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世界の境界  作者: よし
閉ざされた世界
5/9

村の仕事1



 気持ちよい満腹感を抱きながら村の広場へ向かうと、たくさんの人が集まっていた。

 少し視線をずらすと、木で出来た部品と思われる物が山積みされていた。

 

 何だろう?

 

 木材から完成形が全く想像できない。

 ただ、すべてを組み合わせるのであれば、かなり巨大なものになりそうだ。


「バルト!! こっちだ!!」


 どんなものが出来るかを考えていると、集団の中から俺を呼ぶ声が聞こえた。

 呼ばれた方を見ると、大きく手を振っているキールの兄貴が居た。


「兄貴……じゃない、キールさん、おはようございます。」


 俺は走り寄って挨拶をした。


「ああ、おはよう。昨日から思ってたけど、言い直した意味が全くないだろ、それ。もういいよ、好きに呼んで……」


 諦めの表情だ。

 だが、この好意は遠慮無くいただきます。


「じゃあ、キールの兄貴で!!」


 周りの人が、キールの兄貴を囃し立ててからかっている。

 ……楽しい。

 うん、からかわれるのが自分じゃないからだな。


「あ゛、おめーが元凶のくせに、ニヤニヤしてんじゃねー」


 怒られた。

 しかも、こわ!!

 もちろん、速攻で謝った。周りの人に笑われたけど、俺は保身を取る!!





「ほらっ」


 キールの兄貴が、直径が1メートル位の木で出来た物体を転がしてきた。

 形は円形で、外側に小さな桶のようなものがいくつか取り付けてある。

 ひとしきり見たけど、さっぱり分からない。


「なにこれ?」


「水車というらしい。見たことなかったか?」


 俺は頷いた。

 見たこと聞いたこともない。


「これは模型だけど、あそこに置いてある木材で、同じような物を作るんだ」


 木材を改めてみると、確かに模型の一部を形作っていた。

 つまり、この模型の巨大なものが出来るのか。

 だけど、これで何をするのかが全く分からない。


「おっ、分からねーって顔だな」


 キールの兄貴が嬉しそうだ。

 ……なんか、悔しい。


「これは、川の水を村まで引くのに使うんだ」


「えっ、でも」


 川から村までは、勾配があって水は流れない。それは、地図で確認していたし、実際に村まで来る際にも実感できた。

 だからこそ、水汲みの仕事があると思ったんだし。


「まあ、水車は水を汲むだけで、水は水路を通すんだけどな」


 水を汲む?

 模型に桶のようなものが着いてるから、これに水が入るのかな?

 うーん、イメージが湧かない。


「説明が難しいな。とにかく、見れば分かるさ」


「分かった。どうすればいいの?」


 そういえば、手伝いの内容を何も聞いてない。


「取りあえず、材木を川まで持って行くのを手伝ってくれ。組み立ては川の近くでやるから」


 なるほど。

 ここで組み立てると、運ぶのが大変になるんだろう。かなりの大きさになるみたいだし、重さもそれなりだろう。

 俺は皆と一緒に、嬉々として材木を運び始めた。






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