夜の癒しと朝の出会い
車から降りて湧斗達は周りを見渡す。そこは誰もが知る京都の風景だ。さすがに混雑しては
いるが、京都に詳し千早のおかげでスムーズに観光する事ができている。
近くにあった喫茶店で一休みをする事にした湧斗達。
「結構疲れたわね」
「こうも人が多いとね。湧斗君は大丈夫?」
「ええ。一応学校まで歩いてるんで」
「頼もしいわね。荷物も持ってくれてるのに」
「本当。誘ってよかったわ。湧斗君がいるとナンパもされにくいし」
「やっぱりされるんですか?」
「ええ。私達だけで行くと必ず声をかけられるわ。人妻って言ってもしつこいのも
いたりしたしね」
「その時はすぐに旦那に電話して追い払うけど、今は湧斗君がいるから大丈夫ね」
千早、洋子、綾子、幸恵、秋穂の五人がいると男性だけでなく同じ女性達からも見られる
くらいに美人でスタイルが良かった。そしてそこに湧斗は逆に変な目で見られていた。
夕方になり泊まる旅館に向かった。そこでは湧斗は秋穂の息子という形で名義を出している
ので親子だと思われている。なので一緒の部屋でも問題ないようにした。
六人いるので二部屋に分かれている。千早と綾子と幸恵の三人、洋子、秋穂そして湧斗で
別れている。部屋に入るとそこから見える景色を眺める。
「綺麗な景色」
「本当にいい眺め。ここにしてよかったわね。湧斗君」
「はい。景色はいいんですが、本当に一緒に泊まっていいんですか?」
「もちろん。そうしないと湧斗君一人だけになっちゃうわ」
「それはさすがにね。それに一緒なら夜も楽しめちゃうもんね」
洋子が湧斗にくっついて耳元でささやく。普段なら止める秋穂だが、自分の家とかではない
からか洋子につられて洋子と逆の耳で湧斗にささやく。
「湧斗君、私も待ちきれないわ」
「水瀬さんまで」
二人に挟まれながらもなんとか理性を保って湧斗は先に一人でお風呂に行く事にした。
そこに隣の部屋のて千早達がやってきた。
「湧斗君どうしたの?」
「恥ずかしがり屋みたいだからさきにお風呂に行ったわ」
「もしかしてもう攻めたの?」
「私だけじゃなくて秋穂もね」
「へぇやっぱり湧斗君としたいんだ」
「そ、それは」
「まぁさすがに最後まではできなかもしれないけど、彼を気持ちよくさせてあげる
事はできるからね。皆で彼を癒してあげましょう」
それから秋穂達もお風呂に向かった。男女別なので秋穂達も安心して入れる。湧斗も
さっきはあわただしかったが、お湯につかってると気持ちも落ち着いてきた。
部屋に戻るとまだ秋穂達は戻ってなかった。一人窓際に座り外を見る。
「そういえば今日は何も作ってないな。たまにはそれもいいかも。でも、この後どうしよう」
湧斗は間違いなく何かされると思いながらここで逃げるのも悪いと思いどこにも行けなかった。
それから秋穂達も戻って来て旅館の料理をいただき、寝るまで千早達と遊んだ。
「じゃぁそろそろ寝ようか。明日も観光するし」
「そうね。部屋に戻ろうかしら」
「その前に湧斗君」
「!?」
綾子が湧斗に近づいてキスをした。もちろん頬にだが、その後も湧斗の体をマッサージする
かのようにほぐしていく。
それを見て千早達も湧斗にくっつく感じでほぐしていく。別の部屋の三人が湧斗をもみほぐし
て(それ以上の事も少しした)部屋に戻った。
「湧斗君大丈夫?」
「大丈夫って言えないかも」
「そうみたいね。下半身に手を当ててるのは」
「洋子さん。でも湧斗君私もしてあげるね」
「私もするからそのまま寝ちゃってもいいからね」
二人もマッサージしたり耳元でささやいたりしてあげた。そうしているうちに湧斗は
目を閉じて眠った。
翌朝。誰よりも早く湧斗は目を覚ました。しかもいつもより体の調子がよかった。
私服に着替えて外を散歩することにした。時間はまだ朝の5時だ。いつもならお弁当を
作ったりする時間に何もしてないのが新鮮に思えた。
玄関で旅館の人にあいさつをして外に出る。有名なあの橋に来た。時間が時間なだけに
人がほとんどいない。その橋の途中で川をじっと眺める。
「いいなこういう時間。またここに来たくなるな。でも旅費が心配だ。今回は水瀬さんが
出してくれてるからいいけど、自分だけで来るとなるとちょっとな」
そんな風に考えていると何かが風で飛んできて湧斗に当たった。
「これはすず?あっちからかな」
飛んできた方を見るとそこには和服を着た女の子がいた。その子が湧斗の近くにやってきて
すずを指さす。
「それ私のだぞ」
「そうなんだ。飛ばされたの?」
「つけなおそうとしたら落としちゃって。でも人に拾ってもらってよかった。ここから
落ちたらあたしも飛び込んじゃうとこだったよ」
「飛び込んじゃうって結構高さあるけど」
「まぁね。でもそうならないですんだからありがと!君観光客?」
「うん。えっと親とその友達の人達と」
「へぇ歳はあたしと近いかな?高校生?」
「うん。君は?」
「あたしも高校生だよ。ここは地元で今は休みだから遊んでる。まぁいつもこの時間は
ここに来てゆっくりしてるんだ。学校や街は好きだけどこういう落ち着いた所は
もっと好きだから」
「僕もそうだな。やっぱり落ち着いた場所っていいよね」
「うんうん。ねぇ名前なっての?あたしは鬼塚香澄一年生だよ」
「新堂湧斗。同じ一年です」
「湧斗ね。せっかく会えたんだから連絡先交換しよ。こっちに来る時はあたしが案内して
あげるから」
「ありがとう。じゃぁその時は何か作ってくるよ」
「作るって弁当とか?」
「うん。料理好きだから。今はできないけど家では自分で作ってるよ」
「へぇすごいじゃん!じゃぁ夏休みまた会おう!その時に持ってきてよ」
「わかった。食べたいのがあったら連絡してほしい。一応作れるのは多い方だから」
「了解!楽しみー!やっぱり早起きは得だよね」
笑いながら香澄は戻って行った。湧斗部屋に戻り、秋穂達と朝食を取りその日もまた
京都を満喫した。もちろん香澄の事は言っていなかった。




