瞬、知り合いかと思ったが、こんなに顔の整った人物を忘れるわけがない。
目の前の危険人物から逃げなくては、逞は睦を連れてこの場から逃げようした。
「ねぇ!じいちゃんは!?彰じいちゃんはどこ!?」
しかし睦は、逞を押し退け、美少年に詰め寄る。
「睦…!」
「…!その服!」
そして、美少年が着ている大きめのワイシャツに気づく。
「それ!じいちゃんの服!」
美少年が着ているワイシャツは、彰の服だった。
「何で着てる!?じいちゃんをどこにやった!?」
「待て待て、落ち着け」
興奮状態の睦に、美少年は眉を下げる。逞も再び、睦と美少年の間に立つ。
「自分の服を着るのは当然だろう。
…俺が彰なんだから」
「「はぁ!?」」
睦と逞は声を揃えた。
「何言っているんだ。彰さんは、睦のお祖父さんだぞ。君みたいに若いわけあるか」
「なんなんだよあんた、じいちゃんの知り合いかなんかなの?」
「だから、俺がそのじいちゃんだと言ってるのに。…まぁ、この姿ではわからないな。ふむ、どう証明したら良いのやら…」
自称彰少年は、顎に手を当て悩む。
「あ、」
しばらくして、自称彰少年は何かを思い付いたのか、逞に視線を送る。
「何………」
逞も応えるように、彰少年を見る。
「俺が彰だと証明出来るもの…つまり、彰しか知らないことを教えれば、お前達は納得出来るだろう」
「じいちゃんしか知らないこと?」
ふふふん、彰少年はどや顔で話し出す。
「逞君は、それはそれは睦を大切に思ってくれているみたいだね。睦が自分以外の友達が出来るのが嫌でたまらなくて、とにかく睦が苦手なことを自分が出来るようにと勉強を教えてくれと俺に土下座した小学生時代。睦がいじめられているのを助けたいと泣いて俺にすがった…」
「あー!あー!あー!」
「睦が嫌いなピーマンを食べてあげるために、自分も嫌いなのに好きだと嘘ついて食べてあげた…」
「わー!わー!わー!」
真っ赤な顔で逞は、彰少年の口を塞ぐ。
「何であんたがそれを!彰さんしか知らないはずっ」
「だから、俺がその彰だからな」
「うっ…」
彰さんが喋ったのか!?…いや、彰さんはそんな人じゃないのは知ってる。彼は、本当に彰さんなのか?
逞の頭の中は大混乱だった。




