村と水車2
力強く輝いていた太陽が、柔らかな紅い光となって空を染め上げる。
村へ引かれた水路は、今日からその役割を存分に果たしている。
「おう、坊主、ちゃんと飲んでるかー」
今日は村全体でお祝いとなった。
もちろん、水車記念!!
なので、みんなで村の中央広場に集まって、ワイワイとご飯を食べてる。
そうなると、おっちゃん達は……。
酔っ払いジジーとなった。
折角楽しく食べてるのにー。……こっち来んなよな。
それに、俺は坊主じゃねー。
「おめー。酔っ払いジジーとか思ってんな。おいっ!!」
おっちゃんの一人が凄んできた。
合ってるし。
気まずくて、怖くて、そっと視線を外してみる。
「んー? 俺はこっち来んなって顔に見えたけど?」
大きく、視線を逸らす……。
「確かにな。そんで最後は、坊主ってとこにムッとしてたな」
もう、首がこれ以上回らない……。
逃げたいけど、最初に声を掛けてきたおっちゃんが肩を掴んだまま離してくれない。
というか、だんだん強くなってきてるんだけど。
「ほー、坊主? 覚悟は出来てるんだな?」
そろっと前を向くと、青筋浮かべて凄んだおっちゃん、ニヤッと笑ってるおっちゃん、楽しそうに見てるキールの兄貴。
こわ!! すぐに目を逸らす。
笑ってるおっちゃんもこわ!! その笑い方はダメだよ。
あれ?
もう一度、恐る恐る見ると、やっぱりキールの兄貴がいる!!
「兄貴!! 助けて!!」
俺の魂の叫びが、木霊した。
「バルト君、今日はありがとう」
村長の優しさが、すさんだ心にそっと染みこんで来る。
兄貴なんか、兄貴なんか……。
やべっ、また泣きそう。
「ふふっ、彼らも悪気はなかったんだよ」
俺は頷く。
それは分かる。悪意なんか、これっぽちもない。
というより、俺が悪かったし。
水車を組み立てるときなんかは、凄く助けて貰ったし。
「そうだ。村長さん、聞きたいことがあるんですけど」
「水車に関する知識の出所」
柔らかな笑顔を消して、村長さんが堅く呟く。
聞きたかったことを先に言われたことより、村長さんの雰囲気に驚く。
「それを知ってどうするんだい?」
「それは……、ただ、気をつけた方がいいと思って……」
言葉が尻窄まりとなる。
おずおずと村長さんを伺っていると、ふっと柔らかな雰囲気に戻った。
「水車は周りの村と協力して、試行錯誤のなかで作り出したんだよ。長年、検討して小型の試作が出来たのが去年の今頃かな」
おれはなるほどと頷いた。
この村だけでなく、他の村も巻き込んで知恵を出し合ったんだと感心した。
「……ということにするつもりだよ」
「えっ?」
「バルト君、君なら分かるんじゃないかな? 世界を、教会を巡る君なら。 だからこその質問なんだろう?」
水車を見たときに、完璧すぎると思った。
国の中心ですら、干ばつの時は水汲みをしている。
この村の水車は、凄いを通り越して異常だ。
「外の知識……」