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大笑い
お笑い芸人を目指して…15年。
養成所に入り、真面目に学んで…無事に卒業をし。
地道に活動を続けているものの、芽が出ず。
流行りに惑わされず、自分の持ち味をフルパワーでぶつけるお笑いは…理解され難かった。
俺自身はたまらなく面白いと思っているのに、誰にも賛同してもらえず…挫けそうだった。
何本もネタを書いて、何度も練り直して。
舞台に立つたびに良いものに仕上がったと感じているのに…手ごたえがない。
自分一人が大爆笑する毎日が長く続いた。
もう辞めよう…そんなことを考えて舞台に立った、ある日。
「ッ!ぷ、ククク…ぎゃはは…!」
俺のネタを見て大爆笑するお客さんが、一人いた。
あの笑い声があったから、芸人に成れたんだ。




