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天才
「初心者しかいないし、頼む!」
自治会の役員をしている旦那から、地域活性イベントの一環であるパソコン教室の助手を頼まれてしまった。
正直、頭が痛い。
私は要領が悪く、口下手で…人の前に立つタイプではない。
誰かと話をすると思うだけで緊張し、いつも失敗をする。
昔、お勤めをしていた頃に…毎日疲弊していたことを思い出す。
怒られないためにひたすら努力をし、一人で仕事をすることに集中して…。
「先生、お願いします!」
「は、ハイ…」
ついに本番がやってきた。
緊張しながら、できることをやらせていただく…。
「ありがとう!」
「そうなんだ!」
「先生は教える天才だね!」
ご年配の方々に褒められて、顔が赤くなる。
…やって良かった!




