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夜空 蒼 一日目午後十二時五十六分
「お願いです! 兄を、私の兄を探してください!」
とある昼下がり、少年は自らの目の前で同じクラスの女子生徒に、廊下の真ん中で頭を下げられていた。彼女は黒く長い髪を下に垂らしているため、表情を見ることはできない。
周囲からはぎょっとした視線で見られている。
しかし、少年にはわかった。彼女は泣いていて、そして自分に必死になって懇願していることぐらい、手に取るように。
「……わかった。いいよ、力を貸すよ。……だって僕は」
手を差し出して、少年はこう続ける。
そう、
「探偵だからね」