表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
じじコン~grandfather complex~  作者: 永嶋大輔
本編
6/8

「ただいま」


(たくま)と一緒に帰宅した(あつし)は、いつもより小さな声で帰宅の挨拶をした。


「おじゃまします」


専業主婦である(まつり)が家に居るはずなのだが、彼女からの返事がない。キッチンからトントンと料理をする音が聞こえるので、おそらく、料理に集中して、睦達の帰宅に気づいていないのだろう。睦はとくに気にすることなく2階へ向かう。少しだけ緊張しながら、逞は睦の後についていった。



不安からか、無言で階段を昇る睦。

帰宅の挨拶から一言も話さない睦に、逞は何も声を掛けることが出来なかった。

どうすれば、大切な友人を笑顔に出来るのだろう、逞は、自分の無力さに拳を握りしめることしか出来なかった。



2階には睦の自室があるが、睦は部屋に入ることなく、奥へと進んでいく。目的地は、祖父、(あきら)の部屋である。早く、祖父の姿を見たい気持ちが、睦の足を速くさせる。



「じいちゃんっ」


いつもなら、ノックをして彰の部屋に入るのだが、今はそんなことを言ってはいられない。


早く祖父の姿を見たい。

自分がいない間に、祖父に何かあったら…。

早く祖父の息を確かめたい。早く、早く、早く…!



勢いよく扉を開ける。



「……じい、ちゃん?」


睦は目を広げた。


ベッドに寝ているはずの祖父がいない。

起き上がることが出来たのかと思ったが、それはほんの一瞬だけだった。

祖父はベッドどころか、部屋にいないのである。


起き上がって、部屋の外に行ったのだろうか。

素早く後ろを向き、部屋を出ようとする睦と、逞の目が合う。


「睦?どうかした?」


真っ青な顔の睦に、逞は眉を潜める。


「じいちゃんがいないっ」

「えっ!?」



睦が部屋を飛び出そうとした時、




「ここに居る」




部屋の中から少年の声が聞こえた。



自分達以外の声に、二人は驚き、声が聞こえた方を見る。




大きな黒いソファーから、細身の少年が立ち上がり、振り向く。



「なんだ、慌ただしい」


大きめな白いワイシャツを着ている少年は、それはそれは美少年である。少しだけ怪訝そうな表情ではあるが、それもまた美しい。


「ノックくらいしたらどうだ」



部屋には、祖父ではなく、睦と同じくらいの美少年がいたのだった。



突然の知らない人物に、困惑している睦に、美少年は優しく微笑む。


「おかえり、睦」


睦は、ニコリと笑う美少年に、どこか見覚えを感じた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ